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〜 おへその乱読1000本ノック #0109 ~CASTOR1:アルギニンをmTORC1へつなぐ栄養センサー

 ようこそ、第109回 おへその乱読1000本ノックへ。
 前回は、Sestrin2がロイシンを選択的に認識する構造的な仕組みを見てきました。今回は、mTORC1上流に存在するアミノ酸センサーの中から、アルギニンを感知する仕組みに焦点を当てます。
 取り上げるのは、Chantranupong et al.(2016)による、CASTORタンパク質を介したアルギニン感知機構に関する論文です。アルギニンはmTORC1を活性化する主要なアミノ酸として知られていた一方で、細胞質中のアルギニンをどの分子が直接感知しているのかは、これまで明らかになっていませんでした。
 本論文では、CASTOR1がアルギニンに直接結合し、GATOR2との相互作用を介してmTORC1経路を制御していることが示されています。CASTOR1とCASTOR2の関係にも注目しながら、アルギニンという栄養シグナルがどのようにmTORC1上流へと伝えられるのか、その仕組みを読み解いていきます。

要旨
 アミノ酸はRag GTPaseを介してmTORC1活性を制御するが、アルギニンを細胞内で直接感知する分子機構は十分に明らかではなかった。本研究では、GATOR2結合タンパク質としてCASTOR1およびCASTOR2を同定し、これらがホモ二量体またはヘテロ二量体を形成してmTORC1上流で機能することを示した。
 CASTOR1はアルギニン欠乏時にGATOR2へ結合してmTORC1を抑制したが、アルギニンがCASTOR1へ直接結合すると、この複合体は解離した。CASTOR1ホモ二量体およびCASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体は、約30 µMの解離定数でアルギニンに結合した一方、CASTOR2ホモ二量体はアルギニンを結合しなかった。CASTOR1を欠損させると、mTORC1はアルギニン欠乏に対する応答性を失った。
 さらに、CASTOR1のI280A変異はアルギニン結合を消失させ、GATOR2との結合をアルギニン非依存的に維持し、mTORC1のアルギニン応答を阻害した。以上より、CASTOR1はアルギニンに直接結合し、GATOR2との相互作用を切り替えることでmTORC1を制御する細胞質アルギニンセンサーであることが示された。


1.イントロダクション:mTORC1上流のアルギニン感知

1.1 アミノ酸によるmTORC1制御

 mTORC1は、アミノ酸、成長因子、エネルギー状態などの情報を統合し、タンパク質合成や細胞成長を促進するシグナル伝達複合体である。アミノ酸が十分に存在する条件下では、Rag GTPaseがmTORC1をリソソーム膜へ動員し、Rhebにより活性化される。
 Rag GTPaseの活性状態は複数の上流因子によって制御される。GATOR1はRagA/Bに対するGTPase活性化タンパク質として働き、mTORC1を抑制する。一方、GATOR2はGATOR1のさらに上流でmTORC1を促進するが、その分子機構は十分に明らかにされていなかった。ロイシン欠乏時にSestrinタンパク質がGATOR2へ結合することから、GATOR2は複数のアミノ酸シグナルが収束する制御点と考えられていた。
 mTORC1上流では、ロイシン、アルギニン、メチオニンなどの情報が、それぞれ異なるセンサーを介してGATOR複合体やRag GTPaseへ伝達される(参考図1)。



参考図 アミノ酸センサーからmTORC1へ至る上流制御ネットワーク
 

 ロイシン、アルギニン、メチオニンなどのアミノ酸情報は、Sestrin2、CASTOR1、SAMTOR、SLC38A9、LARS、TARS2などによって感知され、GATOR1/2、KICSTOR、FLCN–FNIP、Rag GTPase、LAMTORを介してmTORC1へ伝達される。細胞質では、Sestrin2がロイシン、CASTOR1がアルギニン、SAMTORがSAMを介してメチオニン充足状態を感知する。一方、リソソーム膜では、SLC38A9やv-ATPaseを含む感知機構がアミノ酸情報をRag経路へ接続する。Rag GTPaseはmTORC1をリソソーム膜へ動員し、Rhebがそのキナーゼ活性を促進する。本論文で扱うCASTOR1は、GATOR2との相互作用を介してアルギニン情報をmTORC1上流へ伝える位置にある。 (出典:Fernandes and Demetriades, 2021より一部改変)

1.2 細胞質アルギニンセンサーという未解決課題

 アルギニンは、ロイシンと並んでmTORC1を強く活性化するアミノ酸である。リソソーム膜上のSLC38A9は、アルギニン情報をRag経路へ伝達する分子として同定されていた。しかし、SLC38A9欠損細胞においても、アルギニン欠乏によるmTORC1抑制は完全には失われず、SLC38A9とは独立したアルギニン感知機構の存在が示唆されていた。
 そこで本研究では、GATOR2と相互作用する未解析タンパク質に着目し、細胞質アルギニンを直接感知してmTORC1へ伝達する分子の同定を試みた。その結果、CASTOR1およびCASTOR2をGATOR2結合タンパク質として見いだし、このうちCASTOR1をアルギニン応答の主要な候補として解析した。

2.CASTOR1とCASTOR2の同定と複合体形成

2.1 GATOR2結合タンパク質としてのCASTOR1とCASTOR2

 GATOR2はmTORC1を正に制御する複合体であり、Sestrinタンパク質を介してロイシン情報を受け取ることが知られていた。そこで、GATOR2に結合する別のアミノ酸センサーが存在すると考え、ヒトタンパク質間相互作用データベースBioPlexを探索した。その結果、GATOR2の構成因子であるWDR24、WDR59、miosと相互作用する未解析タンパク質GATSL3を見いだし、cellular arginine sensor for mTORC1 1としてCASTOR1と命名した。また、CASTOR1に類似するGATSL2をCASTOR2とした(Fig. 1A)。
 CASTOR1とCASTOR2は63%のアミノ酸配列同一性をもち、いずれも二つのACTドメインを有していた(Fig. 1B、C)。ACTドメインは、アミノ酸などの低分子を結合し、タンパク質機能をアロステリックに制御する構造として知られている。この特徴から、CASTORタンパク質がアミノ酸感知に関与する可能性が考えられた。
 HEK293T細胞でHAタグ付きCASTOR1またはCASTOR2を発現させ、免疫沈降によって相互作用タンパク質を解析したところ、両者は内在性GATOR2構成因子miosと共沈した(Fig. 1D)。したがって、CASTOR1とCASTOR2はいずれもGATOR2結合タンパク質であることが確認された。


Fig. 1 CASTOR1とCASTOR2はACTドメインをもち、GATOR2と相互作用する

A BioPlexタンパク質間相互作用データベースにおいて、CASTOR1はGATOR2構成因子であるWDR24、WDR59、mios、およびCASTOR2と相互作用した。 B ヒトCASTOR1とCASTOR2はいずれも二つのACTドメインをもつ。 C CASTOR1およびCASTOR2のACTドメインは、真菌や細菌のアミノ酸結合タンパク質に含まれるACTドメインと配列類似性を示した。赤色の星印はCASTOR1のI280残基を示す。 D HAタグ付きCASTOR1またはCASTOR2を発現させたHEK293T細胞で免疫沈降を行うと、両タンパク質は内在性GATOR2構成因子miosと共沈した。metap2は陰性対照として用いた。

2.2 CASTOR1とCASTOR2はホモ二量体とヘテロ二量体を形成する

 ACTドメインをもつタンパク質は、しばしば会合して複合体を形成する。そこでCASTOR1とCASTOR2の相互作用を共免疫沈降により解析した。その結果、CASTOR1とCASTOR2はそれぞれ自己会合するとともに、互いにも結合した(Fig. 2A)。さらに、組換えCASTOR1は内在性CASTOR2と、組換えCASTOR2は内在性CASTOR1と共沈し、細胞内でも両者が複合体を形成することが示された(Fig. 2B、C)。
 精製したCASTOR1–CASTOR2複合体をSDS-PAGEで解析すると、両タンパク質はほぼ等量で含まれていた(Fig. 2D)。以上より、CASTORタンパク質は、CASTOR1ホモ二量体、CASTOR2ホモ二量体、およびCASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体という三つの複合体を形成すると考えられた。


Fig. 2 CASTOR1とCASTOR2はホモ二量体およびヘテロ二量体を形成する
 

A 異なるタグを付加したCASTOR1およびCASTOR2をHEK293T細胞に共発現させ、共免疫沈降により解析した。CASTOR1とCASTOR2はそれぞれ自己会合するとともに、互いにも結合した。 B 組換えCASTOR2は内在性CASTOR1と共沈した。 C 組換えCASTOR1は内在性CASTOR2と共沈した。 D 精製したCASTOR1–CASTOR2複合体をSDS-PAGEおよびCoomassie blue染色で解析すると、両タンパク質はほぼ等量で含まれていた。アスタリスクは精製試料に含まれる共通の混入タンパク質を示す。

3.アルギニンはCASTOR1へ直接結合してGATOR2との相互作用を解除する

3.1 アルギニン依存的なCASTOR1–GATOR2複合体の解離

 CASTOR1およびCASTOR2が形成する三種の複合体について、GATOR2との相互作用がアミノ酸状態によって変化するかを検証した。HEK293T細胞をアミノ酸欠乏条件に置くと、CASTOR1ホモ二量体およびCASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体とGATOR2との結合が増加し、アミノ酸を再添加すると速やかに低下した。一方、CASTOR2ホモ二量体はGATOR2と強く結合したままであり、アミノ酸状態による影響をほとんど受けなかった(Fig. 3A、B)。
 次に、ロイシンまたはアルギニンを個別に除去して比較したところ、いずれの条件でもmTORC1活性は低下したが、CASTOR1とGATOR2の結合を増加させたのはアルギニン欠乏のみであった。アルギニンを再添加すると、この結合は解除された(Fig. 3C)。
 さらに、アミノ酸欠乏細胞から免疫精製したCASTOR1–GATOR2複合体へ各アミノ酸を直接添加したところ、アルギニンだけが両者を解離させた。この作用は濃度依存的であり、20~40 µM付近で解離が半最大に達した(Fig. 3D、E)。したがって、アルギニンは細胞内の別のシグナルを介さず、CASTOR1を含む複合体に直接作用してGATOR2との結合を制御すると考えられた。
 CASTOR1を二つのACTドメイン領域に分割すると、両領域はアルギニン存在下で相互作用し、アルギニンを除くと解離した。一方、CASTOR2のACTドメイン間相互作用はアルギニンの有無にかかわらず維持された(Fig. 3F)。この対比は、CASTOR1のみがアルギニン応答性を示すという結果と一致した。



Fig. 3 アルギニンはCASTOR1を含む複合体とGATOR2との相互作用を制御する


A HEK293T細胞をアミノ酸欠乏後に再刺激し、CASTOR複合体とGATOR2との相互作用を免疫沈降で解析した。CASTOR1ホモ二量体およびCASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体とGATOR2との結合はアミノ酸欠乏で増加し、再添加で低下したが、CASTOR2ホモ二量体との結合はほとんど変化しなかった。 B 内在性FLAG-WDR59を発現するHEK293T細胞を用いた解析でも、内在性CASTOR1とGATOR2との結合はアミノ酸状態に応じて変化した一方、CASTOR2との結合はほぼ一定であった。 C ロイシンまたはアルギニンを個別に除去したところ、アルギニン欠乏のみがCASTOR1とGATOR2との結合を増加させ、再添加により結合は解除された。 D アミノ酸欠乏細胞から免疫精製したCASTOR1–GATOR2複合体へ各アミノ酸を直接添加すると、アルギニンだけが複合体を解離させた。 E CASTOR1ホモ二量体およびCASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体とGATOR2との結合は、アルギニン濃度に依存して低下した。 F CASTOR1の二つのACTドメイン領域はアルギニン存在下で相互作用したが、CASTOR2のACTドメイン間相互作用はアルギニンの有無にかかわらず維持された。

3.2 CASTOR1はアルギニンへ直接結合する

 CASTOR1がアルギニンを直接認識するかを調べるため、免疫精製したCASTOR複合体を用いて放射標識アルギニンの結合を解析した。その結果、アルギニンはCASTOR1ホモ二量体およびCASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体へ結合したが、CASTOR2ホモ二量体には結合しなかった(Fig. 4A、B)。ロイシンやリジンはCASTOR1へ結合せず、CASTOR1がアルギニンを選択的に認識することが示された。
 哺乳類細胞由来の試料に混入する別のタンパク質がアルギニンを結合している可能性を排除するため、大腸菌で発現・精製したCASTOR複合体でも同様の解析を行った。この場合もCASTOR1ホモ二量体とCASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体はアルギニンを結合し、CASTOR1自体が直接結合することが確認された(Fig. 4C)。
 アルギニンに対する解離定数は、CASTOR1ホモ二量体で34.8 ± 5.9 µM、CASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体で24.2 ± 4.1 µMであった(Fig. 4D、E)。これらの値は、CASTOR1–GATOR2複合体の解離や細胞内でのmTORC1活性化に必要なアルギニン濃度とよく一致した(Fig. 4F)。以上より、CASTOR1はアルギニンを直接結合し、その結合に応じてGATOR2との相互作用を切り替えるセンサーとして機能することが示された。


Fig. 4 CASTOR1を含む複合体はアルギニンへ直接結合する


A 放射標識アルギニンはCASTOR1ホモ二量体へ結合したが、放射標識ロイシンおよびリジンは結合しなかった。 B アルギニンはCASTOR1ホモ二量体およびCASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体へ結合したが、CASTOR2ホモ二量体には結合しなかった。 C 大腸菌で発現・精製したCASTOR1ホモ二量体およびCASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体もアルギニンを結合し、CASTOR1自体が直接結合することが確認された。 D CASTOR1ホモ二量体に対するアルギニンの解離定数は34.8 ± 5.9 µMであった。 E CASTOR1–CASTOR2ヘテロ二量体に対するアルギニンの解離定数は24.2 ± 4.1 µMであった。 F CASTOR1–GATOR2複合体の解離およびmTORC1活性化は、CASTOR1のアルギニン結合親和性と近い濃度範囲で生じた。

4.CASTOR1はmTORC1のアルギニン応答に必要である

4.1 CASTOR1欠損によりアルギニン欠乏応答が弱まる

 CASTOR1がmTORC1のアルギニン応答に必要かを検証するため、まずHEK293T細胞でCASTOR1またはCASTOR2を過剰発現させた。いずれもアミノ酸刺激によるmTORC1活性化を抑制したが、CASTOR2はアルギニンを結合しないため、より持続的な抑制作用を示した(Fig. 5A)。
 次に、shRNAまたはCRISPR/Cas9によりCASTOR1を減少させると、アルギニン欠乏条件下でもS6K1 Thr389リン酸化が十分に低下せず、mTORC1はアルギニン不足に応答しにくくなった(Fig. 5B、C)。一方、ロイシン欠乏や全アミノ酸欠乏への応答は維持されており、この変化はアルギニン感知に選択的なものであった。
 さらに、CASTOR1をノックダウンした細胞へRNAi耐性CASTOR1を再導入すると、アルギニン応答は回復した。以上より、CASTOR1はアルギニン欠乏をmTORC1へ伝える負の制御因子として機能することが示された。

4.2 CASTOR1とSLC38A9は並列にアルギニン情報を伝える

 CASTOR1とは対照的に、CASTOR2を減少させると、アルギニン存在下でmTORC1活性がわずかに上昇した(Fig. 5D)。CASTOR2はアルギニンを結合せず、GATOR2との結合もほぼ一定であることから、アルギニン状態によらない恒常的な抑制因子として働くと考えられた。
 さらに、リソソーム膜上のアルギニン感知因子SLC38A9との関係を解析した。SLC38A9欠損細胞ではアルギニン刺激によるmTORC1活性化が低下したが、CASTOR1も同時に減少させると、mTORC1はアルギニンの有無にほとんど応答しなくなった(Fig. 5E)。この結果から、CASTOR1は細胞質側、SLC38A9はリソソーム側から、並列にアルギニン情報をmTORC1へ伝えると考えられた。


Fig. 5 CASTOR1はSLC38A9と並列にmTORC1のアルギニン応答を制御する


A CASTOR1またはCASTOR2を過剰発現すると、アミノ酸刺激によるmTORC1活性化が抑制された。 B shRNAによるCASTOR1ノックダウンにより、mTORC1はアルギニン欠乏に対して部分的に非感受性となった。 C CRISPR/Cas9によるCASTOR1減少でも、アルギニン欠乏時のmTORC1抑制が弱まった。 D CASTOR2を減少させると、アルギニン存在下でmTORC1活性がわずかに上昇した。 E SLC38A9欠損細胞でCASTOR1も減少させると、mTORC1はアルギニンの有無にほとんど応答しなくなった。

4.3 アルギニン結合能はCASTOR1のセンサー機能に必須である

 CASTOR1がアルギニンセンサーとして働くには、アルギニン結合能そのものが必要かを検証した。ACTドメインに対するアラニンスキャンにより、アルギニン結合を失うI280A変異体を同定した(Fig. 6A)。
 このI280A変異体はアルギニン存在下でもGATOR2から解離せず、恒常的に結合を維持した(Fig. 6B)。さらに、CASTOR1をノックダウンした細胞へ野生型CASTOR1を再導入するとアルギニン応答は回復したが、I280A変異体では回復せず、mTORC1はアルギニン存在下でも抑制されたままであった(Fig. 6C)。
 以上より、アルギニンがCASTOR1へ直接結合することは、CASTOR1–GATOR2複合体を解離させ、mTORC1のアルギニン応答を成立させるために必須であることが示された。


Fig. 6 CASTOR1のアルギニン結合能はmTORC1応答に必須である

A CASTOR1のI280A変異は、放射標識アルギニンへの結合を消失させた。  B I280A変異体はアルギニン存在下でもGATOR2から解離せず、恒常的に結合した。 C CASTOR1をノックダウンした細胞へ野生型CASTOR1を再導入するとアルギニン応答は回復したが、I280A変異体では回復しなかった。 D CASTOR1を介するアルギニン感知がGATOR2、GATOR1、Rag GTPaseを経てmTORC1へ伝達されるモデル。

5.結論:CASTOR1は細胞質アルギニンセンサーである

 本研究では、CASTOR1が細胞質アルギニンを直接感知し、その情報をGATOR2を介してmTORC1へ伝える分子であることを明らかにした。アルギニン欠乏時にはCASTOR1がGATOR2へ結合し、Rag経路を介したmTORC1活性化を抑制する。一方、アルギニンがCASTOR1へ結合すると、CASTOR1–GATOR2複合体は解離し、mTORC1の活性化が可能となる。
 CASTOR1を減少させるとアルギニン欠乏応答は弱まり、アルギニン結合能を失うI280A変異体ではGATOR2との結合が維持されたままとなり、mTORC1のアルギニン応答も失われた。したがって、CASTOR1へのアルギニン結合は、GATOR2との相互作用を切り替え、アルギニン充足状態をmTORC1経路へ伝えるために必須である。
 さらに、CASTOR1は細胞質側からアルギニン欠乏を伝え、SLC38A9はリソソーム側からアルギニン存在を伝えると考えられた。この二つの感知系は並列に働き、アルギニン状態をmTORC1へ統合する。CASTOR1の同定により、GATOR2はロイシンを感知するSestrin系とアルギニンを感知するCASTOR系が合流する栄養感知の中心点として位置づけられた。



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