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tomekantyou1
マキャベリスト2
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静かな退却 ― その先
ドアの向こうに出た瞬間、
夜の空気が肺に入った。
冷たい。
けれど、痛くはない。
男は歩きながら、
初めて自分に問いかけた。
「それでもいいのか?」
失うかもしれない。
誤解されるかもしれない。
逃げたと言われるかもしれない。
それでも。
立ち止まる。
街灯の下、影が伸びる。
彼は気づいていた。
自分は、もう十分に向き合ったのだと。
耐えた。
飲み込んだ。
考え続けた。
正しさも、
愛も、
責任も。
その全部を抱えて、歩いてきた。
だからこそ、今は選ぶ。
「それがどんな結果でも受け入れる。」
離れることになっても。
形が変わっても。
日常が違うものになっても。
自分は父親であることをやめない。
それだけは、奪われない。
一緒に寝る夜が減ったとしても、
ゼロにはならないと信じる。
守るとは、
常に隣にいることではなく、
壊れない自分でいることだと、
ようやく理解した。
彼は歩く。
重たい胸のまま。
けれど、背中はまっすぐだった。
覚悟とは、
勝つことではない。
結果を受け入れること。
どんな形になっても、
自分の選択を引き受けること。
夜は深い。
だが、彼の中には
小さな灯りが残っていた。
消えていない。
それだけで、十分だった。
