【第3回】お金の行き先はどこ?資産の中身が入れ替わる 仕訳と転記

家計の「資産」を棚卸ししてみよう

「複式簿記では、お金の形が変わっただけと捉えます」とお話ししました。
では、私たちの家計にはどのような「資産」があるのでしょうか。
畑に例えるなら、「今すぐ食べられる野菜(現金)」もあれば、「じっくり育てる果樹(投資)」もあります。
先ずは、家計の範囲で、主な資産をリストアップしてみましょう。

1. すぐに動かせる「流動的な資産」

• 現預金:手元の現金(タンス預金)、財布の中身
• 普通預金:銀行に預けていて、いつでも引き出せるお金
• 電子マネー・ポイント:PayPay、楽天ペイ、交通系IC(Suica等)、貯まっているポイント(これらも立派な決済手段=資産です)
 など

2. 目的を持って貯める「蓄えの資産」

• 定期預金・積立定期:一定期間動かさない約束で預けているお金
• 外貨預金:米ドルやユーロなどの外国の通貨
 など

3. 将来に向けて育てる「投資資産」

• NISA・iDeCo:税制優遇を受けながら運用している投資信託や株
• 株式・債券・投資信託:証券口座で保有している金融商品
• 金(ゴールド):現物や積み立てで持っている貴金属
 など

4. 生活を支える「実物資産」

• 住宅・土地:今住んでいる家や、所有している不動産
• 車:移動手段としての価値があるもの
• 家財・貴重品:高価な時計や宝石、趣味の道具など(売却価値があるもの)
 など

このリストの中から、『預金』を『現金』に変えたり、『証券口座の資金』を『投資』に振り替えたりする動きを記録してみましょう。

今回は、いよいよ実際にペンを動かして、日々の動きを記録する「仕訳(しわけ)」と「転記(てんき)」に挑戦します。
まずは、家計簿でよくある「自分のお金の置き場所が変わっただけ」というケースを見てみましょう。

1. 「仕訳」は頭の中の整理整頓

複式簿記では、一つの出来事を「左(借方)かりかた」と「右(貸方)かしかた」の2つの側面で捉えます。
畑でいえば、「苗をAの畝からBの畝へ植え替えた」ような状態。畑全体の苗の数は変わりませんよね?

以下の3つの例を、練習として「仕訳ノート(仕訳日記帳)」に書いてみましょう。

ポイント❗️
・仕訳の 借方合計 と 貸方合計 は
 必ず同じ金額になります。
・資産の科目については
 「借方(左)」は 増えたことを意味し
 「貸方(右)」は 減ったことを意味します。

• ① 銀行から現金5万円を引き出した
(借方)現金 50,000 /(貸方)普通預金 50,000
解説:手元の「現金」が増え、銀行の「普通預金」が減りました。

借方 現金 / 貸方 普通預金

• ② 預金からPayPayに1万円チャージした
(借方)PayPay 10,000 /(貸方)普通預金 10,000
解説:デジタルな「PayPay」が増えて、銀行の「普通預金」が減りました。

借方 電子マネー / 貸方 普通預金

・③ 証券口座の資金10万円で株(投資)を買った
(借方)投資(または銘柄名) 100,000 /(貸方)証券口座 100,000
解説:将来の収穫を待つ「投資」が増え その分「口座資金」が減りました。

借方 投資 / 貸方 証券口座

2. 「転記」は情報の引っ越し

仕訳を書いただけでは、今「現金がいくらあるか」が分かりません。
そこで、前回作った「科目ごとのページ(総勘定元帳)」に数字を書き写します。これを転記と呼びます。
※先ほど仕訳を書いたノートと練習用の総勘定元帳を5枚用意してくださいね。
その総勘定元帳には、「現金」「普通預金」「PayPay」「投資」「証券口座」と、科目名を記入してください。

さあここから転記をします!
先ほどの仕訳①
 (借方) 現金 50,000/ (貸方) 普通預金 50,000
これを総勘定元帳の「現金」と「普通預金」に転記します。
【現金ページ】
仕訳の借方に現金 50,000 とあるので、総勘定元帳でも借方に記入します。資産は、(借方)にあると、増えたことになるので残高は増えた、という記録になります。
ここでは前日10,000円の残高でしたが、50,000円増えて 残高は60,000円です。

「現金」の元帳

【普通預金ページ】
仕訳の貸方に普通預金 50,000 とあるので、総勘定元帳でも貸方に記入します。資産は、(貸方)にあると、減ったことになるので残高は減った、という記録になります。
ここでは前日120,000円あったのですが、50,000円減って 残高は70,000円です。

「普通預金」の元帳

仕訳②
(借方)PayPay 10,000 /(貸方)普通預金 10,000
この仕訳は総勘定元帳の「PayPay」と「普通預金」に転記します。

「PayPay」の元帳
「普通預金」の元帳


仕訳③
(借方)投資(または銘柄名) 100,000 /(貸方)証券口座 100,000
この仕訳は総勘定元帳の「投資」と「証券口座」に転記します。

「投資」の元帳
「証券口座」の元帳

3. 手書きの「納得感」を楽しむ

今の会計ソフトならボタン一つで終わる作業です。
でも、あえて自分の手で「預金から引いて、現金に足す」という作業をすることで、「あぁ、私のお金は形を変えて、ちゃんとここに存在しているんだな」という実感がわいてきます。
また、この「書くという行為」で金額が記憶に残りやすくなります。
慣れてくると、「530円合わない.....。ん?ちょっと待てよ、なんかあったな530円って.....」となったりするんですよ。

おわりに

今回は「資産の中での移動」でしたので、家計全体の合計額(純資産)は変わりません。
でも、これがわかると、電子マネーもポイントも投資も、すべて財産として管理できるようになります。
冒頭に述べたように、今ある自分の資産をリストアップしてみましょう。

次回は、いよいよ実際のレシートを使って、「お金が外へ出ていく(費用)」ときの記録をしてみましょう。 

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