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畑でできる、ネイチャーポジティブ

 生物多様性に配慮する場合は、畑では、どうしたらいいのでしょうか?どんなことができるのでしょうか?また、家庭菜園をする人も多いと思います。都市ではどんな配慮ができるのでしょうか?


1.畑でできる、ネイチャーポジティブ(穀物編)

 第1章では、大豆・小麦・そば・甘しょの4品目を例に、作物視点から、圃場レベルで生物多様性に配慮した具体的施策をインフォグラフィックを用いて整理してみました。

大豆(Soybean)のベストプラクティス

大豆栽培と生物多様性
  • 花粉媒介者(ポリネーター)支援: 大豆は自家受粉型ですが、ミツバチなど花粉媒介者の訪花が大豆収量を増加させます。圃場周辺に在来の開花植物帯や送粉源を確保し、受粉昆虫の生息域を広げます。また大規模圃場では養蜂との連携も有効です。実施例・効果: オハイオ州の研究では、ミツバチが大豆畑を積極的に訪花し主要な花粉源として利用していることが判明し、大豆と蜂群との共生を高めることで生産量向上と送粉者保全の両立が期待されるそうです。

  • 土壌生態系保全: 大豆栽培では土壌中の微生物や土壌動物の多様性維持が重要です。収穫後に被覆作物(緑肥作物)を播種して土壌被覆期間を延長し、土壌中の有機物と生物的ニッチを増やします。可能なら不耕起・減耕起を採用し、土壌構造を乱さず土壌動物(ミミズなど)の生息環境を保全します。英国の研究では、麦-トウモロコシ-レタス輪作体系にカラシナやオーツなどの被覆作物を導入した結果、ミミズ個体数が無被覆の場合の3倍に増加しました。これは被覆作物が継続的な植被と有機物供給により土壌生物の餌場・生息場を提供したためです。加えて土壌微生物量も向上し、窒素保持が改善するそうです。

  • 農薬削減(IPMの推進): 大豆圃場では総合的病害虫管理(IPM)により化学農薬の使用を削減し、生物多様性への影響を最小化します。具体的には定期的な圃場スカウティング(巡回調査)で害虫発生を把握し、経済的被害閾値を超えた場合のみ選択的防除を行います。天敵昆虫の温存も重視し、殺虫剤は選択性の高いものを必要最小限に留めます。圃場にはテントウムシ、クサカゲロウ、ヒメハナカメムシ等の捕食者が自然に豊富に生息し、無処置でも一部の害虫を顕著に抑制している例があります。これら天敵による抑制効果を最大化するため、非作付期にもヘッジや草地を残して天敵の餌資源(花粉・蜜など)を提供し続けることが重要だそうです。

  • ランドスケープアプローチ: 生物多様性に配慮した大豆生産には、圃場内外の生息環境モザイクを維持・創出することが重要です。具体的には圃場周囲に生垣や植生帯を配置し、生物の回廊と隠れ家を確保します。また大豆を他作物や休耕地と組み合わせた輪作区画配置により、単一大面積ではなく多様な景観要素を持つ農地構造を構築します。垣(ヘッジロウ)は通年で花粉・蜜源を提供し、ミツバチ等ポリネーターだけでなく益虫(寄生バチ、クモ、テントウムシ類)や小鳥類の安定的な生息場所となります。その結果、圃場周辺ではクモや甲虫などの個体数・種数が増大します。周辺生息域から圃場内へ益虫が移入し、害虫発生を抑える効果も確認されています。さらに、景観スケールで見ると土地利用の多様性(不耕作地や植生のパッチが点在する景観)が送粉昆虫の種多様性と作物生産の安定に貢献するそうです。

小麦(Wheat)のベストプラクティス

小麦と生物多様性
  • 土壌生態系保全: 小麦は主に冬作または二毛作で栽培されるため、収穫後の土壌休閑期管理が重要です。収穫後直ちにライ麦やクローバー等の被覆作物を播種し、次作まで土壌を裸地にしないことで土壌浸食を防ぎつつ微生物活性を維持します。また、できる限り減耕起・直耕を採用し、土壌中の菌根菌ネットワークや土壌動物の定着を促進します。被覆作物の利用は表土流出を大幅に低減し、土壌中の有機物含量と水分保持性を向上させます。加えて、多様な混合作物による被覆は土壌中の有益な微生物群集を育み、地力を高めるとともに窒素循環を促進するそうです。

  • 農薬削減(病害虫管理): 小麦では大規模圃場ほど単一作物モノカルチャーによる病害虫の大量発生リスクがあります。これに対し輪作(大麦・豆類との交替作など)や抵抗性品種の導入、及びIPM手法により農薬使用を抑制します。主要害虫のアブラムシ類対策では天敵温存が鍵となり、広域防除用の殺虫剤散布を極力避け、代わりにスポット散布生物農薬(真菌製剤等)を活用します。ストリップクロップ(筋状の異なる作物帯の併設)は有効な手段で、単作大区画に比べ地表甲虫類の種数が15%増加し個体数も30%増加するとの結果があるそうです。

  • ランドスケープアプローチ: 小麦生産地域では、生物多様性確保のため農地景観レベルで生息地ネットワークを維持することが重要です。具体策として圃場間や境界に緑地帯・生垣を設置し、生物の回廊を形成します。また、一部圃場を休耕または野草地として残し、小麦など穀類作付地とのモザイク景観を作り出すそうです。

  • 花粉媒介者支援: 小麦は風媒花であり直接的な送粉昆虫の受益はありませんが、農地全体の生態系機能向上のためポリネーター生息環境の維持は有益です。小麦圃場の畦畔や周辺に在来種の開花植物ストリップを設置すると、ミツバチ・ハナバチ類やホバリングフライ(ヒラタアブ)などが誘引されるそうです。これら送粉昆虫は近隣の他作物(果樹やソバ等)の受粉や、農村景観の生物多様性指標になります。

そば(Buckwheat)のベストプラクティス

蕎麦と生物多様性
  • 花粉媒介者支援: そば(ソバ)は他家受粉性(自家不和合性)の作物であり、結実にはミツバチなど送粉者の訪花が不可欠です。そのため圃場レベルで最重視すべきはポリネーターの保全・増強です。そば開花期には圃場周辺に十分な養蜂箱を配置したり、周囲の森林・草地を保全して野生送粉者の生息地を確保します。また開花期以外も考慮し、他作物や自生植物の花期が連続するよう景観を管理すると送粉者が圃場に留まりやすくなります。ソバの白い小花は蜜源・花粉源として非常に魅力的で、多種多様なハナバチ・ハナアブが集まります。実際ソバは蜂蜜源植物としても評価が高く、ソバ蜜は色が濃く風味豊かな特産品になり得ます。

  • 土壌生態系保全: ソバ栽培では短期栽培(初夏播き初秋収穫など)の後、秋冬期の土壌管理がポイントとなります。ソバ後作に緑肥用のエンバク・ライ麦等を播種することで、オフシーズンにも地被を維持し土壌侵食を防止します。またソバ自体、速効性のリン酸吸収雑草抑制効果を持つため、輪作体系に組み入れることで土壌肥沃度向上と雑草多様性管理に役立ちます。圃場では可能な限り浅耕不耕起でソバ残渣をすき込み、土壌中の有機物循環を促進します。ソバを取り入れた輪作体系(例:ソバ-ライ麦-大豆)では、ソバの残渣が分解しやすく土壌有機炭素の補給源となるため、後作物である大豆の収量向上や化学肥料低減が報告されています(リン酸可給態の増加)。またソバ圃場における雑草発生はソバが生育期間中に地表を短期間で被覆し競合することで抑制され、除草剤使用回数を低減できます。土壌動物相への効果として、ソバ刈り取り後の圃場でミミズ類やトビムシ類が豊富に観察されており、これはソバ根圏からの有機物供給によるものと考えられます。

  • 農薬削減(IPM): ソバは、アブラムシ類やアワヨトウなど害虫被害は発生します。化学農薬の予防的散布は避け、代わりに生物的防除圃場モニタリングで対応します。具体的には、ソバ圃場周辺に天敵昆虫(テントウムシ、クモ、カマキリ等)の生息環境を整えることで、初期の害虫発生を捕食・抑制させます。フェロモントラップ灯火トラップでガ類成虫を捕獲し発生動向を把握し、必要最小限のタイミングで選択的殺虫剤をスポット散布します。またソバは生育期間が短く薬剤散布適期も限られるため、防除閾値に達しない場合は農薬を省略し次作への影響を回避します。これらの手法によりソバ栽培では農薬使用量を大幅に抑制できます。

  • ランドスケープアプローチ: ソバ畑の景観管理では、モザイク的な土地利用連続した植生構造を意識します。ソバは開花期に一面真っ白な花畑を形成し景観価値が高い反面、開花期が短い作物です。そのため周囲に異なる開花期の植物群(例:クリやレンゲ、秋そば等)を配置し、送粉者が季節を通じて利用できる景観構造を作ります。また圃場間は生垣や用水路沿い植生で連結し、昆虫や小動物が移動できる回廊を確保します。またソバ収穫後も刈り株や落ちた実を一定期間圃場に残すことでスズメやキジなど農耕地鳥類の餌場となるそうです。景観レベルでは、耕作地・非耕作地がモザイク状に配置された地域ほど送粉サービスが安定するそうです。

さつまいも(Sweet Potato)のベストプラクティス

甘藷と生物多様性
  • 花粉媒介者支援: 甘しょ(サツマイモ)は栄養繁殖作物であり、塊根生産には送粉者は直接関与しません。ただし畑作環境における生物多様性向上策として、圃場周辺に花資源を提供しポリネーターを含む多様な昆虫を呼び込むことは有用です。畦間にナタネやヒマワリを混植する試みや、圃場周囲にハーブ(バジルやミント等)の花畑を設けることで、蜜源を加えられます。サツマイモ畑の畝間にマリーゴールドを帯植えしたところ、コナジラミ類やアブラムシ類の天敵であるヒメハナカメムシやクモ類が有意に増加し、害虫密度が低下したとの報告があります。これはマリーゴールドの花が天敵昆虫に蜜や花粉を提供し圃場への定着を促したためです。

  • 土壌生態系保全: 甘しょは根菜であり、土壌の健全性が直接収量品質に影響します。土壌生態系配慮策として、有機物投入(堆肥施用、緑肥鋤込み)を積極的に行い土壌微生物相を豊かにします。甘しょ畑は畝立てを伴い土壌撹乱が大きいため、輪作による撹乱軽減や、畝間に被覆植物(クリムソンクローバー等)を生育させることで土壌流出を防止します。また畝間クローバー被覆は降雨時の表土流亡を顕著に低減し、圃場外水系への濁水流出が減る、ミミズ数が増え土壌の団粒化が進むそうです。

  • 農薬削減(生物的防除の活用): 甘しょの主要害虫にはサツマイモコガネコブセンチュウアブラムシ類が挙げられます。化学農薬に頼らない対策として、フェロモントラップでコガ成虫を大量捕獲したり、天敵昆虫(テントウムシや捕食性カメムシ)を保全する手法があります。特にサツマイモコガ対策では、圃場周囲にフェロモン剤を吊るすことでオス成虫を誘引し交尾抑制を図るIPMが効果的です。

  • 景観構造維持: 甘しょ栽培地域では、周辺に点在する森林や水域との生態学的繋がりを維持することが重要です。例えば畑と屋敷林の間にバッファゾーン(草地や防風林帯)を設け、小動物や昆虫の移動経路とクッションを作ります。さらに、隣接する水田や湿地と連携し、ホタルやカエルなど水陸両生の生物が行き来できる環境を整備します。こうした地域では畑に発生する害虫も周囲の生態系ピラミッドの中で抑えられ、農薬に頼らない持続的農業が実現します。


2.野菜/家庭菜園 輪作編

 前章では、作物単体の栽培におけのるネイチャーポジティブを主に穀類を中心に見てきましたが、本章は、一般の野菜・根菜で、輪作や一緒に育てると効果的なコンパニオンな栽培(野菜中心)の例をいくつか見てゆこうと思います。家庭菜園や農家さんの同一圃場で、生物多様性に効果がある作物の組み合わせと圃場での施策リストの共通性・・・つまり、組み合わせ(&条件)の視点を重視しています。一部、単独(or)条件もありますが、、、、。今回は、パーマカルチャーを目指した、アプローチになります。

【表の凡例】(施策は前の記事で記載したので今回は簡単な記載にとどめています簡易版ですのでご了承下さい。)

  • AND:同時実施で最大効果、推奨はセット導入。

  • AND/OR:セットで推奨だが、単独でも一定効果あり。

  • OR:単独実施でも有効。

1. 全国汎用型の、秋冬キャベツ→春ダイコン→夏レタスのローテーション

この本格野菜作物の組み合わせでの施策は、すべてAND条件、つまりパッケージです。
輪作・花帯・被覆作物・天敵IPM・裸地最小化を「セット」で実施してこそ、生物多様性効果が最大化されます。いずれも全国のキャベツ・ダイコン・レタス圃場で実績があり、MRVのための指標(花帯長・土壌有機物・天敵昆虫数・裸地率等)も活用しやすいです。 ただし、単独導入(例:花帯だけ)でも効果ありですが、相乗効果のためセット推奨です。

(秋冬キャベツ → 春ダイコン → 夏レタスのローテ、全国汎用型)

2. 全国汎用型の、タマネギ越冬→夏ニンジン→秋レタスのローテーション

家庭菜園の中級編でもやってみたいこの作物の組み合わせ。
ローテーションでの施策は、輪作+花資源+被覆作物+天敵管理がコアです。1~3は必須セットで効果アップ4はAND/OR(単独でも景観や天敵の基盤強化)。 どれか一つだけでも効果はありますが、複合するほど多様性増進が加速するそうです。畦畔保全が外部生態系とのつながり強化としても重要になります。IPM=減農薬です。

(タマネギ越冬→夏ニンジン→秋レタス等、汎用ローテ)

3. 春ジャガ→秋タマネギ→冬~早春ホウレンソウのローテーション

家庭菜園の初級でも挑戦できそうな作物の組み合わせですね。
1~3と5は必須セットで効果アップ(総合管理で効果最大)、4はAND/OR(単独でも効果あるが、減耕起との組み合わせ推奨)。 圃場の有機物循環+天敵IPM+被覆作物の複合管理で、土壌動物・天敵・植生多様性を大幅に高められます。収穫残渣は外に出さず圃場へ戻すことで、微生物の多様性にも好影響です。

(春ジャガ→秋タマネギ→冬~早春ホウレンソウ)

4. 冬白菜→春キャベツ→夏ホウレンソウのローテーション

4番目は、葉物の短期回転輪作型です。花帯・IPM・輪作の三本柱です。
1,2,4は必須セットで同時実施が理想形3はAND/OR(単独輪作でも生物多様性維持に有効)。 春~夏の短期作リレーにより裸地期間を無くす設計がポイント。何か植わっていることが大事なのですね。

冬白菜→春キャベツ→夏ホウレンソウ/短期回転型

5. トマト(施設)→キュウリ(施設)→レタス(露地)のローテーション

施設栽培を軸にした例も考えてみましょう。施設栽培と露地栽培の混合モデルです。全国の集落単位で汎用可能と思います。
1,2は必須セット(同時実施推奨)、3はAND/OR(単独運用でも一定効果)、4はOR(単独導入可)。 露地・施設混合団地で一体運用すれば、生態系サービスを最大化できます。ボーダー植生の設置が鍵になります。

施設群+露地の混合モデル

6. ばれいしょ→ニンジン→ダイコンの連作障害抑制ローテーション

一般的に知られている連作障害抑制ローテも観てゆきましょう。
3施策すべてはパッケージです(同時実施で最大化)。根菜輪作+被覆作物は土壌動物・微生物の多様性を維持しつつ、土壌病害リスクを非化学的に大幅低減できます。

根菜類の輪作

7. ニンジン→ホウレンソウ(短期)→タマネギ(長期)のポリネーターリレー

最後に、短期作物の被覆での土壌保全と、受粉サービス応援パック(生態系サービス向上)の効果も見てゆきます。
1,3はセット推奨、2はAND/OR(単独でも地域生態系サービス向上)。短期作物をうまく組み込むことで通年で生物多様性を維持することができます。タマネギの花はポリネーター支援にも効きます。

短期作物の被覆効果

Appendix. 都市で鶏を飼う

 ここからは、余談です。パーマカルチャーといえば、鶏です。
 都市で鶏を飼おう!というとなかなかのハードルです。
 そこで、改めて、考えてみる、というAppendixです。

AIが考えた、「ネイチャーポジティブ、温故知新」

音声ガイド▽PodCasterは、今回、江戸にぞっこんですが、記事では、世界の動向や現代版の鶏小屋などにも触れています。

鶏、ふたたび

 鶏は文学や浮世絵の題材にも頻繁に登場します。浮世絵や屏風には、鶏が縁起物や力強さを象徴する動物として描かれています。また、川柳や狂歌などでも、鶏の鳴き声や行動が庶民のユーモラスな日常生活を表現する際に好んで取り上げられました。実際、江戸時代には、日本人の暮らしの中に鶏を飼う文化が広く浸透していました。特に都市部、例えば江戸でも庶民が採卵や目覚まし代わりに鶏を飼っており、現代のように狭い敷地でも飼育可能なコンパクトな小屋が普及したそうです。江戸では町人文化が栄え、狭小住宅が一般的でした。鶏を飼うための工夫として、小型の鶏小屋が普及しました。現代でいう「アーバン・アヴィアリー(都市型鳥小屋)」に通じる、省スペースで合理的な設計が採用されました。)江戸時代の日本人は、生活の一部として鶏を飼い、機能性だけでなく、娯楽性や文化的・美的価値をも重視していました。その伝統は、現代の都市型ライフスタイルやパーマカルチャーの考え方とも深く共鳴し、改めて注目されています。近年では、都市農業やパーマカルチャーの普及により、江戸時代の鶏飼育の知恵や文化が再評価されています。近年都市部の庭での自然循環システムの一環としての鶏飼育の復活によって、都市生活の中で動物や自然と共生するライフスタイルが世界中で注目を集めています。その中でも、「アーバン・アヴィアリー」や「アーバン・チキン・キーピング(都市での鶏飼育)」は、持続可能な食、ウェルビーイング、地域コミュニティの活性化に直結する新しい都市文化としての可能性を秘めています。

これらの背景には、以下のような理由があります。

  • 新鮮で安全な卵や食材の自給自足を実現したい

  • 生ごみの減量と、鶏糞を利用した堆肥による循環型ライフスタイルの確立

  • 子どもたちの命の教育、地域コミュニティの活性化

  • デザイン性・アート性を重視した新しい住環境の創造

AIが考えた、「日本でも鶏が楽しめる鳥小屋」(後述で設計仕様をご説明)

都市での鶏の飼育の動向

アメリカやカナダの都市部では、2000年代以降「Backyard Chicken Movement(裏庭鶏飼い運動)」が急速に普及しています。健康意識や食の安全、サステナビリティ志向の高まりとともに、多くの都市で鶏を飼う市民が増えています。たとえばニューヨーク、シアトル、ポートランドなどの大都市では、市の条例が鶏の羽数や飼育ルールを定めつつ、コミュニティ農園や学校などで教育的なプロジェクトとしても積極的に導入されています。都市で鶏を飼う動きは行政レベルでも受け入れが進んでおり、米国の多くの都市では少数の雌鶏の飼育を許可する条例が制定され、カナダでもバンクーバー市が住民によるバックヤード・ヘン(裏庭養鶏)を積極的に支援しており、1軒当たり4羽までの雌鶏飼育を許可しています。バンクーバー市の公式サイトでは鶏小屋の寸法や衛生管理、近隣迷惑を防ぐルールが詳細に示されており、都市における持続可能な食料生産の一環として位置付けられています。このように北米では、市民の自発的な動きと行政のサポートが相まって、都市型アヴィアリー文化が着実に根付きつつあります。

ヨーロッパでは、都市型アヴィアリーが普及する背景には、環境意識や動物福祉意識の高まりと、それに応える政策・コミュニティの創意工夫があると言えそうです。都市農業やパーマカルチャーの一環として都市型鳥小屋が受け入れられています。ロンドン、ベルリン、パリといった大都市でも、個人宅や共有庭園で鶏を飼う人が増加しています。特筆すべきは、デザイン性の高い鶏小屋の普及です。カラフルで組み立てが簡単な近未来型鶏小屋を開発されて、都市生活のインテリアとしても親しまれています。また、鶏を活用した生ごみリサイクルや堆肥化の実践も一般的です。

オーストラリアでは、都市型パーマカルチャーの流れの中で鶏飼育が普及しており、ゴミ減量や食育活動と連動しています。オーストラリアでは近年のパンデミックを機に鶏を飼い始める人が急増しました。シンガポールでは、一戸建て住宅に住む愛好家を中心に観賞用・ペットとしてニワトリを飼うトレンドが生まれており、SNS上で「バックヤードチキン・シンガポール」のコミュニティができるなどの動きも見られます。日本でも2022年末から2023年にかけての卵価高騰や食料安全保障への関心を背景に、「家庭でニワトリを飼ってみたい」という声がメディアで取り上げられるようになりました。日本では住宅事情から都市部で鶏を飼うハードルは高いものの、地方移住者や郊外在住者の間で家庭菜園とセットで数羽の鶏を飼育し、自家製の野菜と卵を食卓に供する暮らしに憧れるケースも出てきています。

今後は、都市のウェルビーイング向上やコミュニティ・スペースの活性化、新たなサステナビリティ教育のツールとして、さらに注目が集まることでしょう。

現代の都市で鶏を飼う利点と課題

都市部や郊外での小規模飼育では、鶏は単なる家畜ではなく、家族の一員、ペットとしての側面が強くなります。そのため、品種選びの基準も大規模な養鶏場とは異なります。重視すべきは、穏やかで人になつきやすい性格、鳴き声が比較的小さいこと、そして病気に強く丈夫であることです 。ストレスを感じにくい品種は、鶏自身の福祉(アニマルウェルフェア)に繋がるだけでなく、飼育者の負担を軽減し、騒音などの近隣トラブルのリスクを最小限に抑えることにも直結します。

Chicago Botanic Gardenのレポートは「工場式養鶏に比べてバックヤードの鶏は排泄物も極めて少なく環境負荷が低い。適切に管理すれば悪臭もなく、鶏自身もはるかに幸福で健康だ」と指摘しており、小規模分散型の都市養鶏が持つサステナビリティ上の利点を強調しています。鶏は単に卵を生むだけでなく、家庭内の生ごみを食べて減らし、肥料となる堆肥(鶏糞)を生み出す「生きたリサイクラー」として機能します。例えば1羽の成鶏は月に約4kgの餌を食べ、その一部を台所から出る野菜くずなどでまかなうことができます。4羽の鶏で年間100kg以上の有機廃棄物を処理できる計算になり、都市ゴミの削減に貢献します。実際に前述のフランスやベルギーの自治体のように、家庭ゴミ減量策として鶏に白羽の矢が立ったのもこの能力ゆえです。さらに鶏が排出する糞は「ブラックゴールド」とも呼ばれる高窒素の優良堆肥になり、落ち葉や枯草と混ぜて数ヶ月発酵させれば家庭菜園に使える肥料へと生まれ変わります。加えて鶏は地面を啄みひっかく習性から、庭の害虫駆除や土壌の耕しにも一役買います。こうした資源循環サイクルを家庭内で完結できる点は、環境志向の都市生活者にとって大きな魅力です。

都市型アヴィアリーには多くの利点がありますが、一方で課題も存在します。まず衛生・健康管理と規制面の課題です。都市は人口密度が高く、家禽由来の臭気や騒音が近隣トラブルになる懸念があります。また鳥インフルエンザ等の家禽疾病が発生した場合、都市部では迅速な対応が求められます。実際、バンクーバー市が鶏の年次登録制を導入したのも「万一疾病発生時に所在地を特定し周知できるようにする」目的からでした。日本でも高病原性鳥インフルエンザが毎年のように発生していますが、都市で飼われる鶏にも適切な防疫対策(例:野鳥との接触を避ける、消石灰で消毒する等)が求められます。各自治体は鶏舎の設置基準や頭数制限、騒音・臭気対策を定めており、飼い主はこれらルールを遵守する責任があります。

パーマカルチャーとしての起点としてのガレージ「養鶏」?!

都市部や郊外での小規模飼育では、鶏は単なる家畜ではなく、家族の一員、ペットとしての側面が強くなります。そのため、品種選びの基準も大規模な養鶏場とは異なります。重視すべきは、穏やかで人になつきやすい性格、鳴き声が比較的小さいこと、そして病気に強く丈夫であることです 。ストレスを感じにくい品種は、鶏自身の福祉(アニマルウェルフェア)に繋がるだけでなく、飼育者の負担を軽減し、騒音などの近隣トラブルのリスクを最小限に抑えることにも直結します。

現代の都市は「持続可能な開発目標(SDGs)」達成の重要な舞台であり、そこに暮らす私たち一人ひとりの生活様式の選択が問われています。米ジョージア州のデケーター市では隣人同士が協力して鶏を育て費用や労力を折半しながら恩恵を共有する「Coop Co-op(協同鶏小屋)」という取り組みが2000年代から行われています。このようコミュニティベースで支え合う養鶏モデルは、都市住民が気軽に参加できるソリューションとして今後注目を集めるでしょう。行政・企業・地域が連携し、ガイドライン整備やサポート体制の構築に努めることで、都市型アヴィアリーは一過性のブームではなく持続可能な都市文化として根付いていくと考えられます。都市型アヴィアリーは、大袈裟に言えば食と環境と幸福の関係を足元から見直す挑戦です。鶏の鳴き声が聞こえる都会の朝は、もしかするとこれから当たり前の風景になるかもしれません。

最後にご参考まで、表紙絵および以下のイラストは、AIが考えた、鶏小屋です。日本の一般的な住宅のガレージやベランダの隅にも設置できる、そして、防音かつ、省スペース性を重視した鶏小屋を要件として要求しました。

AIが考えた、鶏小屋

正面の 中央には、防音性能を維持するための鍵となる「アコースティック・ドア」が配置され、気密性を確保し、音漏れを防ぎます。側面には、 多層防音壁があり、 外壁から内壁に至るまで、遮音シート、合板、グラスウール、石膏ボードなどを組み合わせた多層構造を持っています。また、 垂直構造としては、限られたスペースを最大限に活用するための3階建て構造です。 3階には、安全な「止まり木ロフト、2階には、衛生的な「給餌・給水エリア」、1階は、鶏の本能を満たす「砂浴びエリア」。 最下部には、日々の清掃を容易にするための「引き出し式 糞受けトレイ」を配置。上部に排気用、下部に吸気用の「換気バッフルボックス」を配置し、防音性を損なうことなく小屋内部の空気を循環させます、とのこと。


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