大富豪と大貧民

 かつて三島由紀夫は『源氏物語』を紫式部が王朝の豪勢さを描きたかったものではないかと発言した事がある。作中の中に邸や庭の美しく描いた一見して退屈な描写がメインの章があるが、それが源氏物語の真髄なのではないかと。

 まぁ、こんな前置きとは全く関係ないのだがこの現代にもそんな光源氏には及ばないものの、ある程度のルックスと、王族など遥かに超える途方もない財産に恵まれた男がいた。その男は大国レベルの土地を所有し、ホワイトハウス100個分の邸と自分専用の空港まで持っていた。その空港は国際空港レベルのものであり、男が空港に現れると従業員が一斉に彼を出迎えた。彼はそこでチケットを買うか、あるいは自分のためにわざわざ作ったチケット販売のオンラインサイトで購入したチケットを持って現れ、わざとらしく荷物検査まで受けたのだった。時々男はわざと持ち込み不可の危険物を持ってきて従業員たちを困らせていたが、それはもう金持ちの粋狂であった。

 だがいいことばかりは続かないの警句通り、男はある日突然全財産を失ってしまった。男の会社のメイン事業であったスイートリングが地球に落下し世界各国に大損害を与えたのである。しかもその事故の影響でオンラインは一斉に死に絶えてしまった。男は現金などもう古いとネットバンキングや仮想通貨を使ってきたからもう何も出来なくなってしまったのである。

 男は一夜にして世界最低の大貧民になってしまったのである。ああ!昨日まで大国レベルの金を動かしていた人間の何と変わりようか。オンラインが死んだせいで男の土地などの財産は売るに売れず、三桁レベルの兆の借金が男にのしかかった。男は世間から逃亡し身を隠した。だが、男は世界各国の借金取りの鬼のように徹底した捜索でAmazonの奥地の洞穴に潜んでいたところを保護された。

 男はまるで宇宙人か未確認生物かなんかのように両脇に抱えられてマスコミの前に登場したが、それはもう全盛期の男からは想像出来ないぐらいの悲惨ぶりだった。髪は落武者みたいにハゲ散らかし、痩せ切った体はほとんど裸で股間の辺りだけ貧相な詰め物で隠している状態であった。男はうポポとか見え見えのワタシコトバシャベレナイな原始人的な戯言を言って必死にマスコミの追求から逃げようとしていた。

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