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花に宿る永遠 ― ファンタン=ラトゥールと『印象派 室内をめぐる物語』

芸術の秋、静かな室内で絵と向き合う時間が心地よく感じられます。
そんな季節にぴったりの展覧会、「印象派 ― 室内をめぐる物語」が上野の国立西洋美術館で開かれていました。
室内という小さな世界に、画家たちのまなざしと息づかいが満ちていました。

印象派の室内に見る、それぞれの個性

印象派というと戸外の風景画のイメージが強いですが、室内画にもそれぞれの画家の個性が表れていて、とても面白く楽しめる内容でした。

また、印象派の画家たち同士の交流や、彼らを支えた画商やパトロンの存在も大きく、肖像画や家族の姿が多く描かれているのも、そんな背景からなのだと感じました。

ファンタン=ラトゥールという“印象派ではない”画家

個人的に大好きな画家であるアンリ・ファンタン=ラトゥールの絵が数点展示されていたのが、意外でした。

なぜなら、彼は印象派の画家ではないと知っていたからです。

とはいえ、実は印象派の画家たちと親しい交流があったということを今回知り、それもそうかと納得しました。

花に宿る命 ― 菊に見た美の本質

ファンタン=ラトゥールの描く花は、繊細な儚さと力強さが見事に同居していて、見ているとまるで画面の中に永遠の命が宿っているような気がします。

そんな魅力にいつも惹きつけられるので、どこで出会っても「あ、これは彼の花だ」とすぐに気づいてしまうのです。


今回出会った花の絵は、バラだけを描いたものと、菊だけが活けられたものの二点。

どちらも素晴らしかったのですが、特に菊の絵は、細い花弁一枚一枚が見えるかのようで、思わずじっと見入ってしまいました。


残念ながら菊はポストカードに選ばれていませんでしたが、以前見た彼の花の絵の中でも、さまざまな花の中に菊が描かれているときに、菊ってこんなに美しい花だったんだと気づいたことを思い出しました。

バラも美しいのですが、
菊も地味ながらも本当に素晴らしい花だと思います。

静謐の中の生命 ― 死と生を描くまなざし

今回のテーマが室内画ということで、ファンタン=ラトゥールの絵の中にも、集合写真のような作品がありました。

恐らく葬儀で集まった親類か家族のようで、上品な服装ながらも皆黒衣で、沈痛な面持ちをしています。

その中で、右端にほんの少しだけ見える活けられた花が、ひときわ鮮やかで生命力にあふれていました。


それでも違和感はなく、むしろ「死」というテーマをより際立たせているように感じました。

花の命は儚いものですが、人の命もまた同じ。

そんな暗喩が込められているのかと思うほど、花の存在が印象的でした。


観終えたあとに

もちろん、メインとなる印象派の画家たちの室内画も見事で、全体としてとても見ごたえのある展覧会でした。

それでも私としては、アンリ・ファンタン=ラトゥールの魅力に、またしても魅了される結果となってしまいました。


いつか、彼だけの展覧会が国内のどこかで開催されないだろうか。

― そんな想いを胸に、美術館を後にしました。

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