【展覧会レポ】井上靖記念館「映像化された井上作品Ⅱ」ほか
【#291、約3,800文字、写真約45枚】
北海道・旭川にある井上靖記念館に初めて行き「映像化された井上作品Ⅱ」や常設展を鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。
▶︎ 結論
アートや井上靖に興味がある人が旭川に行った際「寄ってもよい」と思いました。展示もしっかりしているし、企画展も年3回実施しています。また、世田谷からそのまま移転した書斎・応接間は見応えがありました。なお、難点は、旭川駅から遠いこと、中長期的な運営が心配な点でした。
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★☆☆☆
混み具合:★☆☆☆☆
展覧会名:第1回企画展「映像化された井上作品Ⅱ」
場所:井上靖記念館
会期:令和7年6月7日(土) ~ 令和7年12月7日(日)
休館日:月曜日
開館時間:午前9時から午後5時まで
住所:北海道旭川市春光5条7丁目
アクセス:旭川駅からバスで約25分
入場料(一般):300円
事前予約:ー
所要時間:約1時間
撮影:すべて可能
巡回:ー
URL:こちら
▶︎ 訪問のきっかけ

北海道の旭川に用事があった際、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館→井上靖記念館→北海道立旭川美術館へ寄りました。



また、私は、2017年10月から12月にかけて、井上靖の作品を5冊読んだことがありました。そのため、井上靖について若干の興味もありました。
当時の私の記録によれば、特に以下の3冊の満足感が高かったです(点数は私による5点満点の満足度)。
井上靖(洪作)の小学生時代が描かれている。洪作とおぬい婆さんのやりとりを通して、洪作の成長や心境が、感受性豊かに表現されていた。当時の「イヤミ」における人間臭さもリアルに描かれていました。(4.1点)
『しろばんば』の続編。ユーモアたっぷりで、クスッとすることも多い。洪作の祖父に対する態度が少し強気になっていたり、年長者の威厳が強いことがことが新鮮だった。当時の人間模様が手に取るようにわかった。(3.7点)
サスペンス&恋愛モノ。1963年上梓と思えないほど違和感なく読めた。少しハラハラドキドキ。世の中はすべて白黒つけられないと改めて学んだ一冊だった。(3.6点)

井上靖を5冊読んだうち、当時の満足度は、3.3、3.4、3.5、3.6、4.1でした。私が今まで読んだ2,299冊(執筆時点)のうち、満足度を記録しているのは1,437冊。その中で、3.6点以上は、16.6%、4点以上は4.3%でした。井上靖は、私の中で相性が良かった作家と言えそうです。
▶︎ アクセス

井上靖記念館は、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館の真横にあります。ここへは、旭川駅からバスで約25分。「春光園前」バス停で降りるにあたり、決まった経路はありません。
北海道のバスは非常に難解でした。道路が碁盤の目になっているため、1つの目的地に、色んなルートで行けるためです。Googleマップを使い、その時間に最適なルートで向かうのが無難だと思います。
▶︎ 井上靖記念館とは?

井上靖記念館は井上靖が旭川で生まれたことを記念して、1993年7月24日に開館しました。この記念館には、自筆の取材ノートをはじめ、直筆原稿、愛蔵品など、井上靖の83年の生涯を紹介する貴重な資料を展示しております。また、国内外から多くの客人を招いた応接間や数々の名作が生み出された書斎が、東京・世田谷の旧井上靖邸から移転され、再現されています。
✔️ 旭川生まれの井上靖

1991年に井上靖(83歳)が没後、旭川市で記念館の建設の動きが始まり、1993年に井上靖記念館が開館。私立ではなく、旭川市による公立の博物館です。収蔵作品数は約470点。

なぜ、井上靖記念館がココにあるかと言えば、1907年、井上靖が生まれた場所が北海道上川郡旭川町(現:旭川市)だからです。
しかし、1908年から1926年までは静岡で暮らし、その後は、京都、大阪、東京へ転居しています。そのため、井上靖が旭川市に生まれ、引っ越しするまでの期間は1年未満と非常に短いようです。

✔️ 静岡には井上靖文学館がある
静岡県には「長泉町井上靖文学館」があります。1973年に開館しました(井上靖が66歳の頃)。本人は、存命中に何度も足を運んだそうです。『しろばんば』の舞台も、静岡県伊豆市湯ケ島です。資料の所蔵数は約3,000点(井上靖記念館の6倍以上)。
井上靖が住んだ記憶がない旭川の井上靖記念館に、東京都世田谷区にあった井上靖邸の書斎・応接間を移転できたのはすごいですネ。

偶然にも、樹木希林の本を読んでいた最中でびっくり
▶︎ 展覧会 感想

✔️ 常設展
常設展示室では、井上靖の幼少時代、青春時代、新聞記者時代、作家時代、晩年までを、セクション別に分けて、当時の直筆原稿や、愛用品などが展示されていました。


井上靖は『サンデー毎日』の懸賞小説に連続入選したことに加え、さまざまな賞を受賞したことから、大阪毎日新聞社に入社が決まったそうです。現代でいうと、YouTuberが、UUUMに入社するようなものでしょうか🤔






特に、印象に残った展示は「原稿用紙」でした。今の学生も使っているのでしょうか?原稿にわざわざペンで書いていると、校正するのも一苦労。文字を書く行為自体もすごく体力が要りそうです。私は、noteで1投稿平均、約4,100文字書いています。それを手書きすると考えるとゾッとします😅

✔️ 第1回企画展「映像化された井上作品Ⅱ」

映画『敦煌』を中心に、『天平の甍』『あすなろ物語』『氷壁』に関する書籍、映画の解説、スチール写真等を展示し、原作の魅力と共に映像化された井上作品の魅力をお伝えします。

常設展示室の中央部分では、企画展が開催されています(年3回)。


『敦煌』の制作には、衣装、建設費にそれぞれ4億円かかったそうです。エキストラは10万人!今では、CGやAIを使えば大幅にコストが削減できるのかも。





『氷壁』が初めて映画化されたのは1985年。私が2017年に本で読んだ時も、ほぼ違和感なく読めました。井上靖作品でオススメの小説です。


✔️ 井上靖邸の書斎・応接間

井上靖記念館では、井上靖が実際に使用していた家具、小物類、書籍や灰皿に至るまで、当時のままを再現、展示されています。実際に使っていた書斎・応接間を、東京から北海道へ、そのまま持って来るとは、ダイナミックな取り組みです。



応接間は格好よかったです!私は本に囲まれる生活に憧れます。昔の人は、家に何冊本があるかがステータスだったのでしょう。これは、朝倉彫塑館でも同じことを思いました。
自分が読んだ本は、人生における足跡であり血肉です。それらは自らの分身、培った知識のカケラのような気がして、囲まれると落ち着きます。



一方、書斎では、心が落ち着きました。私もこういう部屋が欲しいです。モダンでシックじゃなくていい。畳、縁側、低い机があって、疲れたらゴロンとできる。それだけで最高です!



◾️ いつまで運営できるか問題
井上靖記念館は、建物や展示内容はしっかりしていることに加え、企画展は年3回も実施、書斎・応接間についての簡単なガイダンスも1日7回行う(私が訪問した8月は実施していましたが、現在は休止中)など、記念館としての運営はしっかりしていました。
しかし、私が訪問した日は、平日&午前中&雨だったためか、私以外に来館者は皆無でした。
現在、井上靖が亡くなって34年。井上靖作品に親しんだ人も徐々に減ると同時に、井上靖記念館を訪問する人も減るでしょう。井上靖記念館は、税金を使って運営される公立の施設です。維持費もかかります。今後、長い目で見ると、存在意義が問われそうだな、と思いました。
今年、訪問した「月の砂漠記念館」は、作詞者「加藤まさを」の功績を記念してつくられた、公立(御宿町立)の記念館です。そこでも同様の懸念をもちました。
▶︎ まとめ

小説の表紙のポスカがあったらいいのに
いかがだったでしょうか?旭川に行った際は、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館とセットの訪問をオススメします。ただし、井上靖作品を知っているか、知らないかで満足度は大きく変わると思いました。私は、展示物よりも、移転された応接間・書斎が印象に残りました。何にせよ、井上靖について興味が増しましたため、追加で5冊ほど購入しようかな📚
▶︎ 今日の美術館飯

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