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cheeky_orchid948
〔ショートショート〕聖なる酸
遂に出来た。これを飲めば、一定期間は誰もが聖なる心になって、私利私欲を捨て去る薬。酒でもジュースでも水でも溶ける錠剤で、シュワッと泡が出るがすぐに消えるし、味は変わらないからバレることもない。名付けて「サンタ酸」だ。
俺は長年かけて開発したこの薬を、政治家たちに飲ませることにした。あちこちでパーティーをしているから、給仕に化けて潜り込むのはたやすい。まずは、トップよりも陰で操る奴らをターゲットにする。一人や二人では何も変わらなかったが、聖者の数が増えると明らかに政治が変わった。
「この国も良くなった」
「ここで暮らせて誇らしいな」
そんな会話があちこちから聞こえるようになり、俺はひとりほくそ笑んだ。これこそが俺が求めていたことだから。
だが、やがて不満が芽生えた。この国を良くしたのは俺なのに、誰も俺の功績を知らない。誰も俺を褒め称えたり崇めたりしないなんて、こんなの不公平じゃないか?
膨らんでいく思いを誤魔化そうと、ある日サンタ酸を溶かしたビールを自分で飲んでみた。これで胸のつかえも取れて……って、あれ?体が焼け付くように熱い。指先や髪の先から、自分が溶けて行くのがわかる。何故だ?
俺は悟った。浄化しきれないほど、俺は承認欲求の塊になってしまって居たのだ。今の俺から私利私欲を取り除けば……もう何も残らなかった。
(完)
こんにちは。またまた字数オーバーです。申し訳ありませんが、こちらに参加させてください💦
田原さん、よろしくお願いいたします。
読んでくださった方、ありがとうございました。
