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【毎週ショートショートnote】火星馬券

「なんだってこんなもん貰ってきて!」
相棒の剣幕に肩をすくめる。
「しょーがねーだろー? 文無しだってんだから」
「だからってこんな紙屑」
捨てられかけた紙束を慌てて拾い上げる。そう、紙。この宇宙を自由に行き交うデジタルの時代に、紙。
粗悪な手触りだけれど貴重と言えば貴重だ。
とはいえこれの価値はそんな骨董的な面にはない。
「紙屑とは聞き捨てならねえな、これはれっきとした馬券だぜ? 当たれば一攫千金。最初の報酬額なんて目じゃない」
相棒の目は冷たい。まったく。ロマンがわからない奴だ。
「こんな時代錯誤の代物、どこの辺境の賭博場だよ。まさか地球とか言わないよな」
「惜しい、火星」
「どっちにしても太陽系かよ!」
「しかもレースは明日。これはもう行くっきゃねえな」
「行くなら一人で行けよ、俺は行かないからな」
「そう言うなって。俺とお前は運命共同体だろ?」
「おい待て何勝手にルート変更ふざっけんな!」
相棒の怒声は、光速導路こうそくどうろの騒音に掻き消えた。



(本文410文字)

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たらはかに(田原にか)さんの、毎週ショートショート。今回は表裏両方挑戦させていただきました。
今週の裏お題は、【火星馬券】とのこと。

※見出し画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。

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