ニートが初めて精神病棟に入院してみたレポ
みなさんいかがお過ごしですか?僕は精神病棟に入院していました!
歯も磨けない、食事もとれない、排便も出来ない、風呂も入れない。とにかく生活面であらゆることがまともに出来ない廃人状態になり、そのうえ毎日のように絶叫を繰り返すという異常事態が発生して日常が壊れまして、いや日常が壊れていて異常だから絶叫を繰り返したのか?卵が先か鶏が先か…。まあ何でもいいけど日常生活を送るのが困難になり精神病棟に入院する羽目に。羽目に、と言いながら実は昔から気になっていた場所でもあり、行ってみたら案外大丈夫…ではない!めちゃくちゃしんどかった!ので身体を張ってレポしましょう。と言いつつ一ヶ月弱で逃げて退院したんですけどね。
(ちなみに僕の病名は『持続性気分障がい』と『強迫性障がい』)
今回は膨大な文章量になりそうなので目次分けしておきます。好きなとこ読んでね。
入院時の絶望
四六時中頭が狂って「殺してくれ!」と絶叫し続ける僕に対し、母親は「大丈夫、絶対何とかする」 「何もしなくていい、入院すれば看護師さんが良くしてくれる、助けてくれるから一旦休めばいい」と繰り返し励ましながら手続きしてくれました。さて、実際病院に行って一旦休んで楽になることは叶ったのか?いやー現実は厳しいね!
まず「説明もお母さんがするから心配しなくていい」と言われてたんですが、実際病院で先生(僕より歳は一つ若い男性)に診察してもらったところ案の定「自分の言葉で説明してほしい」の一言。さらに「ひとつひとつのエピソードより時系列を重視してる」と言われ、まったく冷静じゃない脳みそをフル回転し発狂する精神を抑えつけながら、これまでの忘れたいクソみたいな人生を子供の頃から現在に至るまで恥部を曝け出して初対面の先生に話すことに。トホホ〜!そりゃないぜ!
先生は非常にクールで「入院で休みに来たって仰ってますが、介護するわけじゃない、治療をサポートするだけなので基本的には自分のことは自分でやっていただきます。そこを履き違えると入院生活辛いですよ。貴方の病気は治ろうとする気持ちが強い人は治る。逆に病気に振り回されたい気持ちが強い人は治らない。一週間で逃げて退院する人もいます。」と恐ろしい説明をされ、入院の同意書を書くことに…嫌でも入院するしか選択肢なかったからね、仕方ないね…。
で、まずは病院内を案内されるんだけど、ホールに並んで座っている老人と障がい者の集団が興味深そうに一斉にこちらを凝視する。こ、これから私どうなっちゃうの〜!?
男性看護師に一通りホールやトイレを案内されて「何か質問はありますか?」って訊かれて真っ先に訊いたのは「自慰行為って禁止ですか?」です。自分でもアレだと思うけど大事だからね。結果的には「禁止じゃないけど公の場でするのは注意させてもらうから、隠れて自室でしてね」ってことでした。当たり前体操。(しかしこの当たり前が後々本気で辛くなってくる…。)
案内が終わると荷物を出して棚に置き、個室の病室に放置される。
な、何していいのかわからん!
とりあえず窓のチェックをしてみる。大きな木と病棟しか見えない景色。「お、開くじゃん」と一瞬期待させて、ほんのわずかにしか開かない細工が施された窓。もちろん飛び降り防止でしょう。
とにかく自殺防止のため病院内は「紐(コード)」が禁止!よってナースコールなんてものはない!用があれば直接ナース詰め所へ行け!「鬱で動けない」?知らん!這ってでも行け!という状態。絶望。
そしてこの酷暑に関係なく部屋はやたら寒い。温度を上げるにもリモコンが無い。部屋の温度を1度上げるにも微妙に距離がある看護師詰め所に行ってパネル的なものを操作してもらわなければならなかった。(動け、動け、動けよぉ!)と碇シンジになって身体と精神に鞭打って看護師詰め所にようやく行ったら丁度看護師がいなかったりする。拷問かよ。後から知ったがごそっと看護師が辞めた直後らしく、少ない人数で忙しくしていらっしゃるとのこと。そのうえ患者だけは次から次へと溢れるほど入院させてるからまともに回らない。ブラックだね!
夕食に呼ばれホールで老人に囲まれながらの食事が始まる。隣の老人が食事中に歯を磨き出す。「あ、あの〜、僕は潔癖の病気で、やめてもらってもいいですか?」と勇気を出して言ってみるも「人は皆、欠点あるから潔癖でも気にしなくていいよ」と励まされる。違う、そうじゃないんだ!そういうことじゃなくて!
そしてお爺さん同士が「人のジョア(飲み物)を取るな!」と喧嘩し始める。隣の若者が空気を読んで黙って席を離れる。落ち着いて食事なんかできない。そのうえ安全面の規制なのか知らんけど食器がお子様用のプラスチックみたいな食器でとにかく食い辛い。半分以上残して提げようとすると真正面のお爺さんが「待ってたら看護師が持っていくから放っといたらええ!それが向こうの仕事や!」とありがたいアドバイス。そのお爺さんは看護師に「お〜い、お茶!」と商品名のように連呼して、コテコテの関西弁で喋る女性看護師に「どんだけお茶飲むねん」と嫌味を言われていた。
ぐったりと疲れ、部屋に戻ってとりあえず途方に暮れる。そうしてる間に9時になり消灯。孤独な部屋に赤々と豆電球が灯る。別室から叫び声が聞こえる。怖い、怖い。これからの生活に対する不安、この状況に追い込んだ過去への後悔、そういった病みの感情に押し潰されている中で急にドアが開く音がする。ギョッとして見ると知らない老人が侵入してこようとしているではないか。看護師詰め所へ焦って走って報告しに行く。どうやら認知症の老人が入ってくるのはよくあることらしい。ここでは「知らない老人が部屋に入ってくること」は「『普通』の『日常』」なのだ。
本気で息を止めて死のうかと思った。そんなこと実際にはできないけど。ちなみに精神病棟ではビニール袋の持ち込みは禁止だ。被って自殺しようとする人がいるから、売店でも穴の空いたビニール袋で販売されている。
完全におかしくなって、虚ろな状態で詰め所へ行く。若い女性看護師に「どうされましたか?」と尋ねられる。「死にたいんです」と応える。「なぜ死にたいんですか?」と再度尋ねられる。病室にいると過去の嫌なことを思い出したり、性的な悩みが頭に渦巻いたことを正直に伝える。若い女性看護師は優しく励まし「一度横になってみてください」と睡眠薬デエビゴを出してくれた。「吐き気が止まらないんです」と伝えるとゲロ吐く専用の器(名前忘れた)も貸してくれた。
優しく励ましてくれた若い女性看護師に救われ、もう告白しようかと思うほど精神はバグっていたけど、何とか睡眠薬デエビゴの効果で眠りについた。しかし、デエビゴは副作用に『悪夢』がある。その夜、僕は若い女性看護師が主治医と裏で付き合っていて、二人で僕をバカにしているNTRかBSSのような悪夢を見て、冷や汗をぐっしょりかいた。
翌朝、母親がコテコテの関西弁で喋る女性看護師に連れられ、面会に来た。面会時間は15分しかない。女性看護師が「お母さんに明日お菓子持ってきてもらおうと話しててんけど」と呑気な話題を持ちかけるも僕はブチギレた。僕は母親に「話が違う!看護師は何もしてくれない!辛いだけで休めない!」と大声で発狂した。そんな僕を女性看護師が「そんな大声出すなら面会やめさせるよ!」と怒鳴りつけ、面会は終了した。
廊下に貼られた掲示物を見ていく。とにかく「傷付けられた、虐待されたと思ったら専門機関に通報しましょう」という内容の掲示物が多かった。それらを読み込みながら(あれはここに書かれている『ネグレクト』じゃないのか?『心理的に傷付ける言い回し』じゃないのか?)とネガティブな方向に影響されて看護師に対する怒りと恐怖が強くなっていった。
鍵のかかった保護室があった。貼り紙がしてあり「入る時は必ず『二人以上』で!!」と書いてあった。一体どんな危険な患者が入院しているのだろう。
極度のストレスで身体には異常が出始めていた。貧乏ゆすりが止まらなくなり歩けない、唇がぷつぷつと細かく開いて上手く閉じれない、字が書けない、言葉が出ない等。みるみる症状は悪化していき、高熱が出た。
特に酷かったのが歩行困難で、足がすくんで動けなかったり、歩き方を忘れて右手と右足が同時に出たりした。足を引き摺って血豆ができ、看護師に「足引き摺ってるね、大丈夫?」と言われると暗示がかかり、余計に症状がひどくなり、ついには全く歩けず車椅子に乗せられた。
「自分でトイレに行けない」と看護師に訴えると、看護師は「オムツかポータブルトイレ使う?嫌やろ?」と冷徹に言い放つ。「自分ではもう動けない」という泣き言さえ、「自分で動いて詰め所へ行かないと」聞いてもらえなかった。
一週間経たないうち、いや、一日でもう僕は退院を決めていた。そして主治医の先生と衝突することに。
先生は頭が良く(医者だから当たり前か)、正論でズバズバ言ってくる理詰めの人、というのがこの時点での印象だった。限界だから退院したい旨を伝えると「やめてどうするの?じゃあ何で入院したの?一人暮らししたいって言ってなかった?このままだと一年後元の生活に戻って一人暮らしできてない未来が見えるけど?ここにいればケースワーカーもいるし今後の可能性が広がるよ?別に説得してるわけじゃないよ、冷たい言い方に聞こえるかもしれないけど『貴方の人生』だから。やめるなら僕も貴方のこと考えるのやめるし。」って感じで、劣等感や今後の不安を滅多突きされてしまった。もう死ぬかと思った。先生は「説得はしてない」と言っていたけど、現状に希望がない人間にとって「どっちでもいいよ、勝手にすればいいよ、どうなっても知らないけどね」という姿勢で突き放されるのは何より効く。本当に頭が良い。それでも僕は意地で退院の旨を伝えて一度はそういう結論で着地した。
この精神病棟を出られる、という結論は途端に心を軽くした。汚れてたトイレも綺麗になってたし、お爺さんに「黒い髪が綺麗だね」って口説いてんのかってくらい褒められた、看護師も急に優しく見えてきた。僕は浮かれていた。しかしもう一度先生から呼び出され、行くと母親が居て「もうちょっと入院してみない?」と言った。再び話し合いが始まった。
先生によると、三週間は「適応期」と言って、どんな人でも環境に慣れるまでの時間があり、僕が泣き言言い出すのも予定調和らしい。理想で言えば三ヶ月、最低一ヶ月は入院しないと退院へのGOサインは出せないということだった。強制して退院させないことはルール上できないらしいが、先生と親に退院の許可をもらうのは至難の業だった。
先生に病状を話すうち『NEEDY GIRL OVERDOSE(ニディガ)』の話を出した。ゲームの説明をしていると、先生の口から『CLANNAD(クラナド)』の話題が出て、一気に距離が縮まった。先生はゲーマーらしい、そしてSNSはFacebookを放置してるのみで、それ以外やったこともないらしい。ゲームの話をしてるうちに絆されてきて、先生への好感度がアップした結果「できないことをどうすればできるか考えていきましょう」ということで、気付いたら入院が継続していた。僕は悟った。【最低一ヶ月はこの精神病棟で生き抜くしかないのだ】と。
過酷な環境
うんこまみれ
冷静になると周りが見えてくる。看護師長は「別にここは収容所じゃないからね」とフォローした。しかし、ある看護師は「刑務所の方がマシかもね、ここみたいにうんこまみれじゃないだろうし」と言った。
そう、とにかく猫も杓子もうんこまみれ。隅から隅までうんこまみれ。人も部屋もうんこついてないところがない。ベッドにも床にも椅子にもうんこ付いてる。うんこうんこうんこ。
何でそうなるかって言うと、認知症でオムツしてる老人が圧倒的に多い。トイレに行ったとしても車椅子に乗った認知症の老人なので、そこら中びしゃびしゃにうんこ飛ばして流しもしない。服にもうんこ付いてます。その状態でそこらウロウロします。オムツの中にしてたとしてもめっちゃ臭います。食事中もめっちゃ臭います。定期的に一斉オムツ交換があるのでホールにうんこの激臭が充満します。これが俗に言う『臭い飯』かー!ってなります。
一回共同浴場に入ってきた老人から激臭がして「!?」ってなって、看護師に伝えるも鼻が慣れきった看護師は「臭い…?」みたいな反応、で、老人が脱いだら案の定うんこまみれでそのままシャワータイムが隣で始まった時は半狂乱で泣き叫びましたマジで。
トイレもウォシュレットがないので自分もうんこ残ってる感じでずっと気持ち悪かったです。石鹸も切れてる。僕は何回か書いてるけど強迫性障害の不潔恐怖(極度の潔癖みたいな感じ)なのでもちろん耐え難い苦痛でした。それでも適応せざるを得なかった。だってそれが当たり前の環境で誰も僕のわがまま聞いてくれるわけじゃないから。いや、看護師に言えばトイレ拭いたりはしてくれるし、風呂も気を使って老人と被らないようにしてくれたりはあるんだけど、自分で拭いてねって感じでウェットシート渡されたりね。汚いトイレに行くのが嫌すぎて我慢してるうちに便秘になり、大量のガチガチうんこが出てケツから血が出るわトイレ詰まるわで大変なことに。トイレをうんこで詰まらせて看護師に処理してもらったことが情けなくて恥ずかしくてショックで、先生と看護師の前で「僕には集団生活はできません!」って泣き崩れるという醜態晒したのもいい思い出です。
ほんと、何回看護師に「うんこが…」って言ったかわかりません、一生分言いました。最終的にはいちいち報告する方が面倒臭くなって、トイレの汚れを自分で拭いたり流したりするようになった。人は変われる。人は壊れる。
面倒臭すぎるシステム(規則)
とにかく面倒臭い規則やシステムが多かったです!
まず始めに、認知症の老人に盗まれることがあるので持ち物には全部に名前を書く小学生スタイルです。そうしないと持ち込めません。お気に入りの服にも、もちろん本名をがっつりマジックで書きます、もうお外で着れないね!
ビニール袋・紐(コード)は禁止、メンヘラは隙あらば自殺しようとするからね。たとえしなくても禁止です。ズボンの紐もスニーカーの紐も抜いてください、親が持ってくる紙袋の短い紐でもダメです。ベルトも禁止。ビニールには穴を開けさせてもらいます。
先の尖った鉛筆禁止。ボールペンはいけた。おそらく主治医の許可が出たら鉛筆もセーフかな?爪切りとか鼻毛切りとか刃物類は詰め所預かりです。
15時のおやつタイム(決められている)も面倒臭い規則だらけ。
まずホールで食べましょう、喉詰めの発見が遅れるので!
喉詰めの原因になるお菓子はダメです!餅とか禁止!
消費期限が早いお菓子もやめてくださいね、生菓子禁止!
夏場に溶けるチョコレートは預かれません!禁止禁止!
量は小袋いっぱい分のみ!それ以上は不可!
結局食えるのは少量のスナック菓子かビスケット菓子になってきます。
禁止されると食べたくなってくるのが人情というもの。外出許可を先生に貰って書類を書いて、親同伴で下の階の売店(看護師に鍵を開けて貰わないと入れない)に行ってチョコレートを食べたりしました。もちろん穴あきのビニール袋に入れられてるし、下の階で門限16時を気にしながら時間内に買った時点で溶けてるチョコレートを必死になってパクパクパクパク!
まあ慣れてくると外出許可も降りるようになって、病棟の近所のファミマで『BAKE』を買って「ほら『炎天下でも溶けない』ってパッケージに書いてます!」と審査を突破し持ち込むという裏技を編み出したりしました。そこまでしてチョコレート食いたいか?と思われるかもしれませんが食いたくなります。とにかく退屈だからね、ホールで流れるテレビからは一日中食べ物の宣伝ばっかだし、とにかく外出許可を得て食うことしか考えられなくなった。実際外出許可降りた時は腹千切れるまで暴飲暴食しましたね。折角病棟で規則正しく適正量の食事習慣が守られているのに、それを破りたくなるのが人の業ってもんよ。
ラジオ体操の時間もありました。足がおかしくなってたせいでピョンピョンできないから、ラジオ体操第二が全然できなかった。というか第二って馴染みないし何かしっくりこないキモい動きばっかでやる気が起きなかったですね。
他には採血、尿検査、血圧測定、体重測定、ふくらはぎ測定などもありましたね。お通じや排尿回数なんかも毎朝聞かれます。
ちなみに体重はガリガリなので47キロくらい!
あとはシンプルに暇、退屈が辛い。作業療法の時間があってみんなアイロンビーズアートを一生懸命やってたけど、僕は環境にやられて集中力もやる気も出なくてやりませんでした。
本や漫画も借りられるんですけど、めちゃくちゃ汚いシミだらけだし、ページが破かれていたりします。吾妻ひでおの『うつうつひでお日記 DX』(角川文庫)を読んでたら「石原さとみは唇美人」って書いてるところが鉛筆で消されて「石原さとみは唇美人たらこ」って落書きされてました。 こんな誰に見せるでもない、まさに「便所の落書き」的な誹謗中傷久々に見たよ。
あとは音楽や映画のDVDも見れます。明らかにBSを録画した著作権ガバガバDVDですけど。
カラオケもあって、延々下手くそな患者が歌ってたり、モニターにはいつのかわからないFNS歌謡祭の映像が流れ続け、在りし日のSMAPが元気に踊っていました。
特に面倒臭かったのが用事があれば詰め所に行くシステム。洗剤使える場所がないのでコップひとつ洗ってもらうのも詰め所、トイレがうんこでびちゃびちゃなのを拭いてもらうのも詰め所、鬱でフラフラで頓服薬出してもらうのも詰め所、とにかく詰め所に行くのがめんどくさすぎる!行ってもタイミング悪いと嫌な看護師しかいなかったりする。逆に看護師が用事ある時は自室に入ってくるからそれも面倒臭い。
あと他にも面倒臭かったことは多々あって、古い病院なので部屋の前が雨漏りして工事が入ってうるさいとか、ウォーターサーバーが何回も壊れるから水分補給できないとか。
スマホの持ち込み禁止なので親との連絡は公衆電話なんだけど、音漏れ防止のパーテーションがガラ空きなのでプライバシーとかない。しかも思いの外テレカが爆速で減るからテレカ代が恐ろしいことに…。
お金については自己管理もできるんだけど、盗まれる可能性があるため引き出しに鍵かけて入れて鍵を腕に付けて生活する面倒臭いシステム。預けることもできるけど、管理代が一日150円だっけ?たけーよ!ということでお金は親が持ってくる時以外無しで生活してました。
とにかく細かいストレスがジャブのように効いてくる環境でしたね…。
ジェンダーとかルッキズムとか
ジェンダーとかルッキズムとかはほぼ古いままです。
お爺さんが女性看護師のおっぱいに腕が当たるようにしがみついてて「あんまり女性と絡まない方がいいですよー」と死んだ目うんざりした顔で言われてたりする。
他の女性看護師は「◯◯さん(お爺さん)胸太ももケツ尻触ってくるセクハラやばい」と言ってて男性看護師に「ケツと尻一緒や!」とツッコミを入れられている。
あと、自分が太っていることをやたら自虐ネタにする女性看護師がいて居た堪れなかった。なんか無理してる感あって笑いにくいし辛くなってくるんですよね。笑ってあげるのが優しさなのかもしれないけど。
全体的な環境で言えば、男性側に対する配慮も割とぞんざいな扱いというか。「ここから先は女性部屋なので男性侵入禁止」と立て札があるけど逆は設置されてない、とかね。
なんかうっすら前提として「女性にだけ配慮すればいいだろ」感があるんだけど、それすら徹底はしてないから女性側から見てもこれやばくね?って部分が多々あって非常に混乱する。
例えば部屋が足りてないからか女性患者部屋が男性エリアにもあったりする。なぜか男子トイレの前に女性も使える洗面台があったり、そんなことはおかまいなしにドア開けっ放しで認知症の老人がちんこ出してトイレしてるのも当たり前(多分みんな気付いてすらいない)。
特に衝撃を受けたのが入浴。入浴出来る日は男女でそれぞれ分けて決められているけど、結局女性エリアにある共同浴場しかないので、例の「男性侵入禁止」の立て札がどかされ共同浴場に入る。真ん前に女性部屋が見えてるのに裸になる。介護だから仕方ないんだけど、横で女性看護助手がお爺さんのちんこ洗ってるのにシャワー浴びる状況が最初(これなんてAV…?)って感じで正直興奮してました。まあそのうち慣れて普通に自分も横に女性がいても真っ裸でいることが普通になりましたが。ただ、慣れるまでに僕は一つ問題を起こしました。それはこの記事で後々語ります。
精神病棟の人々
認知症の老人達
深夜に響き渡る「俺を家から追い出すってことかー!」というお爺さんの怒号。どうやら家族による強制入院らしい。
「◯◯さん(老人)参戦!」
とカットイン演出でも出そうなところだ。
この病棟は本当に老人が多い。8割?9割?中でもとりわけ認知症の老人が圧倒的に多いと思われる。実際に認知症の老人達の奇行や暴言を目の当たりにすると本当に大変な病気だとわかった。マジで(親がなったらどうしよう…)って不安になった。
常にそこら中で奇行と暴言のオンパレード、平穏無事な日がない。
まず部屋に不法侵入してくるのは当たり前。何人も何人も色んな老人が勝手に部屋に入ってくる。いきなり来ておいて「どなた?」と尋ねてくる、こっちの台詞だ。ある時、勝手にベッドに寝転んで僕の漫画やノートを読んでいるってこともあった。プライバシーなんてどこにもない。まあ読んだところで内容理解してるとは思えないけど。
その他には
いきなりオムツを見せてくる爺さん。
廊下でハイハイする爺さん。
自分で倒れて「起こしてくれ〜」と叫ぶ爺さん。
コケたのか内出血で顔がドえらい紫色になっている爺さん。
病室のドアをガンガン叩き続ける爺さん。
「あああああああ!!!!!!!」と絶叫し続ける奇声婆さん。
看護師の女性にファイティングポーズを取り「年寄りメガトンパンチ」を繰り出す暴力爺さん。
どこにでも安心毛布を引き連れ徘徊する『PEANUTS』のライナス爺さん。(流石に藤和エリオのように簀巻きにはならなかったが。)
目を合わせれば「あなたは殺人犯よ!」と言いがかりをつけ呪詛を吐き続ける婆さん。
僕が食事の席取り時に置いてたウェットシートを「私には配られてない!」と盗ろうとしてくる勘違い婆さん。
滝のようによだれを「だらーっ」と垂らす婆さん。
食事もまともにできねえ。自室に居ても安心できねえから入ってこないように鍵をかける。ホールに跋扈しいつの間にか増殖していく老人達。まるでゾンビもの映画の世界に迷い込んだような緊張感の中で過ごしました。
あと老人の仕業かどうかはわかんないけど、掃除のおばちゃんへの嫌がらせでトイレをわざと詰める奇行もあった。掃除のおばちゃんいわく、「うんこと紙のミルフィーユ」状態らしい。
その他の患者達
認知症の老人達以外にも様々な老人がいます。
まず優しいお爺さん。「一人で閉じこもってないで積極的に周りに話しかけたりするといいよ。色んな人を観察したらいい。」とアドバイスをくれます。とてもいい話をしてくれます。そしてこのアドバイスがNPC会話のように永遠にループします。あとめちゃくちゃいいこと言ってそうだけど声量が無くて聞き取れない部分が多々あるので適当に返事してました。というか入院中色んな人に話しかけられたけど、聞き取れないことが異常に多かったので僕の耳が悪い可能性もありますね。でも声小さい人は多かったと思う。しょっちゅう適当に返事してた。
同室のお爺さんは老人ながらしっかりした方で、それだけでも相当救われました。ただ結構消極的な方でもあり、認知症の老人を見ながら「ああなったら終わりやな…」と言ったり「入院って言ったって何か治療してくれるわけでもないし…」とぼやいたりしてました。まあごもっともなんですけどね。
「私は何の病気でもないのにいきなり連れてこられた」と言い張るお婆さんがいたんですけど、なかなか外出許可も降りない様子で、まあ本人に自覚は無いけど問題あるんでしょうね。かなりのおせっかいで、看護師がするべきお茶配りや車椅子の移動を我先にとやって回っては注意され「アホちゃうか」と逆ギレしていました。僕に対しても「あなた何の病気?潔癖?潔癖なんて病気じゃないわよ!」みたいな感じでズケズケ言ってくる。あと宗教勧めてきます。
老人以外も少数ながらいます。
大学生男子と意気投合し、アニメやお笑いの話をしました。一緒にカラオケで『シュガーソングとビターステップ』歌ったり。僕が入院する候補だった別の病院に入院したこともあるらしく、その病院ではベッドに拘束されるのが常でストレスで海の主の幻覚見たという話を聞かせてくれました。いやー若いのに大変な経験してますね。しかしそうやって仲良くなった人はすぐに退院してしまって話し相手がいなくなるので寂しかったですね。
あと、かなり苦労させられたのが他人にだる絡みしまくる男性です。腰が悪いらしくゴリラのように腰を丸めた前傾姿勢で近づいてきては、空気を読まずに腕を掴んで付きまとい、こぼれ落ちそうなギョロ目でガン見してきて、よだれをだらーっと垂らしながら好き放題喋りまくる、しかもめちゃくちゃ滑舌が悪くて何言ってるかあんまり聞き取れない。聞き返したら「だから〜※▲◯‰って言うてるやん!!!!」とヒステリーを起こしブチ切れてくる。
辛うじて聞き取れた情報を要約すると「前の病院では同室の人を殴って退院が延びた」「週刊少年ジャンプを盗んだことがある」らしいです。まあ世話焼きだし根は悪い人ではなかったけどね。ただ、他人にだる絡みして僕以外からも相当数苦情が来てて、人殴ったり盗みを働くだけで根は悪い人ではないよ、うん。
あと、他には見た目がコワモテなのにボソボソと喋る挙動不審な若い男の子がいました。よく廊下やホールで一人でナルトみたいに印を結んだり、ニヤニヤしたり、架空の誰かとストリートファイターみたいに戦ってたり、奇行を繰り返してましたね。そういう類の奇行は僕は中学で卒業したぞ!なんか人との距離感がおかしいというか、僕が一回「大丈夫ですか?」と安易に話しかけちゃったんですけど、そこから謎のハイタッチを試みて手を出してきたり、いきなり勝手に僕の部屋に入ってきて「大丈夫ですか?」と僕をコピーしたような言い方で話しかけてくる。こっちの台詞だ(二回目)。「お前が大丈夫か!」って言いそうになりました。だけど特別な才能があるのか絵がめっちゃ上手かったです。正直それには嫉妬しました。
女性陣も個性的でしたね。
おびただしい数のリスカ跡をポリポリ掻いてる少女。
「やめて顔殴らないで」「お金ちょーだい」と架空の誰かに話続ける女性。(この人が深夜消灯後のホールにいるのでめっちゃ怖い)
中でも衝撃だったのはパッと見若くて優しそうな女の子。いや、実際若くて優しい女の子ではあったんですが…。
(お、あの娘いい感じじゃ〜ん!おじさん話しかけちゃおっカナ?)という軽めのテンションで話しかけてみると「私は保護室から出てきたばかりで、韓国からの留学生で、ADHDで、宗教二世で、親から虐待されてて、幻覚見るほどアル中で、発狂してここに連れてこられたけど、警察と色々揉めたので退院したら警察相手に訴訟します!(^^)」(満面の笑み)
といった感じで矢継ぎ早にカタコト早口で喋られて「情報が多いし一発一発が重い!!!!」ってなりました。もう「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」の域だよ。でも情報に殴られて脳汁ドパドパ出たのもまた事実。
で、その娘の後ろから、付きまとい男性がギョロ目を限界まで見開いて口開けながら凝視してきてめっちゃホラーでした。夢に出るわマジで。
ちなみにこの娘は「退院したら皆で食事会しましょう!」って連絡先くれました。いつか電話かけてみるか…?
看護師達
看護師についても語っておきましょうか。
一人、タメ口でふてぶてしい態度の若い男性看護師がいたんですけど、老人の尻をバシバシ叩いたり、寝転がってる老人を足で転がしたりしてて(うわぁ、見てはいけないものを見てしまった…)という気分になりましたね。
あと、廊下にはみ出して寝てる認知症の老人がいて、危ないから報告したら、コテコテの関西弁で喋る女性看護師が「またいで行ってー!」と言って笑っていたり。その女性看護師が老人に対して「『◯◯してくれ』ちゃうやろ、『◯◯してください』やろ!」と怒鳴ったりするので(それはどうなんだ…)と思いました。
この二人のことは流石に見てられなくなって看護師長に告発しましたね。小学生の頃『チクリ魔』と言われた僕の本領発揮です。その後しっかり指導されたそうです。
「障がい者虐待だと思われたら外部機関に通報してください」って掲示物がやたらあったりするんですけど、実際難しいですね。
公衆電話はナース詰め所の真ん前だし、音漏れを防ぐパーテーションもガラ空きで意味を成してないし、しかもテレカ代自腹ですからね。(この状況で通報できねえだろ…)ってなる。
まあでも殆どの看護師は優しかったと思います。中にはそういう人もいるよねって話。実際問題あそこで認知症の老人達相手にしてたら優しくいるのも難しいとは思うよ…。
自分自身について
セクハラ騒動
さて、人のことばっか書いてるけど自分はどうなんだって言えば、実はこの入院生活の中で一つのセクハラ騒動を起こしてしまいました。不安定な精神状態、精神病棟特有の緩いジェンダー感、性的興奮が抑えきれず僕は一度、自室で隠れて自慰行為に及びます。しかし自室にも看護師や先生が用事で来まくるし、他の患者が侵入してくるし、そもそも途中でお爺さんと二人部屋になったし、そうなるともう自慰行為なんてできません。半強制オナ禁状態。
そんな時に若い優しい女性看護師が心電図検査に来ました。「なんちゃらかんちゃら〜黒乳首☆」(そういう覚え方らしい)、とか何とか言いながら僕の乳首に触れ電極を貼り付ける。そうすると心臓がバクバクしてきて「あれ?ドキドキされてます…?」と不思議そうに尋ねられる。勃起もしてきて恥ずかしくなって「すいません性欲かもしれないです…」と正直に謝ってしまいました。すると「若いんだから仕方ないですよ〜お家では『発散』されてたんですか?」と尋ねられ「実は入院中『発散』してしまってゴミ箱の臭いが迷惑じゃないかと…」「他の人のうんこの臭いの方が臭いから大丈夫ですよ」と応えられる。そんな感じで下ネタ会話をしました。そんな流れで知ったけど介護でも性処理は流石にやったことないらしいよ。
そんな緩い空気で安心したような不安になったような、微妙な精神状態でつい男性看護師にその話を打ち開けてしまいます。すると男性看護師は焦って「それはやめましょう、今後そういうことがないように男性看護師で対応させてもらいます」とお叱りを受けることに。
その後自主的に女性看護師にその話をして謝罪すると「別に言わなくてもいいのにw」と笑っていました。「私は全然気にしてないのでまた話しましょう!それよりもヒゲ(ボーボーだった)が気になるので、剃ったほうが素敵になると思いますよ♡」と言われました。(というか多分本音では「細けぇこたぁいいからその汚いヒゲさっさと剃れよ…」という意味だろうなって圧を感じた)
ちなみに今回はギリギリセーフだったけど、僕の年齢でアウトだった場合は強制退院になってたそうです。「精神病棟強制退院」は流石にパンチラインすぎるだろ。居場所の無さがレベチすぎます。
というか「貴方の年齢で」ってのは老人だとセーフってことでしょうか?精神病棟は問題行動取ると強制退院になったり、逆に入院延びて退院できなくなったり、保護室入れられたり、結局これもうわかんねぇな!モラルの置き場がわかんない。
そんなセクハラ騒動でした。
そして退院へ…
過酷な病棟生活だったけど、まあなんだかんだで確かに慣れます。そして慣れた頃には完全に飽きる。
あ、そういえば暇すぎて作業療法のクロワッサン作りも参加しました。僕以外おばさんやお婆さんしかいなかったけど。めちゃくちゃ美味くて料理に興味出た。
入院中、多数のストレスを乗り越えました。デエビゴの副作用で目玉が取れる悪夢も見た、大きな蜘蛛が大きなムカデを食らう悪夢も見た。
糸ようじが何故か取り上げられてて歯槽膿漏になって歯茎が腫れ上がった。
オナ禁状態が続いて夢精もした。
幻聴もあった。男の声だと看護師に伝えるとカルテに「幻聴(+)」と書かれた。男の声だと(+)なのかと始めて知った。今後使わない知識だけど。
先生は「ここで耐えられたらどこでも耐えられる」と言っていたと思う。
実際逞しくはなった。うんこに前ほど動じなくなったし。
僕の病気(強迫性障がい)の場合、もっと自分ルールを持ち込んでわがまま言う人が多いらしく、「同じ病気の中で良くやってくれている、尊敬する」とまで先生や看護師に言われた。ほんとかよって感じだけど。「病院に来た直後とは全然違う」と言われ「そんなに酷かったですか僕…w」と苦笑した。
苦しみばっか書いたけど、正直最後は残りたくなっていた部分もあります。退院するか悩んだ。結局ストレスを総合的に判断して退院するって結論にはなったけど。
人についても結構悪意を滲ませて書いた部分もあるけど、病棟の患者さんたちに退院を伝えると「おめでとうございます!」と皆でお見送りされたりもしました。(まあ皆暇でイベントがないからね…)だから読んだ人はこの記事に書いてあることを額面通りに受け取らないでね。まあリアルの人間には色々な面があるってよくわかりましたね。この記事も書くか少し悩んだけど、善意だけではリアルなレポートなんて絶対できないし、できるだけ見たもの感じたことをそのまま書いたつもりです。人と違う体験をして見たこと感じたことを表現に落とし込んで発表するのって覚悟が必要だなと改めて思います。病棟の掲示物の中に「SNSに投稿するな」って書いてたし怖いよ本当は。
あと、思うのは才能について。僕は『中島らも』『吾妻ひでお』『永田カビ』といった人達のアルコール中毒者の入院レポを読んできて、似たようなことをやりたいと思ってましたが、やっぱ特別な才能がないとあんなことできませんね。献立レビューとかも不得意だし、検査の細かい記憶ないし、絵も描けないし。
「ストレス自体はなくなるわけじゃない、小さくなるだけ」と先生に説明されていたけど、まあその通りですね。退院後の帰り道に速攻うーうー唸って不穏症状が出ていたし。まあでも絶叫するまではいかなかったし、無事帰れましたけど。三ヶ月入院してないしね。
というわけで現状も不安定ではあります。ただそれでも、入院前よりスマホ見ても発狂しなくなってるし、効果は実感してます。不思議ですね、治療という治療されてない感じするけど。
そうこう言ってる間に歩行困難で血豆になってたところもカサブタになり剥がれて治った。僕はもう退院したし、日々は進んでいる。現実を見なきゃいけない。
病棟で散々先生にも一年後の話をされ「食べていけないでしょ?」と言われたので、今後の不安がこれまで以上に現実的になりましたね…。冗談抜きで一年後は餓死してるかも。
ま、一年後を憂いてもどうにもならないけどね。日々覚悟して生きていくしかない。そんなことを学んだ精神病棟入院生活レポでした。
終!
