Photo by
kazehukaba
【毎週ショートショートnote】額に入った夕暮れ
「これがかの有名な、地獄四十九景。見事なものだね」
隣に立った男が訳知り顔で言う。
目の前の壁には、赤々と燃える夕景色が描かれた絵。美しいばかりで、一体全体どこが地獄なのだかまるでわからない。
作者不明の絵で、49枚の連作だと言われているけれど、そのほとんどが散逸している。
残されている絵は、地獄とは到底思えない風景画ばかり。どの絵も署名があったであろう箇所が破り取られているらしい。
「この絵を最後に、画家は姿を消したそうだよ」
作者不明の癖に、そんな話は残っているのだから胡散臭い。
「まるでこの世の終わりだ」
窓の外も、同じくらい見事な夕景色だった。
そう思って眺めていたら、グシャり、と景色がむしり取られる。
「ああ、画家の名前が書いてあったのはあの辺りだったか」
驚いた私に、隣の男はなんてことの無い調子で言う。
「大丈夫。この建物にいる限りは安全だよ。ほら、絵を見るといい。ちょうどこの建物が描かれてる。だからここは破られないよ」
(本文410文字)
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以前から気になっていた、たらはかに(田原にか)さんの、毎週ショートショートに初挑戦させていただきました。
今週のお題は、【額に入った夕暮れ】とのこと。
毎回魅惑的かつ難易度高そうなお題を、FFさんがさくさくこなしていらっしゃるのをお見掛けして、わわわってたじろいでおります。
ファンなんですけど、なかなかハードルが…。
とはいえそんなことばっかり言って、挑戦しないのも残念で、今回ガンバッテミマシタ……
※見出し画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。
