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@旭川、地盤工学研究発表会

先週は地盤工学研究発表会へ参加してきた。
今回は今までの価値観的な話より具体的な話になるように考えてる。

表題の写真は旭橋を右手に見た石狩川の上流を望む写真で、広大な旭川を想像させる写真。何より印象深かったのは空が水色であるということだ。
盆地地形で山までは少し距離があり、空とのコンタクトをとれたかのような錯覚に陥れる。そんな開放的な場所、それが旭川である。

わたしがテーマにしたのは河川堤防に対する浸透機能に関する発表であった。
河川堤防は土でできており、不均質な透水性を有する。
最悪の場合破堤に至る、というものである。
本研究では過去に破堤にまで至らずとも漏水していた河川堤防において、正確な河川シミュレーションから再現した水位の変化(ハイドログラフ、といいます。)を入力値として浸透流解析を実施した事例について、報告した。

浸透流解析とは、河川水位の変化に対して、川裏で漏水の発生したポイントにおいてどのような揚圧力がかかったのか、照査すること、である。この解析手法は様々あるが、実務では有限要素法が用いられる。いわゆるFEM解析である。

今回の第59回地盤工学研究発表会であるが、実に様々な興味深いテーマがあった。これは地盤工学技術者として興味深い、ということである。
能登半島地震、液状化、ダム・堤防、斜面、グラウンドアンカー、などである。
発表論文は過去最多にも上り、その参加者数も非常に活気を感じるものであった。

地盤工学に関わるレジェンドの技術者たち、これまで日本のインフラ整備を支えてきた技術者の参加も湧く理由の一つとなっている。

旭川は食や酒にも恵まれた都市であり、そうした観光地での開催も参加者を刺激する一つとなっている。

わたしの所属する企業からは計7編の主執筆の発表論文があった。発表者はいずれも研究開発系の部署に所属する技術者・研究者である。わたしもその研究開発部署に席を置いてもらっている1人である。
われわれの企業から発表したテーマをざっと説明すると、気候変動を考慮した地盤災害リスクに関する総合的検討、微地形表現図の作成手法、地盤構造物の振動特性に関する研究、斜面崩壊の速度に関する研究、液状化強度に関する解析手法、そしてわたしの河川堤防の耐浸透性能に関する検討、となる。

こうした地盤工学の世界ももっと世に出ていく必要がある。

研究といっても様々ある。
現地フィールド調査
現地試験
シミュレーション
モニタリング・センサ計測
分析・解析手法
総合的検討
など

第59回地盤工学研究発表会の2日目の夕方には2つの講演と交流会が用意された。
まず1つ目の講演から。
ミクロからマクロの地盤力学、というテーマであった。
昨今、地盤工学というとマクロな視点での研究が増えている。
土質や地質、ローカルソイル、材料視点での研究は減っている。というのである。
それはなぜであろうか。

ミクロとマクロとは例えば、物理的性質の研究、力学的性質の研究、と分けることができるかもしれない。
ミクロとは結局一般的に可視化できる土粒子よりも細かい領域のことになっており、それらを見るというのは土粒子間の水を見るようなものである。それは物理的性質に他ならない。
一方力学的性質というのは、土と土、土粒子同士の噛み合わせから生まれる応力を対象にしている。応力とは自ら生まれるのでなく、粒と粒の間の力、これがマクロになる起点と考える。

ミクロ視点の研究が減っている、とは思わない。マクロ視点での原因究明が世に目立っているように見えるかもしれないが、実際にはミクロ視点での研究が現象を決めていることだってある。
物事を簡易に説明する、聴衆に訴える、メディアにわかりやすく説明する、という異なる目的の中で、ミクロから語れる事象がマクロから語られる、ということもあるかもしれない。

もう一つの講演、それは旭山市旭山動物園の統括園長のご講演だった。
旭山市旭山動物園の統括園長の講演、それは生物と人間の共生、ひいては自然と人間の境界線、について話す内容だった。
旭山動物園は昔廃業に至りかけたところから再興した動物園である。その仕掛け人がこの坂東統括園長である。
坂東さんが手掛けたのは、「つまらない」じゃだめ、ということだったようだ。
ライオンを見て寝ている、ただつまらないだけだ、ではだめだ、ということだ。

どうすれば興味を持って見てもらえるだろう?そう考えるところからスタートだったようだ。わたし自身5年以上前に旭山動物園を訪れたことがあり、その当時の様子を思い出しながら聞いていた。

そして、時に野生を持っている動物との向き合い方、恐怖があることを語ってくれた。
ただ、坂東さんは動物に対する愛を持っていて、動物と人間がうまく共生する姿を提示してくれているように感じた。
その中で印象深かったのは、動物は不安な環境下では繁殖しない、ということだった。ただオスとメスをくっつけても、「不安がある環境では子孫を残さず死のうとする、簡単に繁殖はしない」という話だった。

不安を拭う環境というのは口で言うのは簡単だが、そう簡単に実現できるものではない。人間の環境でも同様のことが言えるのではないだろうか。

もう一つ大切な話。ヒグマの繁殖について、である。北海道ではヒグマの出没が問題になっているらしい。昔からヒグマとは共生していたということであったようだが現在それが昔と全く違う次元のものであるようだ。つまり、ヒグマが人間界に接近している、ということ。

ヒグマというのは昼行性の動物であるが、昔は夜しか人間と鉢合わなかったという。これはヒグマ側が人間に気を遣っていたのではないか、という表現をしていた。しかし、昨今はヒグマと人間が昼間に出くわす頻度が増えた、という。

旭川にはたくさんの自然や景観を楽しむスポットがあるが今やヒグマの危険性と隣り合わせである、そう感じた。

交流会。旭川市長、実行委員長、など、さまざまな来賓と豪華な食事、地酒が振舞われた。とても華やかなで楽しい交流会だった。わたし自身、発表の座長をしてもらった先生や、日頃から業務でお世話になっている企業や大学の先生など、幅広い方々と日頃の緊張をほぐす機会に恵まれた。
とても楽しい会だった。

旭川市の八景 常磐公園

最終日、少し時間があったので、会場から近場の常磐公園に訪れた。

常磐公園内 樹木の数々

立派な樹木が育っていた。旭川の大地の強さを感じさせる公園だった。
もう少し超えた先に石狩川がある。

石狩川 上流 右手に旭橋を望んで

旭川の空は水色で広大である。
さて、旭川の全国大会に参加して得たことを以下にまとめたいと思う。

地盤工学技術者としてこれまで研鑽を重ねた業務の中での成果を全国大会の場で多くの聴衆に訴えられたこと、これは非常に自分の自信につながる経験であった。そしてまた、それを業務関係者の上司・先輩・後輩が見守ってくれたこと。それもまた幸せなことだった。

全国大会で自分の興味・専門と近い内容の研究発表を多く聴講した。以前と比較し聴講内容を噛み砕いて自分の頭で言語化できるようになった。そのため、質疑応答にも積極的に参加でき、セッションに主体的に参加できた。これも自分自身の成長を感じられたことで良かったことだった。

大会中業務で関わった方から声をかけられることが2〜3回あった。わたしの方から業務で助けを求めた人が、今回大会中「岡田さん」と声をかけてくれたのは嬉しい場面だった。

大会初日の前日、東京大学地盤工学研究室の先輩方がOB会を開いてくださった。それもまた自分にとって誇らしい感慨深い機会だった。

自分自身の誇り、そして感動、愛情、を取り戻す旭川大会となった。

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