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元祖牛めし

新橋の近く、リクルート銀座8丁目ビル(通称G8じーえいと)の前にいた。
打ち合わせ後に新橋に向かっていた。

G8はすでになくなっていた。
僕のリクルート時代の思い出の地は、この世から消えた。

取り壊されたG8ビル跡

別にセンチメンタルになったわけではない。
僕もずいぶん歳をとったのだ。
変わりゆく街を改めて感じた。

ふと、グーグルマップを開き、ストリートビューを見てみる。
今ではこの場所はどんな感じになっているのかを確認するために。
すると、今なおG8がマップ上の画像ではみることができたのだ!

Googleマップには今はなきG8ビルが残っていた

ちょっと驚いた。
そして懐かしくなった。
逆にセンチメンタルを感じてしまう。

懐かしくなったせいか、
リクルート時代によく食べた飯を食べたくなった。
新橋で懐かしいと思える食べ物もたくさんあるが、
その中でも、この近くには本気で無くしたくない店が一つある。

いつなくなってしまうかわからないお店に、今行っておかなければ!
という気持ちになった。

だってG8も、あの頃はなくなるなんて思わなかったもの。

あと、RYOJIさんの「今食いたいのは牛丼」という文言を見ていたのも
影響しているかもしれない。内容は全然違くて大量のあんぱん食べる話なのだけど。

そこはGINZA91号店、土橋の交差点近くにある
1963年創業の老舗店。
1973年生まれの僕の10歳上の先輩になる。

逆に今もまだあるのか、心配になったくらいだ。

店の扉を開ける。
カウンターにたった5席の小さなお店。
しかし、牛丼チェーン発祥の店であり、元々は24時間営業を初めてやったお店なのだ。
いや、ぶっちゃけ当時はそんなこと知らなかったけどね…。

詳しくは近代食文化研究会さんのnoteを読んで欲しい。

カウンターの中にはあのお母さんがいた。
やっぱりあの頃よりはずいぶん歳をとっているが
(20年たってるから当たり前、というか同じ人物なのかも怪しい…)、
今なお変わらずにワンオペでお店を切り盛りしていた。

メニューを見る。

これがメニュー

相変わらずのメニュー。
ん? これまた全然当時のメニューを覚えていなかったよ…。

…まあいい、あの頃も牛めしを食べていただけだし。
ん?
当時は牛めしが400円くらいだった気がする。
そりゃ20年も経ってれば、値上がりもするよな。
それでも650円。

牛丼チェーンよりは高く感じるかもしれない。

しかし、コレは牛丼ではない。
牛めしなのである。
明治の文明開化以降食べられた牛なべや牛めし。
そんな戦前までの牛めしの味を今に伝えるのが
このお店の牛めしなのだ。
文化的価値の重みがたったの150円で享受できると考えると
破格としか言いようがない。
なんなら無形文化財として指定されてない方が不思議な国宝とも呼べる一品。

肉大がけ+玉子 なんどき屋@新橋

大がけとは吉野家でいうアタマ大盛りのこと。
ちなみに肉量は吉野家の1.5倍くらいある。
そこに肉豆腐的な豆腐も載せられている。

お母さんが一杯一杯手作りで作る牛めし。
20年ぶりに口にする。

ああ、母さん!

戦後、東北から出稼ぎに出てきた若者が
やっとのことで稼いだお金を持ってこのお店にくる。
そして、その一杯の牛めしに、母を思い出す。
そんな優しい味。

まあ、そんな時代に生きてはいないので、全然知らんのだけど。

煮込まれた豆腐と牛肉・玉ねぎ・こんにゃく。生卵を乗せるのがやっぱり好き

すき焼き風の甘めのタレでよく煮込んだ牛肉は
何度も灰汁をとっているのか
余計な脂分を感じないほどさっぱりしている。
牛肉は牛丼チェーンと比べてやや厚め。
食べ応えもある。
玉ねぎと牛肉の下に敷かれた太めのこんにゃくも味がしみている。
さらに豆腐も出汁がしみしみだ。

とはいえ味が濃いというより、全体的にさっぱりめで優しい味。
脂っぽさもかなり控えめだ。

それに合わせた白飯は熱々で柔らかめ。
牛肉との相性なのか、この柔らかめの白飯がたまらなく旨い。

丼をつかんでガバガバッとかき込んでしまう。

ちなみに牛丼屋で紅生姜をぶっかけるのに慣れているヤカラには
残念な報告だが、この店に紅生姜はない。

今の牛丼チェーンと比べると、ジャンクというかパンチは少ない味。

だが、それがいい。

だって、こんな牛丼はここでしか食べられないのだから。

いつもはジャンクで舌バカな僕でも、この優しい味の旨さは身体で理解してしまう。

それは母が作ってくれた牛めしの味を想起させるからなのかもしれない。

20年ぶりの牛めし、美味しかったです!
ごちそうさまでした!

お母さんもずいぶん歳をとっていた。
それでも変わらず優しげに丹念に調理してくれる姿に、
胸を打たれました。
一日でも長くお店を続けてくれることを切に願っています!


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