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〜 おへその乱読1000本ノック #0095 ~ 2年間の適度なカロリー制限は心血管代謝リスクを改善する

 ようこそ、第95回 おへその乱読1000本ノックへ。今回は、Kraus et al.(2019)による、2年間のカロリー制限がヒトの心血管代謝リスク因子に与える影響を検討した研究を取り上げます。
 前回までは、タンパク質制限、アミノ酸制限、mTOR、FGF21を通じて、食餌介入が代謝健康や寿命に結びつく仕組みを、主にモデル生物で見てきました。今回はその流れを受けて、カロリー制限の効果をヒトで検証した臨床研究へ進みます。
 本論文では、若年から中年の非肥満成人を対象に、2年間のカロリー制限が、脂質、血圧、糖代謝、炎症、メタボリックシンドローム指標に及ぼす影響が検討されました。モデル生物で蓄積されてきたカロリー制限研究を、ヒトの心血管代謝リスク低減という観点から読み解いていきます。

要旨
 本論文では、健康な若年から中年の非肥満成人を対象に、2年間のカロリー制限が心血管代謝リスク因子に及ぼす影響が検討された。CALERIE試験では、218名を25%カロリー制限群または自由摂取対照群に割り付け、体重、体組成、脂質、血圧、糖代謝、炎症指標、メタボリックシンドロームスコアを比較した。
 その結果、カロリー制限群では、実際には平均約12%の制限が達成され、2年間で約10%の体重減少が維持された。体重減少の多くは脂肪量の減少によるものであり、LDLコレステロール、中性脂肪、血圧、空腹時インスリン、HOMA-IR、hsCRP、メタボリックシンドロームスコアが改善した。一方、自由摂取対照群では同様の改善は認められなかった。
 これらの結果から、栄養充足を保った中等度のカロリー制限は、健康な非肥満成人においても、複数の心血管代謝リスク因子を正常範囲内からさらに望ましい方向へ改善することが示された。

1.はじめに:カロリー制限研究をヒトの心血管代謝リスクへつなぐ

 心血管疾患は、世界的に主要な死亡・障害要因であり、その発症には脂質異常、血圧上昇、糖代謝異常、炎症など複数の心血管代謝リスク因子が関与する。カロリー制限は、アカゲザルなどの霊長類モデルにおいて心血管疾患の発症や死亡リスクを低下させることが示されており、ヒトの観察研究でも、長期の強いカロリー制限が動脈硬化リスク因子の改善と関連することが報告されてきた。
 しかし、これまでのヒト研究では、健康な若年から中年の非肥満者を対象として、1年を超えるカロリー制限が心血管代謝リスクにどのような影響を及ぼすかは十分に明らかではなかった。モデル動物のカロリー制限研究は、比較的若い時期から介入を開始することが多いため、ヒトでも同様に、疾患発症前の健康な段階で長期介入を検証する必要がある。
 また、心血管代謝リスクは、臨床的な異常値に達してから突然高まるわけではない。LDLコレステロール、血圧、血糖などのリスク因子は、正常範囲内であっても連続的に心血管疾患リスクと関連する。そのため、健康な個人においてリスク因子をより望ましい水準へ保つことは、生涯にわたる心血管疾患リスクの低減につながる可能性がある。
 この背景のもと、CALERIE試験では、健康な若年から中年の非肥満成人を対象に、2年間の25%カロリー制限が複数の心血管代謝リスク因子に及ぼす影響を検討した。本論文では、安静時代謝率や体温などの先行報告に続き、動脈硬化性心血管疾患に関わる脂質、血圧、糖代謝、炎症、メタボリックシンドローム指標への効果を評価する。

(参考)CALERIE試験で用いられた主な試験・評価指標 (おへそが本文より抜粋し作表)

2.CALERIE試験の設計:健康な非肥満成人に対する2年間のカロリー制限

 CALERIE試験は、健康な若年から中年の非肥満成人を対象に、長期のカロリー制限が心血管代謝リスク因子に及ぼす影響を検討した多施設ランダム化比較試験である。対象は21〜50歳の男性および21〜47歳の閉経前女性で、BMIは22.0〜27.9 kg/m²に設定された。すなわち、本試験は肥満者の減量試験ではなく、臨床的には健康で、正常体重から軽度過体重の成人におけるカロリー制限介入として設計された点に特徴がある(Table 1)。

 ベースライン評価後、参加者はカロリー制限群と自由摂取対照群に2:1の比率で割り付けられた。カロリー制限群では、二重標識水法により推定した個人ごとのエネルギー必要量を基準として、25%の摂取エネルギー制限を目標とした。介入開始時には各臨床施設で食事提供と栄養指導を行い、その後も個別・集団カウンセリングを組み合わせて、2年間の介入継続を支援した。遵守度は、個別に設定した体重減少軌道への到達度と、二重標識水法に基づくエネルギー消費量・体組成変化から評価された。
 最終的に、218名が割り付けられた介入を開始し、カロリー制限群の82%、自由摂取群の95%が2年間の試験を完遂した(Fig. S1)。ベースライン時点の参加者背景をみると、年齢、BMI、体重、体組成、エネルギー摂取量、脂質、血圧、糖代謝関連指標などに、群間で統計学的に有意な差は認められなかった。したがって、本試験では、介入前の背景が概ねそろった集団において、2年間のカロリー制限が心血管代謝リスク因子に及ぼす影響を評価できる構造になっていた(Table 1)。


Fig. S1 CALERIE Phase 2試験の参加者フロー 適格性評価を受けた238名のうち220名がランダム化され、25%カロリー制限群145名、自由摂取対照群75名に割り付けられた。介入を開始したのはカロリー制限群143名、自由摂取群75名であり、2年間の介入を完了したのはそれぞれ117名と71名であった。中止理由には、妊娠、転居、安全性上の理由、同意撤回、個人的理由などが含まれた。

 このように、本試験は、疾患をもつ肥満者を減量させる試験ではなく、健康な非肥満成人に、栄養充足を保った中等度カロリー制限を長期に行うと、心血管代謝リスク因子がどう変化するかを検証する試験であった。この設計により、モデル生物で蓄積されてきたカロリー制限研究を、ヒトの予防医学的介入として評価する枠組みが整えられた。

3.カロリー制限の達成度と体組成変化

 カロリー制限群では、介入開始後6か月間に平均19.5%のエネルギー摂取制限が達成された。その後、制限率は低下したが、2年間全体では平均11.7%のカロリー制限が維持された。対照となる自由摂取群では、平均エネルギー摂取量に大きな変化は認められなかった。したがって、本試験では、目標とした25%制限には届かなかったものの、健康な非肥満成人において、中等度のカロリー制限を2年間継続することができた。
 この摂取制限に伴い、カロリー制限群では体重が明確に低下した。体重減少は1年時点で平均8.4 kg、2年時点で平均7.5 kgに達し、2年後も約10.4%の体重減少が維持された。一方、自由摂取群では体重に有意な変化は認められなかった。BMIも同様に低下し、カロリー制限による体格変化は2年間にわたって持続した(Fig. 1A, Table 2)。


Fig. 1A 2年間のカロリー制限によるBMIの変化 
カロリー制限群では、介入期間を通じてBMIが低下し、2年後までその低下が維持された。一方、自由摂取対照群ではBMIに大きな変化は認められなかった。

 体重減少の内訳をみると、カロリー制限群では脂肪量が1年時点で平均6.1 kg、2年時点で平均5.3 kg低下した。2年後の体重減少の約71%は脂肪量の減少で説明され、除脂肪量の減少は相対的に小さかった。すなわち、本試験で観察された減量は、単なる体重低下ではなく、主として脂肪量の減少を伴う体組成変化であった(Table 2)。
 また、体重減少率や腹囲、BMI、総脂肪量、四肢脂肪量の変化率には、性別による明確な差は認められなかった。したがって、カロリー制限による体重・脂肪量の低下は、男性または女性のどちらかに偏った反応ではなく、健康な非肥満成人全体で比較的一貫して観察された変化であった。
 以上より、本試験では、2年間の中等度カロリー制限により、持続的な体重減少と脂肪量低下が生じた。この体組成変化は、以後に示される脂質、血圧、糖代謝、炎症指標の改善を解釈するうえで、介入が実際に生理的変化を引き起こしていたことを示す基盤となる。

4.脂質プロファイルと血圧の改善

 カロリー制限は、脂質プロファイルを広く改善した。カロリー制限群では、総コレステロールとLDLコレステロールが1年後および2年後に有意に低下した。一方、自由摂取対照群では、これらの指標に明確な改善は認められなかった。LDLコレステロールは動脈硬化性心血管疾患の主要な危険因子であり、健康な非肥満成人においても、その低下は心血管リスクの長期的低減に関わる変化として位置づけられる(Fig. 1D, Table 3)。


Fig. 1D 2年間のカロリー制限によるLDLコレステロールの変化 
カロリー制限群では、LDLコレステロールが低下し、その変化は2年間の介入期間を通じて維持された。自由摂取対照群では、同様の低下は認められなかった。

 HDLコレステロールは、カロリー制限群で1年後および2年後に上昇した。群間差として明確になったのは2年後であったが、LDLコレステロールの低下とHDLコレステロールの上昇が同時に生じたことにより、総コレステロール/HDLコレステロール比も持続的に低下した。さらに、中性脂肪もカロリー制限群で大きく低下した。したがって、カロリー制限は単一の脂質指標だけでなく、LDL、HDL、中性脂肪、脂質比を含む複数の脂質リスク因子を同時に改善した(Fig. 1E, Table 3)。


Fig. 1E 2年間のカロリー制限によるHDLコレステロールの変化  カロリー制限群では、HDLコレステロールが上昇した。2年後には自由摂取対照群との差が明確となり、脂質プロファイル全体の改善に寄与した。

 血圧についても、カロリー制限群では収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧が低下した。参加者のベースライン血圧はもともと低正常域にあったが、カロリー制限によりさらに低下し、その変化は1年後に統計学的に明確となり、2年後まで持続した。一方、自由摂取対照群では同様の低下は認められなかった(Fig. 1C, Table 4)。


Fig. 1C 2年間のカロリー制限による血圧の変化 カロリー制限群では、収縮期血圧を中心に血圧が低下し、2年間の介入期間を通じて低下傾向が維持された。自由摂取対照群では同様の改善は認められなかった。

 この結果は、カロリー制限が、肥満や明らかな代謝異常をもつ集団だけでなく、臨床的には健康な非肥満成人においても、心血管リスク因子をより望ましい方向へ移動させることを示している。脂質と血圧は、動脈硬化性心血管疾患の発症に直接関わる主要因子であるため、この章で示される変化は、本試験におけるカロリー制限の心血管代謝効果を支える中心的な結果である。

5.糖代謝、インスリン感受性、炎症の改善

 カロリー制限は、糖代謝関連指標にも明確な変化をもたらした。空腹時インスリンは、カロリー制限群で1年後および2年後に有意に低下した。経口ブドウ糖負荷試験におけるインスリンAUCも低下し、同じ糖負荷に対して必要とされるインスリン分泌量が少なくなったことが示された。一方、自由摂取対照群では同様の改善は認められなかった(Fig. 1F, Table 5)。

Fig. 1F 2年間のカロリー制限によるOGTTインスリンAUCの変化  カロリー制限群では、経口ブドウ糖負荷試験におけるインスリンAUCが低下し、糖負荷に対して必要とされるインスリン分泌量が減少した。自由摂取対照群では同様の低下は認められなかった。

 血糖値そのものの変化は、インスリン関連指標ほど一貫していなかった。空腹時血糖はカロリー制限群で1年後に低下したが、2年後には群間差が明確ではなく、OGTTにおけるグルコースAUCにも有意な低下は認められなかった。したがって、本試験で強く示された糖代謝改善は、血糖値の大きな低下というより、インスリン需要の低下とインスリン感受性の改善として捉えられる(Table 5)。
 インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRは、カロリー制限群で1年後および2年後に低下した。また、インスリン感受性指数は改善し、2年後にはインスリン反応も低下した。これらの結果は、カロリー制限により末梢組織のインスリン感受性が高まり、同じ代謝状態を維持するために必要なインスリン量が減少したことを示している。糖尿病をもたない健康な非肥満成人においても、カロリー制限はインスリン作用をより望ましい方向へ変化させた。
 炎症指標については、高感度C反応性タンパク質であるhsCRPが評価された。カロリー制限群では、hsCRPが2年後に有意に低下した。1年後には明確な群間差は認められなかったため、この変化は短期的な減量効果というより、持続的なカロリー制限に伴う慢性炎症トーンの低下として位置づけられる。慢性低度炎症は、動脈硬化性心血管疾患だけでなく、加齢関連疾患全般と関係するため、この結果はカロリー制限の心血管代謝効果を炎症制御の側面から補強するものである(Table 5)。
 以上より、2年間のカロリー制限は、糖代謝においては血糖値そのものを大きく下げるというより、インスリン濃度の低下、インスリン抵抗性の改善、インスリン感受性の上昇として表れた。さらに、hsCRPの低下により、慢性炎症の軽減も示された。脂質と血圧に続き、糖代謝と炎症の両面からも、カロリー制限は心血管代謝リスクを広く改善する介入であることが示された。

6.メタボリックシンドロームスコアと体重減少を超えた効果

 カロリー制限による心血管代謝リスクの改善は、個別の指標だけでなく、統合指標にも表れた。本研究では、血圧、HDLコレステロール、中性脂肪、腹囲、空腹時血糖を組み合わせ、性別ごとにメタボリックシンドロームスコアを算出した。このスコアは、複数の心血管代謝リスク因子を一つの連続的指標として評価するものであり、カロリー制限群では1年後および2年後に大きく低下した。一方、自由摂取対照群では同様の低下は認められなかった(Fig. 1B, Table 5)。

Fig. 1B 2年間のカロリー制限によるメタボリックシンドロームスコアの変化  カロリー制限群では、血圧、HDLコレステロール、中性脂肪、腹囲、空腹時血糖を統合したメタボリックシンドロームスコアが低下し、その改善は2年間にわたり維持された。自由摂取対照群では同様の低下は認められなかった。

 この結果は、カロリー制限の効果が、脂質、血圧、糖代謝、腹部肥満のいずれか一つに限定されるものではなく、心血管代謝リスク全体を同じ方向へ改善することを示している。とくに本試験の参加者は、ベースライン時点で臨床的には健康な非肥満成人であったため、メタボリックシンドロームスコアの低下は、疾患状態からの回復というより、正常範囲内のリスク因子をさらに望ましい水準へ移動させる変化として位置づけられる。

 次に、これらの改善が単に体重減少によって説明されるのかが検討された。カロリー制限群内で、体重、体脂肪率、体幹脂肪率の変化と臨床指標の変化との相関を解析したところ、メタボリックシンドロームスコアは体重および脂肪関連指標の変化と強く関連した。HOMA-IRやインスリンAUCなど一部の糖代謝指標も体重変化と関連したが、すべての指標が体重や脂肪量の変化だけで一様に説明されるわけではなかった(Supplemental Table 1)。

 さらに、体重変化を考慮した解析でも、カロリー制限による心血管代謝リスク因子への効果は相当程度残存した。これは、カロリー制限が体重減少を介してリスク因子を改善するだけでなく、エネルギーバランス、脂肪分布、インスリン作用、炎症状態などを含む代謝調節そのものにも影響する可能性を示す。すなわち、本研究では、体重が減ったからリスクが下がった、という単純な説明にとどまらず、カロリー制限に伴う代謝適応として心血管代謝リスクの改善が捉えられた。

 また、介入遵守度や脱落の影響を考慮するため、限界構造モデルを用いた補助解析も行われた。この解析では、カロリー制限群全体が25%制限を達成した場合を推定し、通常のintention-to-treat解析と比較した。メタボリックシンドロームスコア、収縮期血圧、LDLコレステロール、HDLコレステロール、OGTTインスリンAUCの変化は、両解析で概ね同方向であり、主要な結論は解析方法を変えても大きく変わらなかった(Supplemental Fig. 2)。

Supplemental Fig. 2 ITT解析と限界構造モデル解析によるカロリー制限効果の比較  自由摂取対照群(AL)、通常のintention-to-treat解析によるカロリー制限群(CR-ITT)、および25%カロリー制限を達成した場合を推定する限界構造モデル解析(CR-MSM)を比較した。メタボリックシンドロームスコア、収縮期血圧、LDLコレステロール、HDLコレステロール、OGTTインスリンAUCのいずれにおいても、CR-ITTとCR-MSMは概ね同方向の変化を示し、カロリー制限による心血管代謝リスク改善の結論が解析方法に大きく依存しないことを示している。

 以上より、2年間のカロリー制限は、個別の心血管代謝リスク因子だけでなく、それらを統合したメタボリックシンドロームスコアも改善した。さらに、その効果は体重減少と密接に関連しつつも、体重変化だけでは完全には説明されない。カロリー制限は、体重を下げる介入であると同時に、心血管代謝リスク全体を低下させる代謝介入として作用した。

7.結論:ヒトにおける中等度カロリー制限の心血管代謝効果

 2年間の中等度カロリー制限は、健康な若年から中年の非肥満成人において、複数の心血管代謝リスク因子を改善した。本試験の参加者は、介入開始時点で臨床的には正常範囲の脂質、血圧、糖代謝指標を示していた。それにもかかわらず、カロリー制限により、LDLコレステロール、中性脂肪、血圧、インスリン抵抗性、慢性炎症、メタボリックシンドロームスコアがより望ましい方向へ変化した。したがって、カロリー制限の効果は、疾患状態の改善に限られず、正常範囲内にある心血管代謝リスク因子をさらに低下させるものとして示された。
 この点は、予防医学的に重要である。心血管疾患リスクは、臨床的な閾値を超えた時点から急に上昇するのではなく、LDLコレステロール、血圧、血糖、炎症などの指標と連続的に関連する。そのため、若年から中年期にリスク因子を低く保つことは、生涯にわたる心血管疾患リスクの低減につながる可能性がある。本研究では、健康な非肥満成人を対象に、栄養充足を保ったカロリー制限を長期に実施し、心血管代謝リスクを広く改善できることを示した。
 また、これらの改善は体重減少と密接に関連していたが、体重変化だけでは完全には説明されなかった。カロリー制限は、体脂肪の減少を介してリスク因子を改善するだけでなく、インスリン作用、脂質代謝、血圧調節、炎症状態を含む代謝適応を伴う介入として作用した可能性がある。補助解析でも、通常のintention-to-treat解析と限界構造モデル解析の結論は概ね一致しており、主要な心血管代謝指標の改善は解析方法に大きく依存しなかった(Supplemental Fig. 2)。
 一方で、本試験には限界もある。主要な評価対象は心血管代謝リスク因子であり、動脈硬化プラークの変化や心血管イベントそのものは直接評価されていない。したがって、本研究は、カロリー制限が心血管疾患を直接減少させたことを示すものではなく、その前段階にあるリスク因子を改善したことを示す臨床試験である。この点を踏まえると、今後は、カロリー制限による代謝適応の生理学的・分子機構と、それが長期的な疾患発症リスクにどう結びつくかを検証する必要がある。
 以上より、CALERIE試験は、モデル生物で蓄積されてきたカロリー制限研究を、ヒトの心血管代謝リスク低減へ接続する重要な臨床的証拠を示した。中等度のカロリー制限は、健康な非肥満成人においても、脂質、血圧、糖代謝、炎症を含む複数のリスク因子を同時に改善した。本論文は、カロリー制限を単なる減量法ではなく、心血管代謝健康を最適化する予防医学的介入として位置づける研究である。



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