十四日目 掃除
昔よく分からない映画を見た。
団地の住人がどんどん姿を消していくホラーもの。
確かその原因は、心霊現象で、最後には霊に取り憑かれた人間が、団地を黒炎で焼き尽くしてしまうと言う内容だった、気がする。
僕はなぜだか分からないが、父さんが、僕の大切にしていたモノを処分するたびに、その映画のことを思い出す。
「貴之に漫画は買い与えるな。あんなもの読んでるから、たかだか学校のテストで無様な点数を取るんだ」
「貴之の部屋にあるギター、あれなんだ。お前がちゃんと見てないからだろう、全く」
一つまた一つ宝物がなくなるたびに、
一つまた一つと、嫌な記憶が増えていく。
僕の年齢にしては年老いた父で、現役を退いて家にいる時間が増えてからは、父の横暴にはますます手のつけようがなかった。
部活帰り。
近づく自宅に、遠くから煙が黙々と上がっているのを見ては、僕はあぁと思った。
消えていく。
僕の大事なモノが。
消防から何度注意を受けても、父は何かにつけていちゃもんをつけて、家族のモノを炊き火のタネにすることをやめなかった。
そんなこともあって、
僕はモノが捨てられない大人になってしまった。
唯一僕が捨てたのは、後にも先にも__だけ。
