ポケモンとエロゲで見る時代評価・バイアス

2015年の上記記事を自分なりに再構築した二番煎じ的な内容。
「当時は凄かった」とか「時代を考えたら偉い」といった評価の掘り下げ、2025年バージョン。


ポケモンのリメイク・コンシューマーゲーで見る時代評価

2006年9月28日『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』(ニンテンドーDS)
2008年9月13日『ポケットモンスター プラチナ』(ニンテンドーDS)
2021年11月19日『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』(Nintendo Switch)

ポケットモンスターシリーズ発売順

『ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』の評価


約15年越しのリメイク『ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』(通称「BDSP」「ダイパリメイク」)の筆者の評価

ポケモン本編シリーズをほぼプレイ済み。パールは5周、プラチナは1周している。

・実質的なアッパー版(完全版)の『プラチナ』ではなく『ダイヤモンド・パール(以下「ダイパ」)』をベースにしているため、プラチナで明確に改良された部分が反映されていない。その割には四天王・チャンピオンなどのピンポイント強化や『プラチナ』要素のアレンジなどがあるため、『ダイパ』に忠実なリメイクとしても半端。
・他のポケモンシリーズの追加要素(せいかくミント)やUIなどをある程度引き継いでおり『ダイパ』と比較した場合は遊びやすくなった。特に殿堂入り(クリア後)の入手可能なポケモンが増え、対人戦の準備なども『ダイパ』と比べるとはるかにマシ。
・2D前提のマップを3Dにしたことによる操作感の悪化など『ダイパ』から悪化した部分もある。
・ネット上においてはバグの多さや低頭身グラフィックが取り上げられやすい。実際に普通にプレイしても画面の一部乱れなどは頻繁に発生した。話題になった増殖バグなどは手順は違えどポケモン過去作でもできたことであり、悪用には知識が必要。コミュニケーションゲームとしては致命的な破綻だが、ネット情報をシャットアウトしてソロプレイする分にはあまり気にならない。グラフィックは改善の余地は感じられるが、ゲームプレイ上はさほど支障がない。

総評
限定キャラの登場やバトルフロンティアがあるため、そのあたりを重視するなら、『プラチナ』に軍配が上がる。
ただDSは旧ハードでUIなどに難もあるため、サクッとシンオウ地方を冒険したいなら『BDSP』を選んでも悪くない。


ネット上において、ある程度まとまった文章量のあるレビューでも上記のような感じであり、
「『ダイパ』からの改善点はあるが、追加要素がほぼなく、『プラチナ』に劣る部分もあるがっかりリメイク。遊べなくはないが、2021年で約6,000円のゲームとしては物足りない」
あたりが妥当な評価だろう。

時代評価

根本的なところはあまり変わっていないのに、ニンテンドーDS屈指の人気作『ダイパ』と『BDSP』でここまで差がついたのは何故か。

ゲームボーイアドバンス売上1位の『ルビー・サファイア』以来となる本編シリーズ完全新作で期待されていた『ダイパ』の魅力と2021年時点での他作品との比較を述べる。

・ポケモンや道具の大幅増加
・地下通路などタッチパネルを使う要素やGBAポケモンとの連動など、DSを生かした機能
・イベント増加による人物の掘り下げ
・ポケモン本編で初のインターネット対戦・交換に対応。インターネット状の交流も盛り上がる(厳密には『クリスタルバージョン』の有線インターネット通信が先。

・ポケモンや道具の大幅増加
2017年の『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』はそれまでのポケモンや道具がほぼ全部入り+新規(ギザみみピチューなどごく一部を除く)

・地下通路などタッチパネルを使う要素やGBAポケモンとの連動など、DSを生かした機能
後継機種の3DSも含め、ダブルスクリーンを生かしたミニゲームなどは多数
あり。

・イベント増加による人物の掘り下げ
容量が比べ物にならないほど増えた『ソード・シールド』では有料DLCも含めて濃厚な物語を展開。

・ポケモン本編で初のインターネット対戦・交換に対応。インターネット状の交流も盛り上がる
ポケモン本編シリーズはすべてWi-Fiに対応。

2006年『ダイパ』発売時点で新鮮味のあった要素は、2021年『BDSP』発売時には過去のものとなっている。原作プレイ済みなら既知のポケモンや人物しか登場せず、他媒体(派生ゲーム『ポケモンマスターズ』やグッズ)でも見慣れているため、キャラクターとの久々の再会にもなりにくい。
Switchの新作RPG『ゼノブレイド2』などと比べて『BDSP』の価格帯は安いものの、一本のRPGとしてみた場合は見劣りが否めない。

ポケモンはシリーズ物のリメイク故に、原作やシリーズ作と比べられがちだが、オリジナル作が十年越しにリメイクされたようなケースでも似たようなことは起きる。
比較的好評な『スーパーマリオRPG』(スーパーファミコンと同名のSwitchリメイク版)でも原作に忠実ゆえのボリュームの少なさは指摘されやすい。

上がり続ける時代評価のハードル・評価バイアス
実体験として、『大乱闘スマッシュブラザーズX』や『モンスターハンター ポータブル』の3Dグラフィックを実写さながらだと当時は思っていたが、今見て同様の評価はできない。
思い入れのないレトロゲームに対しては特にこの傾向が強くグラフィックの粗さが目に付く。
ノベルゲーム系統のUI周りも分かりやすいが2000年の『AIR』はCDを入れないとBGMが鳴らず、CVもない。だが当時としてはどちらもよくある要素であり、ボイスなしならではのテキストと評価されることもあるなど、一概に欠点とは見なされていない。
国産商業の一般的なエロゲでボイスがないのは(RPGだが)2018年の『ランス10』が最後だろう。
「名作が生まれにくくなってきている」と一部で言われるのは、できて当然の要素が増えた上に、ユーザーの目が肥えてハードルが上がり続けているのもあるだろう。

時代評価の誤認

「ポケモンはゲームボーイ初のRPG」(魔界塔士Sa・Gaが先)
「ダイパはポケモン本編で初のインターネット対戦を搭載」(クリスタルが先)
など、知識がないと前提から間違った評価になってしまう。
詳しくない分野は時代評価せず、「自分にとって初めてだった」「今プレイしてこう思った」と主観評価だけ書いたほうがいい。

評価バイアス

消費市場の成熟度が高い(=消費するユーザーの目利きが厳しい)と粗雑で稚拙なコンテンツは受け入れられなくなっていく。逆に消費市場が成熟していない場合はレベルの低いコンテンツでも受け入れらていくようになるだろう。
質のいいノベルゲームに触れたことがないユーザーが付ける点数だからこそ『NOeSIS』は高評価になり、逆にエ口ゲ批評空間消費市場は数十・数百本ノベルゲームをプレイした人たちが付ける点数だからこそ厳しく・目利きされるために低評価になってしまう。

累計800,000ダウンロードされた『NOeSIS』の文章レベルが低くてGiveUpしたお話(原文ママ)

「同人ゲーと商業ゲーを一律の基準で批評したって意味ないじゃないですかぁ」という定型文があるんですわ。このエロ助のそういう馬鹿な事を言う人がいるが、これの何が間違っているのかっていうと「なんで、どのようなところを比べてはいけないのか?」っていうところをきちんと考えていないところだ。同人ゲーというか廉価ゲーだから「パートボイスは仕方がない」っていうような「そこを比べてはいけない」っていう批判ならある程度の妥当性はあるんだが、パートボイスなのにエロシーンにエロボイスを使っていないのを「それが同人ゲーだから批判の対象にならない」というのは意味が分からない。

マルセルさんの「死神娼館 ~ 宿屋の主人に転生して女冒険者にいろいろするRPG」の感想

上記の「エロ助」は「ErogameScape -エロゲー批評空間-」の略称。
短編含めフリーゲームは100本以上プレイしたが、上記の主張には同意できる部分が多い。実例を載せる。

市場による評価の違い

小説家になろうの『意味が分かると怖い話 傘』をMinecraftでアレンジした上記動画は58万再生されている。

原作者はアダルトゲームでシナリオなどを担当している「坂道アリス」(なろう名義は「流星群」)。作品単位(『リトルプリンセスGO!』)などで語られることはあれど、名義が語られることは皆無。
上述した小説・動画は両方見たが面白さは大差ない。環境による評価の違いの分かりやすい例だろう。

価格帯

上記ゲームは無料で全シナリオを読める。なお、1,100円の有料版では音声が追加される。
フリーゲームだが、おまけ部分は有料の形式に近い。

私は無料版のみプレイして恋愛部分に面白さを感じられた。だが1,100円出すなら恋愛漫画や他のロープライスゲームを買う方がいいんじゃないかなぁ……。無料版も見方によっては不完全だし、最初から完全無料のフリーゲームでもやったほうがいいと思う。
と、有料版が存在することで無料版の評価が歪んでいる自覚がある。

これに限らず少人数制作・同人といった小規模な開発ほど「同人なのに凄い」「同人だから(バグの多さなど)仕方ない」といったバイアスがかかりがち。

ネットにおける評価

『星のカービィ ディスカバリー』のミニゲーム「コロコロ! タマコロカービィ」はYouTubeなどでは難しさが過剰に強調されやすい。
実際のところは
・あくまで任意のタイミングで遊べるミニゲーム。
・通常モードは少しの練習でクリアできる程度の難易度。難しいのは達成率に関係しない、あくまでチャレンジ要素のゲキムズモードのみ。
・1プレイにゲーム内マネーは必要だが安い。何度もミスしながら覚えるゲームバランス。
「達成率を上げるための部分は簡単で、あくまでやりこみ要素のゲキムズモードはある程度ミスしながら感覚をつかんでいくゲーム」が実情だが、「ラスボスより難しい鬼畜」などと評されやすい。
これもBDSPと同じく、インパクトのある切り抜きや表現が、動画やまとめサイトの閲覧数を稼ぎやすく、アフィリエイト収入になりやすいからだろう。

近年では明らかにAIに書かせたレビューやまとめ情報も見られる。便宜上の点数やAランク評価などが付いているが、これはアフィリエイトで買ってもらうための高評価だろう。

エロゲ

エロゲタイトルの大多数はWindows対応。
2000年の『AIR』も2020年の『ハミダシクリエイティブ』も同じパソコンで起動するなど、古い資産が新規パソコンでもそのまま引き継げるケースが多い。中古やDLのワンコインセールなどもあり、古いゲームに手を出す新規プレイヤーも見られる。
多少ネットに張り付いていれば、お勧めエロゲを訊いて「C†C車輪村正WA2サク詩」(2015年以前のエロゲ)の呪文を唱えられるのを見たことがあるだろう。

昔のエロゲについて思うこと

便宜上、現時点から見て15年前の2010年以前を昔とする。
エロゲに準ずるもの(『planetarian ~ちいさなほしのゆめ~』など)も含める。分類は主観。

ゲーム性強め
コンシューマーに近い評価。シミュレーションやRPGが顕著だが、ユーザビリティが不親切で、現代ゲームに慣れていると苦しい。
思い入れのないタイトルやシリーズもの以外をプレイする理由は見出しづらい。

キャラゲー・抜きゲー
ビジュアルと声への依存が大きく、現代に総合点で勝るのは厳しい分野。
バトルものなどもここに含める。

「仲間内で楽しく女体盛りするのを見たい!」といったピンポイントなシチュエーションを求める人に『エンジェルメイド』を勧めるなどといったことはあり得るが、「かわいい妹がいる」「チームの友情が素晴らしい」といった普遍的な要素で現代萌えゲーには勝てず、中古やDLの安さ以外のメリットに乏しい。

シナリオゲー
『さよならを教えて』など
絵に比べるとテキスト依存の要素は古臭くなりにくい。
例えば山月記は原文の文体は古く読み辛いものの、内容は現代にも通じる教訓である。
Windows以降のエロゲであれば文体は現代と大差ない。UIや絵の古さを堪えてでも遊ぶ価値のあるレトロエロゲは、ここに偏っていると思う。

シナリオ・キャラゲーのハイブリッド
「あっぷりけ」ブランドなど
俗にシナリオゲー扱いされている、萌え系イラストエロゲの大多数がこれ。
主題ではない恋愛周りにテキストやCGをある程度割り振るタイプ。
長所も短所も折半。完全に腐ることは少ない反面、妥協のない満足感を得るのも難しい。

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