三十一日目 勉強
努力して入った進学校。
僕の唯一の長所である"勉強"は、ここでは掃いて捨てるほどいる没個性に近かった。
「ねぇ、樽見くん、それ楽しい?」
同じクラスの佐々木エネは、まるで僕が勉強しても無駄だと嘲笑うように言った。
「ほっといてくれよ。僕は君たちと違って、やらないとできないんだ」
中休み。
授業以外の時間も勉強に充てる僕を、佐々木エネは哀れんでいるようだった。
「ひっどーい! それじゃあ、まるでエネが勉強してないみたいじゃん」
「実際してないだろう」
僕は、宝石を乗っけたかのようなゴテゴテの爪と、海のように青く染まった髪を鬱陶しく睨んだ。
「人を見た目で判断しちゃいけないぞ!」
「イッ」
僕は佐々木エネにデコピンをされて、その鋭利な爪の破壊力に慄いた。
そんなことも露知らず、彼女は友達に呼ばれて僕の机を離れる。
佐々木エネ__学力テストクラス順位一位の化け物。
今に見てろよ。
僕は彼女の後ろ姿に下剋上を誓った。
