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学芸員って…展示室に座ってる人?│社会人が学芸員資格課程を履修して

どの業界でも、いわゆる"中の人"、そこで働いている人には当たり前のこと・取るに足らないようなことでも、世の中の大多数の人には全く知られていないこと・話すと驚かれることが、案外たくさんあるものです。

わたしは20代後半に、大手企業の採用広報・PR施策を行う広告制作会社で正社員として働いていたことがあります。
インフラ・電機・化学・小売・出版・金融・製薬・コンサル・リース・・・そうそう、官公庁も。
多種多様な業界と会社&仕事、そこで働く人たちのことを知ってもらうために、どうやってお伝えしたら正しく伝わるのか・魅力的に伝わるのか、をひたすら考え、かたちにするお仕事。企画制作・ディレクションと呼ばれる業務を経験しました。

また、転職も普通の大複業時代を迎えた令和の今ですが、平成の頃から勝手に先取りし、他人より転職経験がやや多いため、結果"みんなが知っているようで知らない業界・職業のギャップ" に、わりと気づきやすい素地があったように思います。

そして30代半ばの2019年春、興味関心と好奇心、何より好きな気持ちが高じて、芸術大学の通信課程に編入し、ずっと興味があったし、せっかく資格をとれるならチャレンジしたい、と、博物館学芸員課程も履修中しています。

で、気がつきました。『学芸員』ってまさに、みんなが知っているようで知らない、大きなギャップを感じる職業だということを。

美術館・博物館という空間が好きで、よく足を運んでいたわたしでも、学芸員について知らなかったこと・驚いたことがたくさんありました。

まぁ、世の中のたいていのお仕事もきっと同じでしょう。とっても興味を持ったり、家族や身近なところにその職業の人がいなければ、何をしている人かなんて見当つかなくて当然です。


えー、前置きが長くなりました。
今回は、社会人経験をまぁまぁ経てから、美術館・博物館が好きでアートやデザインにまつわる書く仕事をし始め、今どこにも所属してない"外の人"であるわたしが身をもって学んで考えた、学芸員という仕事について、あれこれまるっとひっくるめて書いてみたいと思います。

ちなみに。
展示室にいる係の方は、学芸員ではありません。
展示している作品やお客様たちに、もしものことがないよう、丁寧に見守ってくれている、監視員の方々です。
え?監視員?見てるだけでいいお仕事なの?
いやいやいやこれまたとても奥が深くてスキルを要するプロフェッショナルなお仕事です。
詳しくはこちら!岐阜県美術館で働く、宇佐江みつこさんの4コママンガ『ミュージアムの女』をぜひご一読ください✨

なので、作品や作家について疑問に思ったら、ぜひ図録を買って読んだり、ご自身で調べてみてくださーい!

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知っているようで知られてない?学芸員という仕事

印象派、ロマン派、シュルレアリスム、アールヌーヴォー。
絵画、彫刻、写真、版画、工芸。
ゴッホ、フェルメール、若冲、北斎。
大英博物館、ルーブル美術館、メトロポリタン美術館などなどなど・・・。

日本中・世界中数多の美術館・博物館と、そこで開かれてる多種多様な展覧会の裏側には、数多くの分野のプロフェッショナルが働いています。その中心的な役割を担っている職業の一つが、学芸員、と言えるでしょう。

大々的に広告が打たれるようなメジャーな施設や展覧会でなくても、地域の歴史や文化を伝える資料館、地元にゆかりのある偉人・芸術家の足跡を伝える資料館なども同様です。(小規模すぎると学芸員がいない場合も・・)

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そもそも学芸員とは、「博物館法」という法律に基づいて職務を定められた国家資格 です。

まずはものすごくざっくりとですが、「博物館法」を一部引用し解説しながら、学芸員の仕事をご紹介します。


そもそもこの法律上での「博物館」とは、公立・私立を問わず、美術館や博物館、歴史資料館などだけではなく、水族館や動物園、植物園も含まれています。

水族館や動物園も???
ちょっとイメージと違う感じがするかもしれませんが、「博物館」という場所の目的が、こちらなのです。

歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、
保管(育成を含む。以下同じ。)し、
展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、
その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすること

水族館や動物園などで飼育されている生き物たちは資料で、園内は展示の場なんですね。
って言ってもやっぱりちょっとしっくりこないかもですが。

ちなみに、目的に沿っていればどんな施設も「博物館法における博物館」に該当するわけでもありません。(詳しくは博物館法をぜひご一読ください)


で、学芸員についてはこのように書かれています。

博物館に、専門的職員として学芸員を置く。

学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる。

ここです!法律によると、学芸員の仕事とは具体的にこの4つなんです。

収集:展示されているさまざまな作品や史料などの貴重な品々を集めること

保管:集めた貴重な品々を、後世に伝えるべく大切に守って保管すること

展示:守って保管している品々を公開して、多くの人々に知ってもらうこと

調査研究:品々についての価値や歴史上の位置づけを調べ、研究すること

へーそうなんだ が思わず浮かんだところで、少しつっこみます。

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年々追加されている?  学芸員の仕事

博物館法は、今から65年も前の1952年に施行され、1955年と2008年の2回、改正されました。
が、まだまだ現場の実務実情とは乖離があるよね、というのが、学芸員に限らず、あるあるなお話ではないか、と。

そもそも、昔からある職業でも、ここ数年で生まれた職業でも、「変えてはいけない本質的なこと」と「時代と共に変えていくこと」はありますよね。
世の中に求められることは常に変化しているので、自分も仕事も少しずつ変化しないと後退するだけ。
そして世の中の変化のスピードは年々加速度がついています。

学芸員資格も同様で、法改正のタイミングで必修科目が微増しています。

資格を得るには、
大学で文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得して、大学を卒業して学士の学位を取得する、という方法が、わりと一般的。
※現在わたしが取り組んでいるルートです。その他の方法は、文化庁のホームページ内「学芸員になるには」に紹介されてます。)

現在の最低修得単位数・9科目19単位は、2012年度から適応されています。
それ以前は8科目12単位・・・しれっと7単位も増えたんですよ!!!

・・・たかだか7単位、と思われました?
補足しますと、大学における1単位を得る学習時間の目安ってのがありまして、15 時間の講義に加えて 30 時間の予習・復習からなる自己学習が伴った 45 時間の学習が基本、なんです。・・・なかなかの時間数ですよね、ふふふ。


具体的な内訳ですが、博物館資料保存論が新科目として追加。
展示や所蔵しているありとあらゆる資料を、ありとあらゆるリスクから守り、後世の人へ引き継いでいくために大切なポイントを学ぶ科目です。


ありとあらゆる作品・展示資料は、完成した直後から、全て劣化していきます。かたちあるものの摂理です。
それなのに、今のわたしたちが1000年以上前の作品の実物を目の前で楽しめている。奇跡としか言いようがないと思いませんか。

そんな奇跡のために、作品や資料の調査研究や展覧会の展示とも並行しながら、劣化をできるだけ食い止めるためにさまざまなことをしています。
空調は24時間365日稼働し続けるし、災害にも強い頑丈な建物が大切。もちろん防犯も重要。
作品を輸送するときも、少しでもダメージが少ないように、と、何人ものプロフェッショナルがサポート。海外作品がやってくるときはサポートする人も一緒に来て、輸送中のダメージがなかったかどうかチェックするんですよ。

・・・・・お気づきですか、美術館・博物館って、いろんなことにお金がかかるんですよ、めちゃくちゃ。だから館が平和に続いていくためには、経営の視点も大切だったりするんです。


経営論のように、既存科目の中で学ぶ内容が追加され、1→2単位に増えていたり名称が変わったりもしました。

他にも例えば、広報活動の考え方。
インターネットやSNSの活用などが重要になって久しいですが、加えて、動画の配信も。新しいSNSだってどんどん出てきます。
どれもこれも、日々フィールドワークして他社事例をみながら、少ない人数で、試行錯誤しながら取り組まれている館が多いことでしょう。

展示の方法だって、館内をどのように作り込むのか、より良い作品の展示の仕方はどうか、どうやったら展覧会の内容が伝わるのかを、細部の細部まで考え続けます。
ここでも、映像などさまざまなツールを活用した方法や、音声ガイドとの連動、SNSでの拡散を狙った展示の工夫も欠かせません。


といった感じで、ここまでちらちらとリンクをはさんできましたが、学芸員資格って何勉強してんの?が気になった方、レポート全文公開してます。
お一つからでも、8科目まとめ買いでも、ぜひぜひ✨


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あれ?なんでもやってる?  学芸員の仕事

あと、展覧会の図録に納められている論考も学芸員が書いてますし、作品や作家の紹介をする文章「キャプション」も書いてます。

週末などは、作品や展覧会企画の解説をしてくれる「ミュージアムトーク」や、講演会なんかも行われてますよね。

といった感じで、展示ひとつ、研究ひとつとってみても・・・学芸員って、守備範囲と必要なスキルが多種多様かつ、求められることが多いなぁと思うんです。

わたしは今、おかげさまで、すでに学芸員課程の必修科目の履修と、規定されている実習は全て終えました。
あとは、必要な科目数を履修し、無事に大学を卒業できれば、晴れて学芸員の資格が得られます。

でも、学芸員として積極的に転職活動をして、どこかの施設に属するか、というと、その可能性は結構低い・・・のが正直なところです。

国家資格なのに、わざわざ資格を得るのに、なんで?
これには、社会人になってから資格を取ろうと学んだ人間ゆえの理由があります。

と、あっという間に4,000字近くになってしまったので、続きは次回に。

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