教科書に載った、その先へ。── 頸椎OPERAとApple Vision Proが出会う手術室
「倫理委員会を通して、正式に。── 頸椎OPERAとApple Vision Proが出会う手術室」
■ 今日も岡山で
今日も岡山で仕事です。
国立岡山医療センターで、頸椎OPERAにApple Vision Proとナビゲーションシステムを組み合わせた新しい手術を行っています。
■ 倫理委員会の承認を正式に取得
今回、大きな一歩がありました。
倫理委員会の承認を正式に得て、Apple Vision Proの手術への使用が正式に認められたんです。
なぜこの話を強調するかというと、新しいテクノロジーを医療に持ち込むとき、「面白そうだからやってみた」では済まないからなんですよね。研究計画を立て、患者さんへのリスクとベネフィットを検討し、倫理審査委員会の審査を受けて承認を得る。このプロセスを省略して先走ることは、患者さんの安全と権利を守る立場として絶対にやってはいけないことです。
逆に言えば、このプロセスをきちんと踏んだからこそ、胸を張って「正式な臨床研究としてApple Vision Proを手術に使っています」と言える。ここが大事なんです。

■ 教科書の「期待」を、現実に
先日、新OS NEXUS No.18に掲載された記事の中で、手技のポイントとしてこう書きました。
「外視鏡は映像情報をいったんデジタルデータに落とし込むため、XR等の支援機器との統合が期待できる。」
あの「期待」を、今まさにこの手術室で現実にしています。
Apple Vision Proが提供する空間コンピューティングの力と、ナビゲーションシステムのリアルタイム位置情報。この二つが合わさることで、術中に脊椎の3D構造を直感的に把握しながら、ミリ単位の精度で除圧を進めることができる。
僕が10年前からHoloeyes社の杉本真樹先生と一緒にVR/XR技術の脊椎手術への応用を開発してきたのは、まさにこの瞬間のためです。CTデータの3Dモデル化による術前シミュレーションの段階から、いよいよ「術中にリアルタイムで使える」段階へ。技術が確実にステージを上げました。
■ 正しい手順で、新しい場所へ
京都の亀岡で僕が磨いてきた頸椎OPERA。それを山根健太郎先生が岡山で発展させ、外視鏡を用いたExLAPとして教科書に載せた。そして今、同じ岡山医療センターの手術室で、倫理委員会の正式な承認のもと、Apple Vision Proとナビゲーションを加えた次のバージョンを一緒に作っている。
新しいテクノロジーに飛びつくだけなら誰でもできます。でも、正しい手順を踏んで、エビデンスを積み上げながら、患者さんの安全を守ったうえで前に進む。その姿勢こそが、テクノロジーを「おもちゃ」ではなく「医療」にする唯一の道だと僕は思っています。
外科医の指先の経験と、最新テクノロジー。そしてそれを支える倫理と科学的手続き。この三つが揃ったとき、手術は本当の意味で進化するんじゃないかと思います。
今日もその一歩を、岡山の手術室で刻んでいます。
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