【毎週ショートショートnote】墓ミーム【410字】※ちょっとだけ追記
とにかく「推し活」なのだった。
推しが行った場所、持っていたもの、食べたもの、好きなもの、言った言葉。それらはひたすら拡散とシェアを繰り返した。
会えると聞けば人々はそこに殺到し、推しが踏みしめた地面に額を擦り付け、指先一本でも推しに触れようとした。押しとどめる警備をかいくぐって、推しのまとった衣服に手を伸ばし、手の甲を衣が掠めたと感極まって気絶する。
推しの口から発せられる言葉は全身を耳にして聞き、不幸にもこの場に集えなかった人たちにシェアするため、或いはマウントを取るために、あらゆるツールでその言葉を拡散する。
拡散とシェアによって、感動と欲求は共有されていく。
だから、死んだとなれば。
その骨が、拡散とシェアの対象となって争奪戦が繰り広げられるのも、当然のことだろう。
「そんなわけで、うちの村では、あの素晴らしい真理を説いた口から、右下の犬歯をもらったんだよ」
釈迦牟尼世尊の遺骨を納めた仏舎利塔はなにしろ世界中にある。
--------------------------------------
たらはかに(田原にか)さんの、毎週ショートショート、今週の裏お題に挑戦させていただきました。
今週の裏お題は【墓ミーム】。
墓ミームのお題の為に、そもそもミームってなんぞやと考えまくっていた時にふと、
あれ……
仏舎利塔って……
もはやあれそのものが「墓」の「ミーム」化したものでは……?
と思いついてしまって、こんな不遜すぎるショートショートが生まれました。ごごごごごめんなさい。
でも、釈尊(お釈迦様)の骨を分骨しまくってあっちにもこっちにも塔を建てている(或いは遺骨が入ってすらいないけど形は真似して建てている)って考えると十分……いや、なんでもない。宗教に喧嘩を売りたいわけではない。
※ちょっとだけ追記※
なんなら、釈迦牟尼世尊と名指しにしているけれど、それはこの世の全ての「推し」たるものの暗喩のつもりもあります(だからこそあえて、耳慣れない尊称を選んでみました)。
愛されるがゆえに貪られるさだめ。
ミームそれ自体がそうだよな。
今週も脳がカルチベートされるお題でした、参加させていただき有難うございます!
表お題にもチャレンジできるかなー。
前回の毎週ショートショート参加作品はこちらです。
※見出し画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。
