いのちの記憶
(2022.8.23にex.blogに書いたものです。失くしたくないので転載)
今日の日を忘れないために記します。
我が家の大事なむーちゃん。
犬たちのリーダーとして、みんなに一目置かれたむーちゃん。
今日のお昼過ぎに
神さまの元に還って行ってしまいました。

むーちゃんは頭蓋内に骨増殖があり
それが延髄の近く…という深いところで
そばには大事な神経の束がたくさんあるので
徐々に増殖した骨が神経を圧迫して
体に麻痺が現れるらしい…と言うことが分かったのが
昨年末だった。
手術はもともと考えていなかったけど
手術したくてもできない深いところの病変とのこと。
西洋医学的には、
ステロイドで炎症を抑えるというくらいしかやりようがなく
要は対症療法とも言えないような
効くかどうかわからないという治療しか選択肢がなくて。
どういう方法でか
どこまで増殖を抑えることができるのか、できないのか、という状況。
先生によれば
神経症状が出てきたら、いずれ嚥下も呼吸も出来なくなるかもしれないと。
苦しむかもしれない、とも。
私たちは
できるだけむーちゃんに負担のないやり方で
でも病院が大嫌いで過呼吸になるほどだったむーちゃんが
たくさん病院に行かなくてもいいようなやり方で
むーちゃんに寄り添いたいと思った。
「おかしいな、元気がないな」と思ったのが
昨年の春ごろ。
最初の症状と言えば、
左目だけをシバシバさせて、涙が出る…というくらい。

食事を変えたり、水はけをよくする漢方を使ったりしたら
それがよかったのかどうか、
わりとあっさり涙は出なくなったけど
それでもシバシバは残った。
夏には
「やっぱりどこかヘンだ」と気持ちがザワついたけど
オモテに出てくる数値は全然問題なし。
秋ごろに
右の前足側からずっこけたりするようになり
左側の側頭筋が、突然ごっそり落ち込んで
「むーちゃん、どうして左のこめかみが凹んでるの?」と
nappaが言うほど。

ジジ男は「老化かな」と言っていたし
信頼する先生からも「シニアになればよくあること」と言われたけど
私は違うという確信があって。
いろいろ症状を説明したけれど
でもやっぱり検査をしてもどこもおかしいところはなく
別の病院でも何度か診ていただいたけど
脈も体の反応も「大丈夫、心配ない。夏バテです」というもの。
でもそれは致し方なかった、と思う。
病気がわかったのは昨年末。
以前かかりつけで撮ったCTの画像から。
頭蓋骨の一部に、通常にはない盛り上がりがあったらしく。
画像を見せていただいた私にはよくわからなかったけど、
先天的なものの可能性もあるそうで。
頭蓋内の左側に病変があるせいで
右側に麻痺が出るのはセオリーらしい。
長い時間をかけて増殖してきたものか、
あるいはここ最近で大きくなってきたのか、
それは定期的にCTを撮って
経時的に見なければわからないと言われたけど
何度もCTなんて撮りたくないし
撮ったところでコレといって手立てがないなら意味がない。
むーちゃんに負担をかけるだけだもの。
病気がわかってから
むーちゃんの麻痺はゆるやかに進んだ。
それでもゴールデンウィークまでは
歩様はゆっくりになったし
直ぐに疲れて歩きたくなくなっちゃうこともあったけど
今までの生活を何一つ変えることなく過ごすことが出来た。


でもGWの初日、
朝はみんなと一緒に普通にお散歩に行ったのに
夕方には自立できなくなっていて。
私はたまたま仕事で不在。
ジジ男がずっとそばに居たけれど、
いつそうなったのかわからない、と。
でももしかしたら、発作のようなものがあったのかもしれないと思う。
自分では立てず、
もちろん歩くことも出来なくなった。
頭は左にグインと捻じれて
まっすぐ前を向くことも難しくなった。
私は何度
「もう一度、むーちゃんの頭を前に向けてください」って
神さまに頼んだことか。
そうすれば、むーちゃんはもっと楽に過ごせるのに、と。
それでも毎朝
みんなと一緒にカートでお散歩に行って
歩かなくちゃオシッコしないむーちゃんを
私と夫が交代でハーネスと手で支えて形だけでも歩かせて
排泄を促した。


歩いているように見えるけど、
実は吊って惰性で動かしているだけ、みたいな状態だった。
オシッコ活動は10分のこともあれば、1時間かかることもあったけど
ばんも、カブも、ドラも
みんなむーちゃんがオシッコのために足を動かしているのを見守って
そしてみんな一緒に家に帰る…というのが
朝の日課になった。
とても平和で、みんなで一緒にことを成し遂げるみたいな
ちょっと楽しく誇らしい時間でもあった。

暑くなる前は
夕方、私が連れ出すむーちゃんのオシッコ活動のために
カブが付き添ってくれて
盛夏は、パパの帰宅を待って
むーちゃんと3人で近くの公園に通うのがルーティン。
(パパが一人で早朝、むーちゃんを抱っこして近所の公園に行くことも)


そんなこんなの4か月、
私はこの毎日が長く続けばそれでいいと思っていた。
かかりつけの先生も
この子は内臓が丈夫だから、きっと介護は長くなるよと言っていたのに。
昨日から、むーちゃんがごはんを食べなくなった。
つい10日前までは
私が作ったお肉・魚・白米・野菜を煮たむーちゃん仕様のごはんを
朝昼夜と完食してくれていた。
それが、それ以降半分とか、3割とかしか食べなくなり
「口が開かないせいだ」と、始めは思った。

口が開かなくなったのも多分、神経症状の一つだろうけれども
がちがちに食いしばって開けるのも一苦労で
ごはんが終わるころには、私の左手の指が赤く腫れるくらい。
そして頑張って開けても5mm開くか開かないか。
スプーンにすこ~しだけ薄くペーストのごはんを載せて
「このペースでいつか終わるのかな?」と思うくらい何度も口に運ぶ。
それでも口に入れれば
もぐもぐごっくんと完食してくれていたので
全然苦にならなかったんだけれど
ついに口に入れても飲み込まなくなって。
思い立って、
一粒が割と大きめで薄い円盤状になったドライフードをあげてみたら
またもぐもぐ食べてくれたので
喜んで朝、昼、夜と
野菜スープでふやかしたドライフードを一粒ずつ口に入れる…
ということをしていたんだけれど
それも一昨日から飲み込まなくなってしまった。
試しにちゅーるとかもあげてみたけど
飲み込む気がない。
開けた口に放り込んだら、そのまま口の中に溜まるだけ。
もう食べたくないんだな、と思ったら
それ以上口に入れるのはイヤだった。
食べてほしいのはヤマヤマ、
だけど、それはむーちゃんの意思に反しているんだな、と。
お水もほとんど飲み込まなくなって
シリンジであげても、そのまま口からこぼれちゃったり。
ここで病院に駆け込んで栄養剤や点滴、
という選択肢もあるのかもしれないけど
私はむーちゃんに任せることがベストと思えた。
頭では否定したい気持ちだったけど
むーちゃんは旅立つ支度をしているんだ、ということを
うすうす感じていたから。
昨日の朝も、
今日の朝も、
いつもと変わらず朝のお散歩コースをみんなと一緒にカートで歩いて
もうこの2週間くらいは自力で排泄できなくなって圧迫排尿に頼っていたので、
ムリに歩かせず
むーちゃんとパパが芝生の上でゴロゴロのんびりしている間に
ばん、カブ、ドラと私はもう少し足を伸ばして朝の日課を済ませ
むーちゃんたちのところに戻って一緒に帰った。

一昨日も、昨日も今日も
3頭と少し歩いている間に
むーちゃんはうんちがたくさん出たとのこと。
私が作ったごはんを食べさせていた時は1日1回だったうんちを、
ドライフードを食べさせるようになってから
3回も4回もするようになり
やっぱりドライだとウンチが多いね、
全部ウンチになっちゃうんだね、なんて話していたけど
それも旅立つ準備だったのだろうな、と今は思う。
できるだけ身軽にしたかったのだ、と。
今日はもう、
ごはんをあげなくちゃととか、食べて欲しいとか考えられないほど
むーちゃんは少し荒い呼吸をしていて
胸郭を大きく膨らませたりしぼませたりしていた。
でも不思議と苦しそうではなくて
やっぱり私に「お別れが近いんだよ」と言っているような気がした。
午前中は仕事だったので
運よく午後から出勤のnappaにむーちゃんのそばに居てもらってお昼に帰宅。
ちゃっちゃとお昼ご飯を食べるあいだも
むーちゃんの胸が上下するのを見ていた。
ご飯を済ませてむーちゃんのそばに行って
そう言えば、オシッコが溜まっていたら苦しいかも、と思って
圧迫して出して
それから添い寝するようにして腕に抱くと
やっぱり呼吸は荒かったけど
やがて少し静かな呼吸になって
そして、今まで聞いたことのないような、
ちょっと大声で呼ぶような声をあげた。
私は「むーちゃん、むーちゃん!」と呼びながら
体をさすったりなんかしたけれど
その時、むーちゃんは逝ってしまったんだと思う。
実はいつ逝ってしまったのか
厳密にはその瞬間がわからなかった。
でもきっと最後のひと声は
「行くよ!」という声だったんじゃないかなと思う。
今思えば、
朝、パパが散歩に連れて行くために抱っこしたときも
同じ声を出した。
仕事に出かけるパパに、
「アタシ、今日行くよ」って言ったのかもしれない。
むーちゃんの頭を腕に抱きながら
「まだ鼻から息が出てる」なんて
生きていると思い込もうとしていたけど
その後、むーちゃんを抱き起したら
さっき圧迫してオシッコを出したばかりなのに
まだ残っていたのをたくさんベッドに出していて
やっぱり逝っちゃったんだ。と思った。
nappaと一緒に泣いて泣いて泣いて、
むーちゃん、パパが帰って来るまで待っててくれなくちゃダメじゃない、
とかなんとか声を張り上げながら泣いて
でもむーちゃんは逝ってしまった。
行くべき場所に。
nappaは
まだむーちゃんが元気だったころに、
「夜中に部屋のドアをカリカリしたのに、
眠くて入れてあげなくてごめんなさい」
なんて泣きながら謝っていた。
そんなこと、むーちゃんは気にしてないよ。
夜中にむーちゃんをお布団に入れてあげたことだっていっぱいあったじゃないか。
でも、そんな小さな一つ一つを
むーちゃんと一緒に過ごした出来事として
全部思い出して取っておきたい。
むーちゃんは特別な子。
ばんも、カブも、ドラも、みんな大事な大事なウチの子だけど
むーちゃんだけは特別扱いしてあげていいんじゃないかと思う。
むーちゃんは最初は一人っ子だったのに
その後次々とやってくる預かりっ子たちのことを受け入れて
そしていつも通りにむーちゃんらしく居てくれた。
きっと、誰よりも
一人っ子を満喫したいタイプだったに違いないのに。
そんな暮らしや、
突然我が家にやってくる預かりっ子たちを
どんなふうに見ていただろうか、と
前に一度ACを通して聞いたことがある。
他の記事に書いたことがあるから
それは繰り返さないけど
むーちゃんは理解してくれていた。
むーちゃんがあまりに愛しかったから他の犬も愛しくて、
だから犬の世界の裏側に目を向けることが出来たし
だから預かりボラをやろうとも思えた。
ばんも、カブも、ドラも、
むーちゃんがいたから出会えたし、ウチの子になったのだ。
むーちゃんが私を導いてくれたし、私のガイドであり師匠だった。
むーちゃんのために、そしてばん、カブ、ドラのために
そして医療費をかけられない保護中の犬たちのために
犬のごはんや、東洋医学や、マッサージや、あれやこれや学んだのに
でも、肝心のむーちゃんにどこまで生かすことが出来たのか。
難しい、聞いたこともないような病変が現れて
自分が何を学んだのか、
何のために学んだのか、
これからどうしたいのか、
全然わからなくなっちゃって
勉強することがかえって辛かったりした。
気持ちに余裕もなかったし。
自分のせいのような気がしたし。
でもやっぱり
知らずにいたら本質が見えず、
余計なことをいっぱいしてしまったかもしれないな、とも思う。
誰かのせいにして、
「治してもらえなかった」と思ったかもしれない。
むーちゃんは
自立できなくなってからごっそり筋肉が落ちて
驚くほど痩せちゃったけど
最後の数か月、大変お世話になった鍼灸の先生に
「手足も暖かいし、褥瘡もない。
寝たきりでこの皮膚と毛艶はびっくりです」
と言っていただいた、まだまだツヤツヤふわふわの毛並みのまま
今もまだ寝ているみたいに見えます。
お花と、氷を買ってこなくちゃ。

お腹が空くと冷蔵庫の扉をカリカリとひっかくむーちゃん。
ソファの背もたれ経由で
クレートの屋根に上るのが好きだったむーちゃん。
2階の窓から外を警備するむーちゃん。
ペットボトルをキャップごと齧るのが好きなむーちゃん。
お散歩で一緒に歩く子のウンチに付き合ってくれないむーちゃん。
片脚をあげてオシッコするポーズが
すごく可愛くてキマッてるむーちゃん。
売られた喧嘩は倍返しするむーちゃん。
アリンコとか小さい虫が嫌いなむーちゃん。
キャンプに行ってもアリンコに攻撃されないように
椅子の上にいるむーちゃん。
2歩でウンチを決める潔いむーちゃん。
子どもたちの友だちが家に来るとみんなと一緒に居たがって、
みんなの真ん中でちやほやされるのが大好きだったむーちゃん。
タイタイを弟のように可愛がっていたむーちゃん。
うっかり足を踏んだりすると、思いっきり被害者ヅラするむーちゃん。
病院の待合室で絶叫するむーちゃん。
お風呂も大嫌いで阿鼻叫喚するむーちゃん。
車が大好きで「車で行くよ」というと
嬉々として階段を下りてくるむーちゃん。
最後のお出かけになったhappaの結婚式で、
もう動かないはずの耳を動かしていたむーちゃん。
歩けないむーちゃんも
寝たきりのむーちゃんも
オシッコのために力の入らない足で頑張って歩くむーちゃんも、
どんなむーちゃんも大好きだよ!!
むーちゃん、ありがとう!
ウチの子でありがとう!
そばに居てくれてありがとう!
むーちゃんは私の宝でした。
宝の中の宝でした。
ううん、これからも、
未来永劫ずっとずっと宝の中の宝。
いつかまた会える。必ず。
