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【第4話】お姫さまとオオカミさん~ひとりの森と、やさしいオオカミ~【ねんね前の読み聞かせ】

ひとりの森と、やさしいオオカミ

むかしむかし、あるところに お姫様とオオカミさんがいました。

お姫様はその国で一番偉い人だったので、 お友達がいませんでした。

オオカミさんは森の動物たちに怖がられていて、 友達がいませんでした。

そんな二人の物語です。


森の朝は、静かです。 木の枝の上で、小さなオオカミが目を覚ましました。

「ふぁ〜……」

それは、リティ。 ふわふわの灰色の毛をぶるっと震わせて、尻尾を伸ばします。

森の中は、鳥のさえずりと、葉っぱが擦れる音だけ。 リティは、どんぐりを拾ったり、スープに入れる野菜を探したりしながら、ゆっくり歩きました。

すると―― 草むらの向こうで、うさぎがぴょんっと顔を出しました。

「あっ」

リティが目を輝かせて一歩近づくと、うさぎはびくっとして、 ぴょーん! と逃げていきました。

「……あ、また逃げちゃった……ただ遊びたかっただけなのにな〜」

リティは尻尾をしゅんと下げました。 でも、誰かを追いかけたりはしません。

「しょうがないよね」

そう言って、またてくてく歩き出します。


しばらく行くと、木の下で一匹のりすが、集めた木の実をころころこぼしていました。

「おっと」

リティはそっと近づいて、木の実を一つ一つ拾い、元の場所に並べました。 でも、りすはそれを見るとびっくりして、さっと木の上に登ってしまいました。

「あ……」

リティは、何も言わずにその場を離れました。 誰にも見られなくても、誰にも褒められなくても、それでいいのです。


森の小道に、大きな木が倒れかけていました。 このままだと、動物たちが通れません。

「よいしょ……」

リティは体をぶつけて、少しずつ木をずらしました。 ぐぐっ。ぐいっ。

やっと道が開きました。

その後、しかやたぬきが何も知らずにその道を通っていきます。

「……よかった」

リティは、誰にも気付かれないところで、にっこりしました。


夕方になると、リティは小さな鍋を出しました。 ピーマンを刻んで、ぐつぐつ。

ふと、外を見ると、足元にころんとどんぐりが一つ落ちていました。

「……あれ?」

近くにどんぐりの木はありません。 リティはちょっと不思議に思いました。 でも、「まあ、いいか」と呟いて、そのどんぐりを拾い、そっとスープに入れました。

ぐつ、ぐつ……。

「うん、いい匂い」

味を見てみると、いつもより少しだけ、優しくて甘い味がしました。

「……美味しい」

胸の辺りが、ぽわっと温かくなります。

その外では、少し離れたところから、一匹のりすがどんぐりを持って、じっとその様子を見ていました。 でも、何も言いません。ただ、静かに見ているだけです。

リティは、そんなことに気付かないまま、温かいスープを一人でゆっくり飲みました。

「今日も美味しい。今度エイダやチュー太郎にも飲ませてあげたいな」

胸の辺りが、なんだかぽわっと温かくなりました。 リティは、自分の胸にある小さな星の模様をちらっと見ました。

光ってはいません。 でも、そこにあるだけで、少しほっとします。


夜。 森に星が出ました。

リティは空を見上げて、尻尾をくるっと丸めます。

「ひとりだけど……今日も大丈夫」

森は静かで、優しい音に包まれています。 リティは、安心した気持ちで目を閉じました。

おやすみなさい。



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今回のお話は「気づかれなくてもやさしさは届くこと」が静かに描かれていました。
同じように、気持ちをそっと大切にしてくれる絵本はこちらです。

▶︎きみのことが だいすき

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※ひらがながよめる おこさまむけに、やさしく かきなおしています

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ひとりの もりと、
やさしい おおかみ

むかしむかし、あるところに
おひめさまと
おおかみが いました。

おひめさまも、
おおかみも、
ともだちが いませんでした。

これは、そんな ふたりの
おはなしです。

もりの あさは、
とても しずかです。

きの えだの うえで、
リティが めを さましました。

「ふぁ〜……」

ふわふわの けを
ぶるっと ふるわせて、
しっぽを のばします。

まわりには、
とりの こえ。

さらさらと、
はっぱの おと。

リティは、
ゆっくり あるきだしました。

どんぐりを ひろったり、
スープの ざいりょうを
さがしたり。

そのとき――

くさの むこうから、
うさぎが ひょこっ。

「わあ」

リティが いっぽ ちかづくと、

ぴょーん!

うさぎは にげてしまいました。

「……また にげちゃった」

しっぽが しゅん。

「いっしょに
あそびたかった だけなのに」

でも、
おいかけたりは しません。

「まあ、いいか」

そういって、
また てくてく。

―――――

すこし いくと、

きの したで りすが
きのみを ころころ。

「たいへん」

リティは そっと ちかづいて、
ひとつずつ ひろいました。

きれいに ならべます。

でも――

りすは びっくり。

さっと きの うえへ。

「あ……」

リティは なにも いわず、
そのばを はなれました。

だれにも みえなくても、
それで いいのです。

―――――

もりの こみち。

おおきな きが
たおれかけて いました。

このままじゃ、
みんな とおれません。

「よいしょ……」

リティは からだで
ぐいっ。

ぐぐっ。

すこしずつ、
みちを ひらきます。

やっと とおれる ように。

そのあと、

しかや たぬきが、
しらないまま
とおっていきました。

「……よかった」

リティは、
こっそり にっこり。

―――――

ゆうがた。

リティは ちいさな なべで
スープを つくります。

ピーマンを きざんで、

ぐつぐつ。

ふと――

ころん。

あしもとに
どんぐりが ひとつ。

「……あれ?」

ちかくに きは ありません。

でも、

「まあ、いいか」

そういって、
スープに ぽとん。

ぐつ、ぐつ……。

「いい におい」

ひとくち のんでみると、

いつもより ちょっと
やさしい あじ。

「……おいしい」

むねが ぽかぽか。

そのとき。

すこし とおくで、
りすが じっと
みていました。

どんぐりを もって、
しずかに。

でも、なにも いいません。

リティは
それに きづかず、

あたたかい スープを
ゆっくり のみました。

「こんど、
エイダや チューたろうにも
のませて あげたいな」

むねの あたりが、
じんわり あたたかく なります。

リティは、
じぶんの むねの
ほしの もようを
ちらっと みました。

ひかっては いません。

でも、
そこに あるだけで
ほっと します。

―――――

よる。

そらに ほしが
きらきら。

リティは みあげて、
しっぽを くるん。

「ひとりでも……
だいじょうぶ」

もりは しずかで、
やさしい おとに
つつまれています。

リティは あんしんして、
めを とじました。

おやすみなさい。


このおはなしは、ここから つづいていきます。

▶︎ つぎのおはなし


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