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〔ショートショート〕おとぎ話診療所

私の診療所に、男が一人やって来た。
「どうしました?」
「背中に火傷して」
見てみると酷い火傷の上に味噌を塗ったらしく、思わず顔をしかめる。
「これは痛いでしょう。何がありました?」
男は悲しそうに説明する。
「友だちと山に行ったら、背中の荷物に火がついて……」
私はピンと来た。
「それで渡された薬は、唐辛子入りの味噌でしたか」
「そう!そうなんです!友だちだと思ってたのに、何で……」
今にも泣き出しそうな男に、私はゆっくりと告げる。
「因果応報ですね。友だちには何もしていなくても、見知らぬ老夫婦に酷いことをしたでしょう?その報いです」
「ど、どうしてそれを」
「残念ですが、この運命は変えられません。背中の薬は出しますが、それが治ったら……」
私の顔を見て、男は何かを察したようだ。ポンッと狸の姿に戻ると、静かに頭を下げて立ち去った。
「次の方どうぞ」
疲れた猿が入ってきた。
「命がけで鬼と戦って、団子しか貰えず……」
この診療所は今日も忙しい。
(完・410字)


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