〜第1話|国づくり?そんなノリで任されていいの!?〜もしも古事記がラノベだったら?【神様、感情ダダ漏れすぎじゃない?〜ゆるっと読む古事記〜】
前回は上のURLをご確認下さい!!
今回は一話を書いてみました!
かなり大袈裟に書きすぎましたが、ゆるゆるとご覧ください!

~新人神、いきなり世界担当になりました~
俺の名前はイザナギ。
職業、神。
神歴……たぶん、まだ新人。
神界にカレンダーがないから正確には分からない。
そんなことより聞いてほしい。
俺は今日――神生最大のクソ案件を押し付けられた。
『――イザナギ。』
『――イザナミ。』
高天原中に響く、重々しい声。
(あ、これ絶対イヤなやつだ。)
と直感的に思った。
隣を見る。イザナミも同じことを思ったらしく、目が合った瞬間、小さくため息をついた。
「……行こうか。」
「行くしかないよね。」
俺たちは神々が集まる広場へ向かった。
そこには八百万の神々がずらり――
……いると思ったら。
『昨日の酒、美味かったな。』
『今日も宴会するか。』
『するする〜。』
『アメノウズメ、今日も踊ってくれるかな?』
『その前に昼寝しよう。』
(くっっっそ自由か!!)
俺の中で「神様」のイメージが音を立てて崩れていく。
すると、一番奥に座っていた神が咳払いをした。
『ゴホン。』
神々がシーンと静かになる。
……まぁ酒は飲みながらだけど。
『では。』
『イザナギとイザナミに辞令を発表する。』
「辞令?」
初仕事だ。少しだけワクワクする。
(雨担当かな。)
(風担当も悪くない。)
(虹とか、ちょっとカッコよさそう。)
『イザナギ。』
『イザナミ。』
「はい!」
『今日から二人には、新しい任務についてもらう。』
「はい!」
『世界を創ってもらう。』
「…………。」
「…………。」
「………………え?」
ん??聞き間違えた。
いや、聞き間違いであってくれ。
「すみません。」
「もう一度お願いできますか?」
『世界を創ってもらう。』
「…………。」
「…………。」
「ヤダヤダヤダヤダーーーーーー!!!!」
気づいたら叫んでいた。
「帰るーーーーーー!!」
「俺帰るーーーーーー!!」
「無理無理無理無理ーーーー!!」
「新人だよ俺ぇぇぇぇぇ!!」
「まだ神歴ほぼゼロだよぉぉぉぉ!!」
「先輩方がやればいいじゃん!!!」
その場に寝転がる。
ゴロゴロ。じたばた。じたばた。
「ヤダァァァァァ!!」
「世界なんて創ったことないもん!!」
「まずは雲担当とかあるでしょ!!」
「雨係とか!!」
「風係とか!!」
「なんで初日から世界なんだよぉぉぉ!!」
神々は腕を組みながらニコニコしながらイザナギを見ていた。
『若いな。』
『元気だ。』
『いいリアクションだ。』
『可愛い。』
「可愛いじゃないんですよぉぉぉぉ!!」
俺は飛び起きる。
「まずは!!!説明してください!!」
「前任者は!?」
『いない。』
「引き継ぎ資料!」
『ない。』
「設計書!」
『ない。』
「仕様書!」
『ない。』
「要件定義!」
『ない。』
「議事録!」
『ない。』
「マニュアル!」
『ない。』
「参考資料!」
『ない。』
「テスト環境!」
『ない。』
「じゃあ本番ですか!?」
『もちろん。』
「本番んんんんんんん!!」
「リスクヘッジは?」
『んー何とかなるんじゃないー?』
膝から崩れ落ちる。
「終わった……。」
「俺の神生、終わった……。」
イザナミが俺の肩を軽く叩いた。
「まだ始まってもないよ?」
「始まる前から終わったんだよ!!」
「こんなの絶対ブラック企業じゃん!!」
「神様なのに労基どこ!?」
神々は顔を見合わせた。
『ろうき?なんかの酒名か?』
『知らんな。』
『神界にそのような制度はない。』
「最悪だぁぁぁぁぁぁ!!」
イザナミがおずおずと手を挙げる。
「あの……。」
『なんだ。』
「ちなみに、その世界って……どこにあるんですか?」
神々は一斉に天の浮橋の下を指差した。
『そこだ。』
俺たちは恐る恐る下をのぞき込んだ。
「……………………。」
どろり。ぐちゃり。ねっとりな感じで
油が浮かぶような何かが、どこまでも広がっていた。
クラゲみたいにふわふわ漂い、
山もない。海もない。空もない。大地もない。
「……これなに?」
『世界。』
「ヘドロじゃなくて?」
『世界。』
「巨大スライムじゃなくて?」
『世界。』
「腐った味噌汁じゃなくて?」
『世界。』
「世界ぃぃぃぃぃ!?!?」
『あ。ついでに忘れてた』
一柱の神が一本の槍を差し出した。
金色に輝く、美しい槍だった。
『天沼矛(あめのぬぼこ)だ。』
「ありがとうございます。」
(やっと説明してくれるのか……。)
『それで混ぜろ。』
「……何を?」
『世界を。』
「料理じゃないんですよぉぉぉぉぉ!!」
『安心しろ。』
「何がですか!?」
『混ぜれば何とかなる。』
「根拠は!?エビデンスは!?」
『勘。』
「勘!?」
『神の勘だ。』
「一番信用できねぇぇぇぇぇぇ!!」
「責任者は誰なんですか!!」
神々は一斉に皆を見回した。
そして真顔になりイザナギとイザナミににっこりした。
「目ぇ逸らすなぁぁぁぁぁ!!」
『では、頼んだ。』
「え?」
『宴会があるので失礼する。』
「え?」
『今日は新しい酒が届く。』
「え?」
『デートの時間もある。』
「え?」
『健闘を祈る。』
「逃げるなぁぁぁぁぁぁ!!」
神々は本当に帰ってしまった。
残されたのは俺とイザナミだけ。
しばらく沈黙が流れる。
「……どうする?」
イザナミが静かに聞く。
「……やるしかない。」
「そうだね。」
俺はもう一度、目の前の世界を見た。
何もない。
まだ何者でもない世界。
「誰もやったことがないなら。」
イザナミが少し笑う。
「私たちが最初だね。」
その言葉に、不思議と肩の力が抜けた。
「……そうだな。」
俺は天沼矛をぎゅっと握る。
「よし。」
「世界創造、始めますか。」
こうして――
史上最も説明不足で、史上最も勢い任せな、
世界創造プロジェクトが幕を開けた。
そして俺たちは、天沼矛を大きく振り上げる。
まだ名前すらない、最初の島を生み出すために。
2話に続く
いかがでしたか?
書いていて、めちゃくちゃ楽しかったです(笑)。
途中、「要件定義」「テスト環境」「本番環境」など、IT用語がたくさん出てきましたが……すみません…職業病で笑
実は私自身、普段はIT業界で仕事をしているので、つい職業病でこういうネタを入れたくなってしまいました。
「世界創造なのに要件定義がない!?」
「いきなり本番!?」
そんなツッコミを入れながら書いていたら、自分でも笑いが止まらなくなってしまって(笑)。
もちろん、これは古事記をベースにしたラノベ風パロディです。
実際の古事記とは表現を大きくアレンジしていますが、「神様たちって意外と人間くさい」「古事記ってこんなに面白いんだ」と感じてもらえたら、とても嬉しいです。
もし反応をいただけたら、このまま「神ダダ(神様、感情ダダ漏れすぎじゃない?)」シリーズとして、第2話以降もゆるっと連載していこうと思います。
よかったら、ぜひ「スキ」やコメントで応援していただけると励みになります!
ではまた〜!
