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ーー《それでも、来年を生き直す男たちへ》特別話ーー静かな朝に、まだ何も決めなくていい

正月の朝は、少しだけ音が少ない。
車も、人の声も、いつもより遠くにある。
カーテンの隙間から入る光が、
昨日までとは違う角度で床を照らしている。
それだけで、「年が変わったのだ」と分かる。

まだ、何も決めなくていい。
抱負も、目標も、覚悟も。
今日はただ、
この静けさの中に立っていればいい。



年が変わる瞬間、
人生が劇的に変わることはない。
それは分かっている。
それでも新年の朝には、
「少しだけやり直せる気がする」という錯覚が残る。

その錯覚を、
今年は大事にしてもいいと思う。

無理に形にしなくていい。
数字にしなくていい。
ただ、「まだ終わっていない」という感覚だけ、
胸の奥にそっと置いておけばいい。


窓を開けると、冷たい空気が入ってくる。
肺の奥が少し痛くて、
それが生きている証拠みたいで、悪くない。

昨日まで抱えていた焦りや後悔は、
なくなったわけじゃない。
でも、今日はそれらが少しだけ静かだ。

それでいい。

人生は、
常に前を向いていなくてもいい。
ときどき立ち止まって、
「まだ歩ける」という事実を確かめるだけでいい。


去年、できなかったことがある。
選ばなかった道がある。
守れなかった約束も、きっとある。

でも同時に、
投げなかった人生もある。
折れなかった心も、ちゃんと残っている。

それは誰かに誇るものじゃない。
ただ、自分が生き延びた証拠だ。


今日という日は、
何かを始めるための日じゃなくていい。
「ここに戻ってきても大丈夫だ」と
自分に許可を出す日でいい。

焦らなくていい。
比べなくていい。
今年のあなたは、
もう十分、よくやっている。


カレンダーはまだ白い。
予定も、目標も、余白だらけだ。
その余白は、不安じゃない。
可能性だ。

小さな一歩は、
今日じゃなくてもいい。
でも、歩ける場所があることだけは、
忘れないでほしい。


この一年が、
劇的に良くならなくてもいい。
ただ、
少しだけ自分に優しい一年になればいい。

新年の朝は、
それを願うだけで、十分だ。


あとがき

ここまで読んでくれたあなたは、
もう一度ちゃんと生きようとしている人です。
新年に必要なのは、
強さよりも、静かな信頼。
今年は、その信頼を少しずつ
取り戻していけますように。

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