歴史はつながっているー極楽征夷大将軍からの大奥からの蒲生邸事件
今回の年末は12月20日から1月4日の16日連休であった。特に正月三ヶ日をしっかり休んだのはアメリカに住んだ20年間で初めてだ。
さて、長い休みの中でしたことといえば、夫の母の家に飛行機で行って、そこで親戚一同が集まったこと、年末大掃除、紅白歌合戦と格付け番組を見たのと、たくさんの小説と漫画を読んだ。
今回たくさん読んだものの中で下記の3つがある。
極楽征夷大将軍 垣根涼介著
大奥 よしながふみ著 全19巻 一気読み
蒲生邸事件 宮部みゆき著
ちょっと前に読んだ絵島疑獄も含めて歴史が繋がっていると実感する。
極楽征夷大将軍は足利尊氏とその弟の直義がメインの話で、鎌倉幕府を終わらせて室町幕府を開いた尊氏と弟の話である。
大奥は足利尊氏から300年後の江戸幕府3代将軍家光と春日局の時代から始まり、15代将軍慶喜と江戸開城までの話である。7代将軍の家継時代に絵島事件が出てくるし、間部詮房と新井白石という名前が時々出てくる。これは絵島疑獄にもよく出てきた。絵島事件をきっかけに一斉追放をしたいと思った人たちのきっかけになったかもしれない人物たちである。以前に読んだ本で知った名前が時々出てくるので、こんな役職の誰それに嫌われていたあの人ね、なんて思い出しながら読んでいた。
蒲生邸事件は2.26事件に関連するSFである。2.26事件は1936年、昭和11年2月26日に東京永田町で起こった軍事クーデターである。その日は大量の雪が降ったというのも有名だ。
極楽征夷大将軍を読んで、まず初めに思ったことは、いつでもどこの地方でも戦さばっかりしているということだった。自分で開墾した土地を守るため、自分に与えられた土地を守るため、いろんな名目で常にあちこちで争いが起きていて、足利尊氏の言葉がある。負ける戦には一生懸命にならないで余力を残して逃げ、次の戦に備える。これを読んで思ったのは、この人たちにとって、戦さとは通常のもの、あって当たり前のもので、いうならば、私たちにとっての仕事みたいなものであるのではなかろうか。生きていくために戦うけど、そこそこ頑張って褒賞をもらえるように、または自分の土地を守れるように戦う。自分が死にそうになるまで戦わないようにする。そうはいっても戦争なので亡くなる人が多い。
そこで大奥の春日局の言葉につながってくるのだ。
春日局が、赤面疱瘡で亡くなった家光の代わりにと、唯一徳川将軍の血を引いた少女を将軍につけ、子供を産ませ次の徳川の将軍をつづけさせようとした。それは彼女曰く、太平の世のため、だと言い切った。彼女自身の家族が戦国の世で亡くなった人も多いのだが、それだけではない。ざっと大まかに考えても1192年の鎌倉幕府が開いた時から室町時代へと続き、徳川家康が1603年に江戸幕府を開くまで、ずっと常に戦いが起こっていたわけで、それは何と400年以上になる。そう考えると争いのない平和な国へといった春日局の言葉にものすごく重みが出てくる。
そして蒲生邸事件につながる。江戸開城後、明治時代に移り西洋の文化が一気に入ってきて色んな人たちが政治に関わるようになり、大正から昭和に移り、貧しい人々の生活がいつまでたっても良くならない、政治政党の汚職に対する不信感、天皇に対する忠誠心といったものが、若い陸軍将校を行動に移らせ、結果、彼らは処分されることになる。事件後、軍の発言力が増し戦争へ進んだとされている。当時の彼らはそれが戦争へ向かっていく大きなきっかけになるとは誰も予想していなかったであろう。宮部みゆきさんの小説はフィクションなので歴史事実に主人公の青年を登場させた。彼が今まで知らなかった史実を目の当たりにしつつ、当時の人たちと知り合い、そして彼が大人へと成長していく様子に共感し、最後はちょっと泣いてしまった。
そして大奥の話へ戻る。江戸無血開城は日本国内で内乱を起こさなかったことにより、西洋諸国から付け入る隙を与えなかったこということで、戦争は起こらず、そのまま明治時代へ移行したとされている。
絵島疑獄を読んだ時にも思ったけど、歴史って本当に小さなすれ違いだとか、ちょっとした思い込みとか、しょうもない嫉妬とかからできているんだなってことだ。数百年前でも今でも人は人なのだから、特別高尚なことをしたから戦争が起こらなかったとかではない。人と人の相互理解だとか信頼関係がちょっとうまくいかなかっただけで、ほんの些細な出来事がきっかけに行きたくない未来へ舵を大きく切ってしまうことがあるのかもしれない。そういった意味では坂本龍馬とか勝海舟とか西郷隆盛とか、その江戸無血開城関連の人たちのコミュニケーションスキルと彼らの手腕に、本当に上手いことやったなって感心しますわね。
