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【夫婦円満】 日本人が信じる「夫婦円満の秘訣」はどこまで本当か

前回、日本の離婚の実情を数字で確認しました。

最終的に離婚に至るのは、おおむね4組に1組前後。
30代前半に山があり、子どもがいても離婚は起きる。

では、その確率を左右するのは何でしょうか。

ここからは、日本でよく語られる「夫婦円満の秘訣」を一つずつ確かめてみます。


ケンカしないことが一番大事か

「うちはケンカしないから大丈夫」

よく聞く言葉です。

しかし、長期にわたる観察研究では、
安定している夫婦にもさまざまなタイプがあることがわかっています。

激しく言い合う夫婦もいれば、衝突を避ける夫婦もいる。
違いを生むのは、ケンカの有無そのものではありません。

有名な研究では、安定している夫婦では
肯定的なやり取りが否定的なやり取りの約5倍あると報告されています。

一方、破綻に向かう夫婦では、この比率が1を下回ります。
ネガティブが優勢になるのです。

重要なのは回数ではなく、関係全体の空気です。

日本では衝突を避ける傾向--事なかれ主義--が強いと言われます。
けれど、不満が言葉にならず積み重なると、修復の機会そのものが失われます。

「ケンカしない」ことは悪くありませんが、肯定的なやり取りが増えているとは限らないと思われます。


価値観が一致していれば安心か

「価値観が合うから結婚した」という話もよく聞きます。

大規模な分析では、配偶者同士は教育水準や社会的背景が似ている傾向が確認されています。いわゆる同類婚です。

ただし、夫婦問題の多くは解決されずに継続しているのではないでしょうか?

意見の違いは完全に消えるわけではありません。
違いがあっても生活が回るかどうかが重要です。

日本では、共働き世帯が7割を超えていますが、家事時間の男女差は大きいままです。一般的には女性の負担が大きい問題があると思われますが、各家庭で、この問題にはどのように対処されているのでしょうか? 女が負担するのが当然だという価値観を夫婦間で共有できているなら問題はないと思いますが、そういったご家庭は少なくなっていると思われます。

価値観が一致しているかどうかより、家庭内の負担の違いに納得できているかどうかのほうが関係の満足度に影響しやすい。


子どもがいれば家庭は安定するか

「子はかすがい」という考え方は、依然として日本で根強く信じられているのではないでしょうか?

しかし、前回で見たとおり、離婚の半数以上は未成年の子どもがいる家庭で起きています。

さらに、出産後に夫婦満足度が低下する傾向は、複数の研究で確認されています。平均的には、出産後1年以内に満足度が中程度低下すると報告されています。

理由は特別なものではありません。

睡眠不足。
時間不足。
役割の急変。

日本ではここに長時間労働が重なります。

子どもが関係を壊すのではなく、
子育て期の生活構造が夫婦に強い負荷をかけるのです。


夫が稼げばうまくいくか

教育水準が高い層ほど離婚率が低い傾向は、日本でも海外でも確認されています。

たとえば米国では、初婚から20年以内の離婚確率は大卒女性で約2割、高卒以下で3割台という差があります。

ただし、それは単に「賢いから」ではありません。

結婚年齢が高いこと。
収入が安定していること。
失業や債務のリスクが低いこと。

こうした要因が重なっています。

一方、日本では30〜40代男性の長時間労働率が高い。高所得であっても、時間が削られれば、話し合いも修復も難しくなります。

稼ぎはプラスに働きます。
しかし万能ではありません。


お金で揉めないことは重要か

金銭ストレスが夫婦関係を悪化させることは、多くの研究で示されています。

失業や債務を経験した家庭では、離婚リスクが上昇する傾向があります。

ただし、問題は金額だけではありません。

家計が見えているかどうか。ここが大きい。

別財布でも、共通財布でも、透明で納得感があれば安定しやすい。

逆に、隠しごとや情報の非対称があると、不信は一気に広がります。


ここまでを整理すると

日本でよく語られる夫婦円満の秘訣は、完全な間違いではありません。

しかし、それ単体では弱い。

ケンカを減らすよりも、ネガティブが支配しない状態を保てるかどうか。

価値観が一致しているかよりも、違いを扱えるかどうか。

収入の多さよりも、不安定さの少なさ。

理想の型を探すより、壊れにくい構造を持てるかどうか。

次の回では、では実際に、日本で壊れにくい夫婦は何をしているのかを具体的に見ていきます。

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