ひととき家族だった「きな」のこと
我が家でお預かりして、13年前に素敵な里親さんの元に巣立った「きな」が
28日(日曜日)の夜に亡くなったと、翌月曜の午前中にご連絡をいただいた。
金曜から具合が急降下したとのことだったけれど、実はその週末、きなのことがふと頭に浮かんで、今年は会わなくちゃなんて思っていたところだった。もしかしたら虫の知らせだったのかもしれないなどと思ったりした。
2013年2月に、当時生後3か月程度だったきなはそっくりな姉妹犬と一緒に動物愛護センターに捕獲収容されたのだけれど、同胎の姉妹犬は別の預かり宅に行くことに。我が家にはきなと、やはり3姉妹でセンターにいた、同じくらいの月例の女の子1頭が来ることになった。春先だったこともあって当時のセンターには仔犬がわんさか収容されていたのだった。
*そのころ、千葉には「犬捨て場」として有名な海岸があるという話を何度も聞いた。実態はよく知らないけれど、「生まれちゃった仔犬」を段ボールに入れて置き去りにしていくのだという。*
フタリの仮の名前は「キナ」と「タバ」
きなりの毛色から「キナ」(カタカナ表記)。
タバは音が気に入って、大好きだった『奥様は魔女』のタバサちゃんから一部をもらった。

奥のキナリ色がキナ、手前のやんちゃ風がタバ。
駆虫が確認できたら晴れてリビングにデビューします。

子犬たちにタジタジのばんはソファに避難中
むーちゃんはタバを指導中
釈然としない気持ちもあるけれど、いつの時代も仔犬の人気は高い。当時は保健所や愛護センターにも子犬は定期的に収容されていたので、仔犬がいいという人が一定数いて下さるのはありがたくもあるけれど、一方で、成犬の譲渡は今よりもっと難しい時代だったと思う。
可愛かったキナはすぐに「家族になりたい」という人が複数現れた。それぞれからしつこいくらい(スミマセン)いろいろお話を伺ったりお願いしたりした上で、熱望されて小中学生の2人のお子さんのいるご家族に託すことになり、3月の終わりに巣立って行った。1か月のトライアルを経て改めて正式にご希望いただき、幸せな暮らしがスタートした。
…と思ったのだけれど。
その5か月後に「手放したい」というお申し出があって、キナは我が家に戻ってきた。返したい理由は、私にとっては全く理不尽なものだった。でも手放したいと言う人の元にいることがキナにとって幸せでないことは明らか。
そんな電話をいただいたのは真夜中近く。夫は「今すぐ迎えに行く」と憤っていたけれど、あまりに非常識な時間だったので、夜が明けるのをじりじり待って、二人で高速を飛ばして迎えに行ったのだった。今後のトラブル防止のために譲渡契約書一式も返していただいた。キナを返していただくまでハラハラしたことを思い出す。
キナには本当に申し訳ないことをした。私に人を見る目がなかったせいだと思っている。

帰ったばかりで緊張しているキナ。
びっくりするくらい太って戻ってきました。

先輩たちに「また一緒に暮らすよ」とご報告。
キナはまたすんなり我が家の生活に溶け込んでいたけど、キナが戻って3か月後の11月に、「ぜひウチに」と言って下さったのが現在の里親さん。先代犬を見送って数年。やっと「もう一度犬と暮らしたい」という気持ちになったという。預かりブログを熱心に読んでキナをご理解下さり、捨て仔犬を複数保護して譲渡に繋げたこともある隣県のご夫婦だった。
キナを見つける前から、次の子は「きなこ」という名前にしたいと思っていたというお母さんが、キナという名前にピンと来て私の預かりブログに来て下さるようになったのがきっかけだという。
キナは、カタカナ表記をひらがなに変えて「きな」に。
本当のご家族に繋がるまで遠回りさせてしまったけど、今度こそキナは幸せ間違いなしと思えるご縁だった。
それから13年。
SNSを通じて日常の様子を見せていただいているし、数年に1度くらいは会う機会があったけど、最後に会ったのは6年も前だった。当時の預かりっ子と一緒に参加していた譲渡会に会いに来てくれたときだ。

シニアの入り口と言われる年だったけど、仔犬のような可愛らしさ。
実は、我が家に寄ってくれた犬たちが元気なうちに、今年はみんなに会いたいなぁなんて思っていた。でもなんとなくいつでも会えるような気でいた。「暖かくなったら」「涼しくなったら」なんて言いながら、雑事を理由に具体的に行動しなかったことが悔やまれる。
訃報のご連絡をいただいて、きなに会いたいと思った。きなの身体がお空に還ってしまう前に会っておきたい。ホントに勝手な思いだけれど、ママさんに連絡すると「ぜひ会ってやって」とお返事を下さって、昨日会いに行ってきた。仕事をすっぽかして。
きなは、変わらない生成り色のふわふわの毛並みのまま、眠っているみたいに横たわっていた。きなより後に家族になったきょうだい犬のぴいちゃんは、きなに全く近寄らないそうで、犬それぞれだなぁと思う。我が家も、ばんは亡くなったむーちゃんの匂いを嗅いだり、側に座ったりしていたけど、カブもドラも近づこうとしなかった。
ママさんと、二人で鼻をぐすぐすさせながらひとしきり思い出話をして、闘病や最後の時のことを聞いたりして。名残惜しかったけれど、ドラのお散歩の心配もあったので慌ただしく帰宅した。会えてよかった。
ご家族と一緒に13年。私たちと一緒に暮らしたのはほんの数か月だし、私たちとの暮らしはきなの記憶の中に残っていないかもしれない。でもお互いの歴史が重なりあった時間が確かにあって、そしてそれは私たちにとって幸せな時間だった。
今日の午後、きなは神さまの元に還る。
きな、その時はお空を見上げて見送るよ。
私たちがあちらに行ったら、きっとまた会いましょう。
遠縁のおじさん、おばさんとして、笑って迎えてね。
きな、行ってらっしゃい。
