バカのてっぺんにもなれなかった話
高校生のころ、全国模試を受けた。
私は数学が嫌いだ。
いや、数学以前に算数の「つるかめ算」で、すでにヤツとは袂を分かっていた。
だからマークシートはすべて適当。潔く昼寝に充てた。たぶんよく寝た。
そして忘れたころに、結果が返ってきた。
マークシートだし、数点くらいはあるだろうと思って見たら——
0点だった。
煌々と輝く、まぶしいほどのゼロ。
人生初の0点である。
全国模試は科目ごとに全国順位が出る。
私は思った。
「これは、ワーストNo.1がとれているのでは?」と。
数学において″この瞬間″全国で1番のバカ。
人生で“1番”を取るのは至難の業だ。
それが、こんなにもお手軽に。
これはもう、最高のネタではないか。
そう思いながら順位表を見た。
……241/256位。
私の後ろに、数十人いる。
何度見ても順位は変わらない。
そして気がついた。
──あ、これ五十音順だ。
私の後ろに「ワタナベ」さんがいる限り、私は勝てないのだ。苗字を変えない限り、私はバカのてっぺんにはなれない。
気分は急降下である。
というか、全国に数十人も同じようなアホがいたのか。
他人事ながら心配になった。
と、同時に思った。
「こいつらがもうちょっと勉強してくれていれば…!」
「いや、せめて勘が当たっていれば…!」
私はあのとき、バカの頂点に立てたのに!
そんな理不尽な怒りを覚えた、あの秋。
このnoteを見ている人の中に、学生がいるかは分からないが模試で0点を取っても、何ら問題なく生きていける。
模試は大切だけど、自分を追い込みすぎないでほしい。
かつての学生は、そう願っている。
