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成瀬「心と言葉の英文法」レクチャーシリーズ015「心の英文法」名詞認識(7)名詞認識の三層構造 3

英語の「心の仕組み」がわかる!

成瀬がユーチューブで展開しているレクチャーシリーズ(約10分ビデオ40本)のテキストバージョンです。同シリーズでは英語の認識・思考の特性からセンテンスの構造までのすべてを解説しており、英語の心と言葉の仕組みの全容を知ることができます。ユーチューブビデオにはタイトルに提示しているURLからアクセスできます。

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015「心の英文法」名詞認識(7)名詞認識の三層構造 3

https://www.youtube.com/watch?v=rlr5K1bOyxk&feature=youtu.be

 

「名詞認識」の7回目の講義をはじめます。前回の「名詞認識の三層構造2」の講義では、名詞認識の三層構造に関して「本」、bookを例として説明をしました。今回の講義では、名詞認識の三層構造に関して、別の例として「髪」、hairを取り上げて、英語の世界での、数えられる、数えられないという認識の仕方について更に一歩深く踏み込んで説明をします。この講義の内容を理解すれば、皆さんの英語の名詞の使い方は、さらに一段グレードアップします。では、はじめましょう。

 たとえば、「私には白髪(しらが)がある」という内容を英語で表現したいとします。その際、I have white hair.とするのは、基本的には間違いです。なぜならば、hairという語を何もつけないで裸のままで用いると、頭髪全体を示す「不可算」の表現、つまり「髪というもの全体」の意味になるからです。これでは、あなたは総白髪(そうしらが)だということになってしまいます。実際、white hairでグーグルの画像検索をしてみると、この人に代表されるように、ほぼすべての画像が真っ白な頭髪の人々の画像です。白髪交じりの頭髪の画像は見当たりません。

もし総白髪ではなく、たとえばこの人のように白髪交じりであるということを言いたいのであれば、方法はふたつあります。ひとつはhairを不可算の認識のまま用いてI have gray hair.とするわけです。黒と白が混じっていればgray、灰色だ、という理屈です。日本人にはなかなか納得しがたい理屈ですが、まあ、そういうことです。

もうひとつが、hairを「可算」と認識して表現するやり方です。この場合には、hairを何もつけずに丸裸のままで用いるのではなく、a hair, hairs, a few hairsなどといったかたちにします。実際の英語センテンスとしては、たとえば、I have some/many white hairs.などといったものが考えられます。

ここからわかることは、hairという語が数えられるのか、数えられないのかといった認識は、表現者の心のなかにある、ということです。表現者が数えられると判断すれば、それは数えられます。I have many white hairs.です。数えられないと判断すれば、I have gray hair.です。このことを理解できれば、英語での可算・不可算の区別は、こわくはありません。すべては、自分の心のなかにあるのですから。

 「特定・不特定」「可算・不可算」という順番に判断を行ったのち、書き手がその名詞を「可算」だと認識している場合には、第三のステップとして「単数/複数」の区別をします。

単数/複数の区別は、簡単です。書き手がひとつだと認識しているときにはaをつけて、2つ以上だと認識しているときには複数形にすればよいだけの話です。あまり神経質になる必要はありません。

たとえば、上の白髪(はくはつ)のケースでは、もし白髪が一本だけならa white hair、複数あるのならばwhite hairsまたはa few white hairs、もっと数多くあるのならば、many white hairsにすればよいのです。それだけです。 

以上のことを図にまとめると、このような英語の名詞認識の三層逆ツリー図ができます。単層である日本語の名詞の認識構造では「髪」という一語ですが、三層である英語の認識構造を通すと、the hairs, the hair, hairs, a hair, hairという5つのかたちに分化します。 

なおネイティブ英語の世界では「純粋不可算名詞」「純粋可算名詞」と呼ばれる例外的な名詞認識があります。「純粋不可算名詞」で有名なものとしては、ここで示している「情報」informationのほかに、equipment, knowledge, furniture, evidence, adviceなどがあります。これらの語には、「可算」認識がありません。したがって、表現としてはここで示すように、informationとthe informationの2つだけです。「純粋可算名詞」の例としては、ここで示している「機械」machineのほかに、tube, cupなどが挙げられます。これらの語には不可算の認識がありません。

なぜ英語にこうした例外的な認識があるのかを説明をしている英文法書はまだ見つけていませんが、私の推測では、おそらく次のようなことではないでしょうか。まず、「純粋不可算名詞」はinformation, equipment, knowledge, furniture, evidenceにおける-tion, -ment, -ege, -ture, -enceといった語尾のかたちから分かるように、基本的に動詞の派生形です。そのため、名詞といっても動詞的な個性をまだ強く残しており、したがって可算/不可算という認識がネイティブ英語の話者にとっては不自然に思われるのではないでしょうか。いっぽう、「純粋可算名詞」は、たとえばmachineはmachineryという「純粋不可算名詞」のかたちを別に持っています。そのため、可算のみに特化されたのかもしれません。

私の意見では、日本人の第2言語としてのグローバル英語では、こうしたネイティブ英語の特殊な名詞認識をそのまま受け継ぐ必要はありません。たしかに現時点では、informationをinformations、equipmentをequipmentsとすると、文法的に間違いだということになっていますが、間違ったからといって特に不都合はありません。ですから、グローバル英語の世界では、こうした文法規則は、そのうちになくなっていくでしょう。もちろん、ネイティブ英語としては間違わないのに越したことはありません。しかし、あまり神経質になることはないでしょう。

では、これで名詞認識の三層構造3の講義を終わります。次のレクチャーは名詞認識の最後である「数量認識、その他」です。

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【確認テスト】

問1
本レクチャーでは、英語の名詞認識判断の「特定/不特定」「可算/不可算」「単数/複数」の三層の認識・判断を、“hair”という語を例として説明しました。これと同様のその他の例を、いくつか挙げてみてください。

問2
本レクチャーでは、ネイティブ英語の世界では「純粋不可算名詞」「純粋可算名詞」と呼ばれる例外的な名詞認識があることを、information(純粋不可算名詞)やmachine(純粋可算名詞)などの語を例として説明しました。これと同様のその他の例を、いくつか挙げてみてください。

 

問3

本レクチャーでは、日本人の第2言語としてのグローバル英語では、こうしたネイティブ英語の特殊な名詞認識をそのまま受け継ぐ必要はないという、私(成瀬)の意見を述べました。これに対して、あなたの意見を述べてください。

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