【歯科開業サバイバルシリーズ:第2回】『エリア(立地)の真理』〜集患目線で選ぶと自爆する。これからの開業は「採用ファースト」が絶対条件〜
こんにちは、杉元信代です。
メンバーシップ限定連載『歯科開業・経営サバイバルシリーズ』の第2回をお届けします。
今回は、ボタンの掛け違いの第二関門である「エリア(立地)選び」についてです。
最初に結論を言います。 「集患(患者集め)目線だけで立地を選ぶドクターは、2026年現在の超・採用難時代において、確実に自爆します」
診療圏調査のデータという「数字上のバラ色の未来」に踊らされ、自分のプライド(自己顕示欲)を満たすためだけにエリアを選んだらどうなるか…。
杉元はリアルな話しかしません。
1. あなたの「自己顕示欲」が、破滅の立地を選ぶ
「◎◎や◎◎◎のようにお洒落な街がいい」
「高級住宅街で自費メインの気品ある医院を作りたい」――はい、それただの自己満足です。
まあ、気持ちはわかりますけど。
集患コンサルや不動産業者は「ここは乗降客数が多い」「周辺住民の所得層が高いから自費が出ます」と甘い言葉を囁きますが、それは大嘘です。
彼らはハコを契約させたら勝ちなので、開業後のリアルな経営、特に「スタッフが採用できるか」など1ミリも関心はありません。
今の歯科医院経営における最大のボトルネックは、患者不足ではなく「スタッフ(特に衛生士)が採用できずにユニットが稼働しないこと」です。
集患はお金(広告費やMEO)をかければ遠方からでも呼べますが、採用は「立地」でしか呼べません。
大切なことなので、もう一度言います。
患者はお金をかければ呼べます。
採用はそうはいかないのです。
2. 2026年採用市場の残酷な現実:求職者の生々しい本音
ドクターは「新しくてお洒落な個人院なら、スタッフも働きたいはずだ」と大いなる勘違いをしていますが、今の若い女の子たちの本音はこれです。
求職者(DH・DA)の本音: 「わざわざ家賃が高くて通勤も混むお洒落エリアの、ピリピリしてて厳しそうな新規の個人院で働く意味、あります?
地元の駅ビルか、イオンの近くのゆるい医院で同じ時給(下手をすればそれ以上)もらえるんで、そっち行きますね」
彼女たちにとって、あなたの医院の「お洒落さ」や「最新設備」なんてどうでもいいのです。
最優先は「通いやすさ」と「無理のない環境(心理的安全性)」です。
「どんなスタッフに来てほしいのか」は、すなわち「どんな患者さんに来てほしいのか」「どんな歯科医院を作るのか」という医院のブランディングそのものです。
例えば、都会のど真ん中で「どう見ても顔採用だな」という、洗練されたスタッフばかりを集めている医院がありますよね。
あれは院長の趣味ではなく、ターゲットである「美意識の高い自費患者」を納得させるための冷徹なブランディング(格の再定義)であり、そのお洒落な街に集まる人材のプールを計算し尽くした戦略です。
それを真似して、普通の保険診療メインのドクターがお洒落エリアに出店しても、ピリピリした環境を嫌うスタッフからは見向きもされず、求人倍率20倍の波に飲まれて終了します。
家賃だって高いです。
そして立地がいいから自費がバンバンでる…わけでもないのです。
3. 着地点:「お洒落な奴隷」の未来
「集患は金で買えるが、採用は金(時給の吊り上げ)で買うと組織が死ぬ」
誰も集まらないからと、時給を地域の相場より100円、200円と吊り上げて無理やり採用するとどうなるか。
入ってきたスタッフは「お金のためだけ」に働くワガママお嬢様になり、院長が少しでも注意すればすぐに辞めます。(ちなみに、院内旅行は海外ですよ的求人スタイルも同じです・どこに院内旅行にいってもいいですが、求人に使うのは賛成できません)
組織の規律(ガバナンス)は一瞬で崩壊です。
結果、スタッフが誰も定着せず、院長が一番の馬車馬になって、受付から滅菌、診療、果ては電話対応までワンマンでこなしながら、1億円の返済(前回お話しした毎月65万円の返済)に追われる「お洒落奴隷」が完成します。
ああ、書いている私も泣きそうです。
なんでこんなところに開業したんだ。
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自己顕示欲を捨てて「勝ちに行く」ための冷徹なエリア戦略の話をします。令和のこの時代になっても厳然と存在する、「データ上は完璧なのに、地元の人間なら100%避けるアンタッチャブルな立地」の罠、そして「沖縄・北海道の勤務医が他県で開業してはならない理由」、スタッフが勝手に育つ「無理のない成長環境」を立地から設計する3つの仕組みを公開します。泥水をすする覚悟で、本気で強固な城(医院)を作りたい先生だけ進んでください。
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