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原敬やルーズベルトとゆかりが深い、一関出身の外交官高平小五郎

以前にnoteで、岩手出身の外交官が多いと記しましたが、今回は一関出身の外交官高平小五郎について紹介しましょう。

原敬が東北人として初めて内務大臣に就任した前後に活躍した外交官に、高平小五郎がいます。原と高平にはこんな接点がありました。

原は第2次西園寺公望内閣で内務大臣を勤めましたが、明治41(1908)年7月14日桂太郎内閣成立に伴い辞任しました。この時、臨時に700円の賞与を貰っています。

明治38(1905)年12月、不貞を働いた貞子と原は正式に離婚、長く内縁関係にあった芸者浅を明治41(1908)年1月14日、正式に入籍しました。

住まいが狭かったので、新居を購入しようと思い、原は浅に相談しました。浅は現在の家は多少増築すればよく、残った金で久しぶりに洋行し、見聞を広めたらどうかと提案しました。

原はその提案を受け、随員を伴い、夫婦で世界一周の旅に出ました。横浜を出発、カナダのバンクーバーを経てアメリカに上陸、シアトル、サンフランシスコ、ニューヨーク、ボストンを経てヨーロッパへ。それからフランス、イギリス、ドイツ、スペインなどを経てモスクワへ。帰りはシベリア鉄道、南満州鉄道を乗り継ぎ、ハルピンを経て旅順に到着。旅順から船(浅草丸)で日本に帰国しました。17カ月に及ぶ旅でした。

サンフランシスコではこんなことがありました。市内には日本人による喫茶店があり、日本人がアメリカに溶け込もうとしていることに安堵しましたが、海水浴場で「日本人入るべからず」の立て看板を見ました。このことは後年原が内閣総理大臣に就任した際、パリ講和会議で「人種差別禁止の規定」を国際連盟規約に盛り込むことを強力に提案するきっかけとなりました。

9月27日、ワシントンに着いた時は一関藩出身で日本大使館に勤務する高平小五郎大使が歓待してくれました。高平は安政元(1854)年一関の生まれで、旧姓は田崎といいました。16歳の時、一関藩の祐筆だった高平真藤の養子となり、高平を名乗りました。明治維新後上京して貢進生として大学南校(現東大)に学びました。卒業後工部省に出仕しましたが、外務省に転じ外交官となった人物です。

日露戦争に勝利した日本は、第26代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトの斡旋によりポーツマス条約を調印しました。

そのときの日本の主席全権委員は小村寿太郎でしたが、高平は小村の下で実務に当たりました。日本とロシアとの交渉には紆余曲折がありましたが、最終的には「日本は賠償金を要求しない。ロシアは樺太の北緯五〇度以南を割譲する」という条件で合意に達しました。

一関市釣山公園内にある高平小五郎胸像

日本はこの講和条約により、韓国における日本の優位、満州からのロシア軍の撤退などを実現しました。樺太の南半分に加え、大連・旅順の租借権をロシアから譲り受け、長春から旅順までの東清鉄道南満州支線なども譲渡されました。小村と高平の粘り強い交渉の成果といえます。

高平とルーズベルト大領領にはそんな接点もあり、高平は原にルーズベルトに謁見してほしいと依頼しました。原は明治41(1908)年9月28日、高平の紹介で、ルーズベルトに謁見しています。ルーズベルトは、親日家として知られていました。

1904年3月、日露戦争中のことですが、貴族院議員金子堅太郎が政府から派遣され、ルーズベルトに斡旋工作を依頼しています。金子はハーバード大学留学中にルーズベルトと知り合っていました。

そのとき、日本を知るための書として金子がルーズベルトに寄贈したのが、1900年に出版され、世界的なベストセラーになった、新渡戸稲造(1862-1933)が英文で書いた『武士道』でした。高平はそのとき、金子と共にルーズベルトに会っています。
『武士道』を読んだルーズベルトはその内容に感心し、子供たちに買って与えたといいます。原とルーズベルトが会った際も、新渡戸稲造のことが話題になったに違いありません。

高平小五郎はその後外務次官となり明治41(1908)年には駐米大使に就任しました。勲一等に叙せられ貴族院議員となり、枢密院顧問官も務めました。大正15(1926)年11月28日に亡くなりました。72歳でした。一関市の釣山公園に胸像が建立されていて、墓は東京都府中市の多磨霊園と一関市の瑞川寺にあります。

私の著書『国際外交の舞台で活躍した岩手の男たち 杉村陽太郎と新渡戸稲造』(日本地域社会研究所)では高平小五郎について紹介しています。関心のある方は、どうぞお読みください。

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また、『原敬と新渡戸稲造』(現代書館)でも高平小五郎に関する記述があります。関心のある方は、下のリンクによりお買い求めください。

原敬と新渡戸稲造


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