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あんたら錬金術を何やと思っとるの③

こちらの記事は、私の師匠である現代の魔女霜月やよいさんのツイートした投稿が何を意味するのかを考えるため、錬金術を知ることを目的としています。今回は第三弾。

ようこそ、お待ちしておりました。第三弾にいらっしゃったということは、物理的な世界からおさらばしてきましたね。

錬金術を知るをテーマに歩んできましたが、これが最後の記事になります。第一弾では錬金術の基礎を、第二弾では大いなる業7段階の4プロセスを、そして第三弾では大いなる業の最終段階の3プロセスを探ってみたいと思います。


Nigredo(ニグレド)

「ニグレド」は、腐敗や分解を意味します。物質は腐敗することで黒く変色します。7段階で言うと5番目「発酵」です。化学的に表現すると、物質が発酵することで、細菌が成長し、新たな形に生まれ変わります。牛乳からチーズができたり、葡萄からワインができるように。それは、両性具有化した物質に、新しい生命を吹き込み、強化するのと同じです。第一弾で紹介した王と王妃の子供です。

そして、ニグレドは闇の門であり、「天国の光の中で再生されるためには、闇の門を通り過ぎることが必要である」と言われています。レトルト内は混沌であり、死、苦しみ、悲しみ、憂鬱などを象徴するカラスで表現されます。また、サトゥルヌスもニグレドの象徴です。ギリシア神話ではサトゥルヌスは石を食べさせられ、ジュピターが飲み物に塩と辛子を混ぜたため、サトゥルヌスは石を吐き出しました。別の視点で読むと、サトゥルヌスの腹の中は、まるでレトルトのようですね。

「このサトゥルヌスが自分自身の水によって洗礼を受けるちょうどその時に、黒いワタリガラスが飛び去る」鳩は腐敗の後に肉体の残りと再結合する精神を象徴している。

上記の絵画、怖い顔をしたサトゥルヌスが鳩を頭にのっけていて、何ともシュールで面白みがあるのですが、この絵画を見ると、映画「マトリックス」でネオが頭にアヒルのオモチャをのっけてお風呂に浸かっているシーンを思い出します。この時のネオは、ニグレドだったのでしょうか。

マトリックス レザレクジョンズ

カール・ユングは、ニグレドを心理的な特徴として2つに分けました。一つは、「意識と無意識が区別されていない無意識の状態。まだ本能との繋がりに気づいていない状態」である。二つ目は「個性化の過程におけるニグレドで、最大の絶望の主観と表現することができ、それは個人の発達の前条件である。道徳的決定を妨げ、信念を無効にしたり、不可能にしたりする行き詰まりさを生み出す。」としています。

すべてが腐敗し、肉体が朽ち、魂が肉体から離れるまで火にかけるのがニグレド。そうすることでEnantiodromia(エナンティオドロミア)と呼ばれる現象が起きます。

エナンティオドロミアとは、物事が極端になると、その反対に変わる現象のこと。

Calcination(焼成)が物理的な死に対し、ニグレドの段階は「霊的な死」です。

エコノミスト2023

2023年の世界情勢はどうだったでしょうか。先ほどのニグレドの解釈と照らし合わせながら見てみましょう。

1月
・中国ゼロコロナ政策終了
・中国が61年ぶり人口減
2月
・トルコ・シリア大地震5万人超死亡
・ロシアのウクライナ侵略1年。戦況はこう着
3月
・中国の習国家主席3選
・アメリカ地銀の破綻、欧州に飛び火
・中露首脳が相互訪問(3月、10月)
・ロシア、ベラルーシに戦術核配備方針
4月
・フィンランドがNATO加盟。31カ国体制に
・台湾総統が訪米し、米下院議員と会談
5月
・WHOがコロナ緊急事態を解除(緊急事態宣言から約3年3ヶ月)
・英国のチャールズ国王が戴冠式
6月
・タイタニック見学の潜水艇不明に(米オーシャン・ゲート社の潜水艇「タイタン」)
・日本、日経平均株価33年ぶり3万3000円超
7月
・NATO首脳会議、ウクライナ加盟見送り
・英国がTPPに加盟
・ロシア、黒海経由の穀物輸出合意停止
・国連安保理、AIテーマに初会合
・「ツイッター」の表示「X」に変更
8月
・ハワイ・マウイ島で大規模山火事
・インドが月面着陸に成功
・BRICS、6カ国が新規加盟へ
・EU、巨大ITに偽情報拡散の規制強化
9月
・モロッコで大地震
・金正恩氏が訪露、プーチン氏と軍事協力で合意か
・ゼレンスキー氏が国連総会に出席
10月
・ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏(mRNAの研究者)
・アフガニスタンで大地震
・ハマスがイスラエルに大規模攻撃、イスラエルが報復
・米が大統領令でAI規制
11月
・米中が1年ぶり首脳会談
・北朝鮮「軍事偵察衛星の発射成功」
・キッシンジャー米元国務長官が死去
12月
・日本製鉄がUSスチールを買収することを発表


各メディアのニュースタイトルを拾ってみました。闇の門を通り朽ちたもの、闇の門を通ることで発展していくもの。統一に向けて不要なものは朽ち、必要なものは活性化していくような1年でした。

ニグレドが霊的な死を迎えると、アルベドに道を譲ります。

Albedo(アルベド)

「アルベド」は白化。不純物の洗い流し、鳩に象徴される洗礼です。このプロセスで対象は対立する2つの原理に分離され、魂本来の純粋さと受容性を表すとされます。7段階でいうと6番目の「蒸留」です。ワインを蒸留してブランデーができるように、発酵した物質の沸騰と凝縮で純度を高めます。

心理的には、男性の中の女性性、女性の中の男性性、反対を経由して自己を高めて認識し、精神を昇華させることを意味します。サンスクリット語で螺旋を有するものという意味の「クンダリー(クンダリニー)」は、チャクラと呼ばれる7つの生命エネルギーを活性化させるのですが、アルベドはこのチャクラが下層から上層へ繰り返し上昇していくようなイメージ。何度も螺旋を上るなんて、フリーメーソンの螺旋階段の象徴が思い出されます。

7つのチャクラとフリーメーソン7階段

カール・ユングは、アルベドを無意識の性同一性の魂といい、覚醒の経験であり、世界が自我や家族、または国以上のものになる意識の変化を伴うと説明しています。

エコノミスト2024

2024年エコノミストの表紙全体が白ベースなのはその通りですが、「鳩」「対立」「分離」といった表現も見えますし、2023年までのエコノミストは、人物や背景といった要素が重なり、ごちゃごちゃ感がありましたが、2024年は整理整頓されてそれぞれの箱に入って分類されている印象です。では、世界情勢も見ていきましょう。

1月
・米英軍、イエメン反政府勢力の軍事拠点を攻撃
・金正恩氏、韓国との平和統一を放棄
・石川・能登で震度7、津波被害
・日航機・海保機 羽田で衝突
・日本の探査機、月に初着陸
2月
・チャールズ英国王のがん公表
・米企業の無人船、月面着陸成功
・スウェーデンのNATO加盟決定
・日本、H3ロケット打ち上げ成功
3月
・EU議会がAI法制定
・露大統領選でプーチン氏通算5選
・モスクワ郊外のコンサート会場で銃乱射
4月
・台湾でM7.7の地震
・イラン、イスラエルを初の直接攻撃
・円安、34年ぶり1ドル160円
5月
・北京で中露首脳会談
・中国、台湾周辺で合同軍事演習
6月
・インドのモディ政権3期目発足
・G7、ウクライナ支援へ露凍結資産活用で基本合意
・スイスで国際会議「平和サミット」
・中国、月の裏側で試料採取
7月
・トランプ氏を狙った暗殺未遂事件
・ベネズエラ大統領選、現職の「勝利」発表
・日本銀行、20年ぶりに新紙幣発行
・パリ五輪
8月
・バングラデシュ首相、抗議デモで辞任し国外脱出
・タイ新首相にタクシン氏次女
・「南海トラフ地震臨時情報」初発表
・中国軍機が領空侵犯
9月
・中国で日本人児童が刺殺される
・米金利、4年半ぶりに利下げ
・中国、太平洋にICBM発射
・自民党総裁に石破氏、首相に就任
10月
・イスラエル、レバノンに地上侵攻
・ガザ戦闘1年、死者4万1000人超
・イスラエル、ハマス最高幹部を殺害
11月
・米大統領選、トランプ氏が勝利
・北朝鮮軍部隊のロシアでの戦闘を確認
12月
・韓国で「非常戒厳」を宣布
・シリア、アサド政権崩壊

どうでしょうか。国の対立構造がハッキリしてきたのと、感情を揺さぶられるニュースが多く流れ、国民同士や他国民との対立を誘導していたような気がします。宇宙、AI、紛争、経済面でも一歩足を進めた印象もありますね。他に気になるニュースがあれば教えてください。

Citrinitas(シトリニタス)

さてさて、浄化の後は「シトリニタス」、黄化です。アルベドから次のルベドに移る「変容」を表します。「赤い作業」の始まりです。7段階の中では該当するものはありません。象徴としては金の冠を被った王や王女で表され、王女のそばに白い鷲(水銀の昇華)がいたり、王のそばに金のライオン(硫黄による固定)が歩いているような絵柄が見られます。

カール・ユングの分析では、シトリニタスは「賢い老人」と分類されます。この「賢い老人」というのは、知恵と健全な判断力で知られる哲学者(賢人)を意味します。それは、自己の兆候と見なされ、「アニム(アニムス)の問題と長い格闘をした場合、無意識は再びその支配的な性格を変え、新しい象徴的な形で現れる」と言われています。

このアニム(アニムス)を説明すると、相反する力の統合のこと。ニグレドの「意識と無意識が区別されていない無意識の状態」から、極端な反対側に振り切り(エナンティオドロミア)、統合へ向かうことを表します。まさに変容ですね。

エコノミスト2025

エコノミスト2025の表紙を見ると、2024で綺麗に分けられていた要素が、大きさも形も差がほぼなくなり、すべてが箱の中に入れられました。そうして、また一つの円にまとまっていくように感じられます。

まだ2025年は始まったばかりですが、世界情勢はどうでしょうか。
1月
・カリフォルニア州で大規模な山火事
・イスラエル・ハマスが停戦合意
・トランプ大統領就任式

記事を書いている現在、まだ1月も半ばですが、大きなニュースが続いています。ここに個人的に加えるとすると、やはりXRPの500円超じゃないでしょうか。また、南海トラフ大地震が今後30年以内に発生する確率が80%に更新されたニュースも気になります。世界中で気候変動も地下活動も活発になっていますので、何が起きても良いように準備だけはしっかり整えておきたいです。

なんといっても、反対に振り切るエナンティオドロミアの年ですから。

さて、変容の兆候が見られると、いよいよ統合のアニム(アニムス)です。

Rubedo(ルベド)

錬金術「大いなる業」の最後の工程「ルベド」、赤化です。7段階で言うと「凝固」であり、蒸留によって生成された発酵物の沈澱、または昇華を意味します。エデンの園の回帰であり、神の精神と調和した以上に高いレベルでの回帰となります。象徴としては紫の服を着た王としても表されます。紫は光と闇の結合で生まれ、結合は光の勝利を意味します。紫は王の色ということですね。

そういえば、2024のエコノミストの中に、白と黒、赤と青の円が合わさるような絵柄があったような・・・。光と闇で紫、赤と青を混ぜると紫。

続けます。
身体は、血液中にエリクサーが放出され、身体を若返らせて、完璧な健康の器官にすることができます。男根の形をした松果体からの光と、下垂体の外陰部からの物質の相互作用によって、脳の神酒が放出されると言われています。

エコノミスト2026が出るのは、まだまだ先ですが、さてどんな表紙になるのか。「賢者の石」はどのような姿をして現れるのか。

イーロン・マスクが大統領就任式のイベント会場にて、熱い演説をしていました。ご覧になりましたでしょうか?

黒い観衆、青とクリーム色の背景に赤い床の会場はまさに錬金術の色彩。そんな会場で、彼はこう言いました。「黄金の時代に突入する」と。

そうして彼は、「他の星にアメリカ国旗をはためかせる」と熱弁し、左右に「Bam! Bam!」と旗を突き立てるジェスチャーをしました。左右に。そう、2本の柱のように。

ジブラルタル海峡を超えて、ニュー・アトランティスを目指したように、次なる新世界への旅立ちへ。2026年はそんな年になるのでしょう。

私たちは俯瞰してこの世界を見れるようにしておくのが良さそうです。

I .N .R.I

ここまで読んで、一つ忘れていませんか。大いなる業の7段階「焼成、溶解、分離、結合、発酵、蒸留、凝固」は、そのすべての過程において火にかけ続けた物質の変化を表しています。

「I .N .R.I」という言葉があります。キリストの磔刑の場面を描いた絵画に書かれることが多いですが、ネットでその意味を調べると「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と出てくると思います。ですが、この言葉の本当の意味、それは「Igne Natura Renovatur Integra(すべての自然は火によって再生される)」です。

第一弾から読んでいただいたのであれば、この言葉の意味を少しでも理解することができるのではないでしょうか。

四つの火の領域がこの作業を支配する

上にある絵画にも、それぞれの円の中には「火」が描かれています。私が今回参考にしている書籍の注釈にはこのように書かれています。

「一番下は火山の火であり、次が水銀の火、三番目が月の火で、一番上に太陽が昇る。それは自然の火である。この鎖がアルスの際にお前の手を導くように、お前の指導者とせよ」

下の元素の火は、その規則が錬金術の作業の要諦であり、他のすべてを貫いて、鎖を磁気的な力で相互に固定する。作業において、それぞれの火には、独自の中心と働きがあり、それぞれが相互に影響する。月と水銀の火はmenstruaすなわち強い溶剤である。これは竜と呼ばれ、自分と同じ性の蛇を食らい、吐き出し、変容させる。

上の太陽の火は偉大なarcanumであり、パラケルススはこれを、闇の元素の火と比較して、明るい「本質的な光」と呼んだ。この火は作業における創造的な作用因である。

「ALCHEMY & MYSTICISM」より

終わりに

ここまで読んで、「結局、錬金術というは精神のことを言っているのか、科学のことを言っているのか、どっちなの?」と戸惑う人も多いはずです。私もそう思っていました。

そこの戸惑ってるあなた、神話と惑星の話についても、同じように混乱していませんか?数字と宗教についてはどうですか?
大丈夫、真理を学ぼうとすれば最初にぶち当たる壁です。

その解決のヒントになる、とある本より大事な一文を紹介します。

・・・神話と自然学との分離を修復し、形而上学と宇宙論とを架橋するために「神話的思考」を実現する営為であり、具体的には古代ヘレニズム諸宗教とアブラハム一神教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教)の共通分母を探究し、全てを均一の統一体として解釈する方法である。

それらを理解するには、「神話的思考」が必要であり、それぞれ何を説いているのかを探ってみると必ず共通点が見つかる、ということです。枝や葉だけ見ていても、それが同じ木から生えたものかは分かりません。その先を辿ることで、同じ木から生えていると認識できるのです。

錬金術の分野で個人的な意見を申しますと、人それぞれ刺さるポイントは違うので、まずは自分のイメージしやすいジャンルから理解するのが良いです。なぜなら錬金術とはAs Above So Belowだから。精神面での解釈が理解しやすければ、精神面に変換をして理解すれば良いし、科学的な解釈が理解しやすければ、科学的に変換をして理解すれば良い。正解はなく、どちらも正解です。どちらにも変換できるからこそ、どちらにも利用できると考えるのが合っていると思っています。

そして、精神的なエネルギーを利用して科学的な作用を起こしていることもあるし、科学的なエネルギーを利用して精神的な作用を起こしていることも頭に入れてください。

全てはレトルトの中で起きています。
レトルトは、宇宙であり、地球であり、頭蓋骨であり、元素である。

最後に、マンリー・P・ホールの言葉で終わります。

錬金術の目的は、無から何かを作り出すことではなく、すでにある種子に肥料を与え育てることである。その過程は実際には金を生み出すことはなく、むしろつねに存在する金の種子を発育させ成長させるのである。存在するすべてのものは、霊つまりそれ自身の内部にある「神性」の種子を持つ。再生とは前に存在しなかったところに何かを配置しようとする過程ではない。それは実際には、人間のなかにある遍在的な「神性」を開示することであり、この「神性」は太陽のように輝き、接触するすべてのものを照らし出すのである。

「古代の密議」より

この記事が、7階段の手すりとなれば幸いです。
それではまた。別の記事で。


参考文献
・「錬金術」(ガイ・オグルヴィ著)
・「錬金術」(マンリー・P・ホール著)
・「古代の密議」(マンリー・P・ホール著)
・「ALCHEMY & MYSTICISM」(アレクサンダー・ローブ著)

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