分かり合えないからこそ、補える|家事のみかた|料理
私は、料理が苦手。
より正確にいうと「だれかのために」料理することが苦手。
「自分1人のために」料理することは、どちらかというと得意。
自分1人のためだったら、献立を考えるのも苦ではないし、作るのも楽しい。
ちなみに、お菓子づくりは苦手ではない。
どちらかというと、得意な部類に入る。
でもどうして、だれかのために料理することは苦手なんだろう。
たぶん私は、作った料理をだれかに評価されるのが、嫌なんだと思う。
自分1人だったら、マズい料理ができても、自分で何とかすればいい。
「あぁ、今回の実験は失敗だったな」なんて心の中でつぶやいて、苦笑いしながら食せばいい。
でも、だれかのために作った場合は違う。
美味しくなかったら、「ん〜、これはちょっと…」といわれるかもしれない。
気を遣って「美味しいよ」といってくれたとしても、あんまり美味しくなさそうに食べるかもしれない。
私は、その場にただよう「気」のようなものを感じとる。
だから、たとえ相手が言葉でつたえてこなくても、わかってしまう。
私が作ったものは、成功だったのか、失敗だったのか。
子どもたちの場合は、気を遣ったりなんかしない。
私が作ったものが失敗だったら、「おかあさん、これ、いや」とか「おかあさん、これ、おいしくない」とかいわれて、これまた傷つく。
毎日3回、だれかのために料理するとしたら、その数は1年間で365日×3回=1,095回になる。
それは私にとって、1日3回、年1,095回試験をうけて、「合格」か「不合格」かを判定されつづけるのと、同義なのである。
そして、私の作った料理は「成功」「合格」よりも、「失敗」「不合格」に分類されることの方が多い。
理由は何となくわかっている。
まず、私は目分量というのがわからない。
「これは何回か作ったことがあるし…」と目分量で作ってみると、見た目は同じでも、妙に味の薄いものができあがる。
そして私は、焼き加減や火加減といった、「加減」もわからない。
パックの裏に書かれた通りに肉を焼いたつもりでも、切ってみると生焼けになっていることがよくある。
人型ロボットが献立を考えて、材料さえ用意すれば自分の代わりに料理をしてくれる未来がおとずれることを、私は本気で願っている。
何なら材料の買い出しも、人型ロボットが代行してくれてかまわない。
一方で夫は、だれかのために料理するのが得意。
「どうやったら美味しくなるか」を考えて、味付けを工夫したりするのが楽しいらしい。
夫はドイツ人だけれど、日本で食べるような料理も普通につくることができる。
「ハンバーグがたべたい」というと、目分量でタネをつくって、肉汁たっぷりのハンバーグができあがる。
ドイツにいるのに、なぜかちゃんぽんうどんを食べられる日もある。
煮魚と餃子とサラダに、ごはんとお味噌汁みたいな日もある。
「家にあるものをテキトーに混ぜて作った」といっていたのに、サラダにかかったドレッシングが、なぜかおいしい。
✔朝はグラノーラかパン
✔夜はカルテスエッセン(=パンと、パンに乗せる具材を並べるだけ)
が標準仕様のドイツで生まれ育ったという事実がかすんでみえるほどの、料理男子あらため、料理おじさんである。
だが、わが家の料理おじさんには1つ、苦手なことがある。
それは、後片付け。
ドイツでは、食洗機に汚れた食器や調理器具を入れるのは、子どものお手伝いの定番らしい。
夫ももれなく、子どものころにお手伝いとして食洗機に汚れた食器や調理器具を入れていた。
夫の食洗機経験値は、ドイツに来るまでビルトイン食洗機なんて触ったこともなかった私のそれよりも、はるかに高いはずである。
なのに、夫は食器や調理器具を、テキトーに食洗機に入れる。
私の見立てでは、本来食洗機に入る量の、6~7割しか入っていない。
どうも、投げやりになっている様子である。
汚れたコンロ周りを掃除したり、食洗機に入りきらないものを手洗いしたりするのも、好きではなさそう。
重苦しい「気」が夫の周辺にただようので、気乗りしていないのがわかる。
一方で私は、後片付けは好き。
掃除や後片付けというのは、私にとっては「無」になれる時間である。
掃除や後片付けをしているときは、頭のなかで勝手におこなわれている計算や議論を中断することができる。
貴重な「無」の時間を奪われたら、私の頭のなかは沸騰するか、爆発するかもしれない。
だから、夫がいくらキッチンを汚しても、私は気にならない。
キッチンが汚い方が、「無」の時間が増えて、むしろありがたい。
料理と後片付けをめぐって、私は夫と本当に分かり合えない。
私は、夫の頭のなかが、まったく理解できない。
夫も、私の頭のなかが、まったく理解できないらしい。
でも、夫は私の家事のみかたで、私は夫の家事のみかた。
だれかのために料理をするのが苦手な私を、夫が補うことができる。
後片付けが苦手な夫を、私が補うことができる。
分かり合えない2人がお互いを補うと、だれも苦しまずに料理が完成する。
食べたあとも、だれも苦しまずに後片付けがおわる。
まるで、ジグソーパズルのピースがはまるように、欠けた場所を補うことで、1つの絵ができあがる。
…いや、でもやっぱり私は、料理(とついでに材料の買い出し)を代行してくれる、人型ロボットがほしい。
だって私の家事のみかたは、平日は会社にいるのだから。
平日の食事をどうしているかって?
朝ごはんはパンかグラノーラ。
幼稚園に持参するお弁当はドイツ式で、サンドイッチと果物と生野菜。
上の子のお昼ごはんは、給食。
自宅保育中の下の子は、お昼ごはんのメニューにこだわりがある。
だから、ふりかけごはんと冷凍唐揚げときゅうりを、週5日(たまに週7日)食べている。
私は前日の残りなんかを、お昼に適当に食べる。
毎日カルテスエッセンだと私が飽きてしまうので、晩ごはんは幼稚園の給食と同じような感じにしている。
ご参考までに、ある週の幼稚園の給食はこちら。
【月】トマトソースパスタ、果物
【火】じゃがいも(ハーブ入りのクワルク添え)、果物 ※クワルクは、フレッシュチーズの1種
【水】ミルク粥、果物
【木】ほうれん草のクリーム煮(じゃがいもと目玉焼き添え)、果物
【金】ネギスープ、パン、果物
要するに、平日の晩ごはんの基本形は、一品どーんである。
ドイツには、一汁三菜という概念はない。
生米を牛乳と砂糖で煮込んだ甘いミルク粥も、食事とみなされる。
タンパク質は、1日を通してそれなりに摂取できていれば、良いようだ。
ドイツという国自体も、私にとって強力な家事のみかたなのかもしれない。
いいなと思ったら応援しよう!
応援いただきありがとうございます📚