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【独自】「数の力」がルールを上書きする時:2026年度予算案の衆院通過が突きつける3つの衝撃


1. 導入:私たちの「知らない間」に決まるルール

「政治は自分たちのあずかり知らないところで、勝手に進んでいる」――。今、多くの国民が抱いているこの疎外感は、決して被害妄想ではありません。私たちの生活、税金、そして国の行く末を決める「予算案」という最重要のルールが、今、恐ろしいほどのスピードで書き換えられようとしています。

通常、衆議院での予算審議には少なくとも1ヶ月をかけるのが、長年積み上げられてきた国会の良識ある慣例です。しかし、2026年度予算案はそのプロセスをわずか2週間に圧縮し、衆院を通過しました。この極端な「効率化」の陰で、本来あるべき「熟議」がどのように切り捨てられたのか。そこには、単なる日程調整を超えた、民主主義の変質が潜んでいます。

2. 異例の「2週間」:1ヶ月の慣例を半分に圧縮した暴挙

今回の予算審議が「異常」と言わざるを得ない最大の理由は、その時間のなさ自体が「自作自演」である点にあります。そもそも年度内成立が危ぶまれる事態を招いたのは、高市首相が通常国会冒頭に衆院の解散を強行したからに他なりません。自ら審議時間を削っておきながら、期限が迫っていることを理由に審議の短縮を迫る――。これは国会軽視という言葉だけでは足りない、身勝手極まる論理です。

高市政権下の与党は、最初から「3月13日の衆院通過」というゴールを固定し、そこから逆算して地方公聴会や中央公聴会の開催日程を与党単独で決めるなど、強引な運営を繰り返しました。坂本予算委員長に至っては、職権を乱用して「土日は審議をしない」といった慣例すらも踏みにじり、強行突破を図りました。こうした振る舞いは、単なるルールの無視ではなく、ルールの私物化です。

議会制民主主義の土台を自ら掘り崩すものにほかなりません。

先人たちが築き上げてきた議論の形式を「無駄」として切り捨てる行為は、審議の空文化を招き、民主主義を内側から腐らせる劇薬となります。

3. 海の向こうの火種が、私たちの財布を直撃する

予算案の中身に目を向けると、現在の国際情勢と国内政策の深刻な矛盾が浮き彫りになります。現在、米国とイスラエルによるイラン攻撃が、国際法や国連憲章に反する「先制攻撃」ではないかとの懸念が世界中で噴出しています。この軍事行動は原油供給の不安を煽り、私たちのエネルギーコストを押し上げる直接的な要因となっています。

こうした緊迫した状況下で、高市政権が突き進むのは「大軍拡・軍拡増税」の路線です。国際法違反の疑いがある他国の軍事行動に無批判に追従し、そのツケを国民に増税という形で転嫁する。この構図に、国民の不在を感じざるを得ません。

対照的に、日本共産党などは、富の一極集中を是正し、消費税減税や社会保障の充実に財源を充てるべきだと主張しています。予算とは、単なる数字の羅列ではなく、その国の「優先順位」の鏡です。軍拡に舵を切るのか、それとも国民の暮らしを支える防波堤を築くのか。この重大な岐路において、審議を2週間に短縮することは、国民が自らの未来を選択する機会を奪うことに等しいのです。

4. 参院という「最後の砦」:憲法が保障する30日間の攻防

暴走気味に衆院を通過した予算案ですが、舞台は参議院へと移ります。ここで注目すべきは、参院では与党が少数派であるという政治状況、そして憲法が参院に与えた重い権限です。

憲法第60条には、予算案が参院に送付されてから30日以内に議決しない場合、衆院の議決が国会の議決になるという規定があります。

参院には30日間の議論の期間が保障されている

この「30日間」という猶予は、衆院の熱狂や数の横暴を冷静に再考するための、憲法上の安全装置です。参院は決して衆院の決定をそのまま認めるだけの「追認機関」ではありません。

「年度内成立」という与党のメンツを守るために審議を急ぐ必要はどこにもありません。もし期限が迫るならば、暫定予算を編成すればよいのです。暫定予算という選択肢は、国民生活への影響を避けつつ、徹底した審議を尽くすための正当な知恵です。期限のために質を犠牲にするのではなく、国民の負託に応えるために30日間を使い切る。それこそが参院の果たすべき責任です。

5. 結論:民主主義の質を決めるのは「数」か「対話」か

今回の衆院での強行劇は、「数の力」さえあれば、議会政治の前提となるルールや慣例すらも書き換えられるという、極めて危うい前例を作りました。スピードを優先して熟議を切り捨てる政治。それは、多様な声を封殺し、独断を許容する社会への入り口ではないでしょうか。

民主主義の質を担保するのは、賛成票の数ではなく、どれだけ異なる意見に耳を傾け、議論を深めたかという「対話」の誠実さにあります。今、日本の議会政治がその寿命を延ばせるか、それとも壊死を早めるか。これから始まる参議院での30日間が、その最後の防波堤となるでしょう。私たちは、このプロセスの行く末を、かつてないほど厳しい視線で注視し続けなければなりません。

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