あの頃の輝き ひと色展
ーー私の記憶に鮮烈に残るのは、輝かしいばかりの光と おどけたような表情。そして、大人びているようで、無邪気にしか見えないその雰囲気だ。
何で今になってそんなことを思い出したのかは定かではない。酒の肴に話題に出す気もなければ、思い出さなければいけないような事情もない。
それでもふと、それは本当に「ふいに」という言葉が似つかわしいくらい、自然に彼女が私の脳裏に現れたのだ。
とは言っても、さして支障がない以上、記憶を辿る必要もない。そう思い、私は考えるのをやめてしまった。
ーー私は、本当にそう思っていたのだけれど、それは天啓だったのかもしれない、ということに気がついたのは、それから四日経った後だった。
「あー、久しぶり! 覚えてる?」
まず顔を覗きこまれたことにびっくりして目を向けると、さらに驚いた。
そこには先日思い出した彼女がいた。
驚きのあまり立ち止まっては、何も言えずにいると、彼女は相も変わらない無邪気なふうで、私の手を取るや、お茶しようよ! と返事も待たずに誘ってきた。私は思考もままならずになすがまま、抵抗もせずに受け入れてしまった。
彼女は、あの頃にも増して、かわいらしい、という言葉がよく似合っていた。ころころと、どこまでも転がっていきそうな天真爛漫な雰囲気も変わらないし、よくよく思えば、声も聞き覚えのある懐かしくも変わらない声質であった。
そう、変わらない、というのが、彼女の印象のすべてであった。
私は彼女と話しているうちに、どことなく小さい頃の私までも思い起こすような気持ちが溢れてきた。それと同時に、しばらく帰っていない故郷のことも……。
それはけっして、いいことではなかった。
未だ帰る気持ちにならない故郷のことを思い出すことも、あの頃の私の気持ちも、思い出したいとは思っていなかったし、たまりにたまったものはけっして、いいものではなかったから。あえて、それに目を向けるようなことを、したくはなかった。
けれど、話しをしているうちに、それもまた少し、違うことに気がついた。そう、だ。そうなんだ。それはたしかに、いいことではない。いいこと、だけ、ではない。しかし、
いいことも、もちろんあったのだ。
今だってそうだ。いいことだけではない。けれど、いいことだって、たしかにある。
彼女の姿を透かして見えるのは、あの頃の、輝かしいまでの楽しい日々。そんな日々も、たしかにあったことを、思い起こしていた。
それはまるで、砂場に隠されたビー玉を探し当てていたあの遊びのような、きらめいた記憶のかけらを拾い上げているみたいだった。
そうして次々と宝石箱の中へそのかけらたちを再びしまいこむと、私の心にも、彼女のような輝きが満ちているような、そんな気持ちになった。
別れ際、すなおに「ありがとう」と伝えると、彼女は ぽかん としてから、満面の笑みで、
「うん、こちらこそ。楽しかったよ! ありがとう」
そう、応えてくれた。
私は去りゆく彼女の輝く背中を見送りながら、あの頃の私の背中を見送っているような、気がした。
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