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未成年だけでホテルに泊まることは違法なのか? 答えはそんなに単純ではない。高校生の息子が彼女とのディズニー旅行で求めてきた「同意書へのサイン」を入口に、契約の問題、安全上のリスク、そして親が手を離す瞬間を考えてみる

ホテルに泊まるだけなのに、なぜ親はこんなに悩むのでしょう。


「ディズニーに行って、彼女とホテルに泊まる。だから、この同意書にサインして」


高校生の息子から、そんな紙を差し出されたらどうするか。


私なら、たぶん紙を見る前に息子の顔を見ます。いや、顔を見たら余計に何も言えなくなるので、最終的には紙を見るでしょう。親という生き物は、子どもの成長を喜びながら、その成長の証拠を目の前に出されると急に挙動がおかしくなるからです。


今回の報道で確認できるのは、高校生の息子さんが彼女とのディズニー旅行を計画し、ホテルに宿泊するため、母親に保護者の同意書への署名を求めたという相談です。


東京ディズニーリゾートの公式案内では、18歳未満だけでディズニーホテルに宿泊する場合、各未成年者について法定代理人の同意が必要とされています。15歳未満または中学生以下の場合には、法定代理人などの同行も必要です。


つまり、高校生でも17歳以下なら、親の同意が関係してくる。


ここまではホテルのルールです。


ところが、紙を1枚渡された瞬間、親の頭の中では別の問題が勝手に始まります。


「このサインって、どこまで同意したことになるの?」


みんな、気づいているでしょうか?


ここに、この話の妙な引っ掛かりがあります。


宿泊への同意と、宿泊先で何をするかへの同意は、同じ話ではありません。


民法上、成年年齢は18歳です。18歳未満の人が契約する場合、原則として法定代理人の同意が必要で、同意のない契約には未成年者取消権があります。


したがって、ホテル側が求めている同意書の中心にあるのは、未成年者だけで宿泊することについての保護者の承諾です。


「サインした親が、息子の交際内容まで法的に許可した」という話に、そのまま変換できるわけではありません。


ここは冷静に切り分けたほうがいい。


ただし、話がそこで終わらないのも事実です。


宿泊場所が千葉県内であれば、千葉県青少年健全育成条例も関係します。18歳未満を青少年と定義し、青少年に対する一定の性行為やわいせつ行為などについて規制を設けています。


だからといって、「高校生の男女が同じホテルに泊まっただけで犯罪になる」という意味ではありません。


宿泊した事実と、その場所で具体的に何が行われたか。その法的評価は別々に考える必要があります。


法律は、こういうところだけ妙に几帳面です。


「泊まりました」と「何をしました」の間に、ちゃんと境界線を引いてくる。


一方で、親の心はそんなに几帳面ではありません。


息子が彼女と旅行する。


ホテルに泊まる。


そのための同意書を書く。


たったこれだけの出来事なのに、親の頭の中では「まだ高校生」と「もう自分で判断する年齢」が正面衝突する。


しかも、息子さん本人からすれば、親に隠れて何かをするのではなく、同意書を持ってきて「ここにサインして」と頼んでいる。


これも妙な話です。


子ども扱いされたくない。


でも、最後の1枚には親の署名が必要。


大人への入口に立ちながら、ドアノブだけ親に握ってもらっている。


なんとも高校生らしい光景です。


そして母親側にも、簡単には答えの出ない事情があります。


「サインする=何でも認める」と考える必要はない。


逆に、「サインさえしなければ問題は消える」と考えるのも違う。


宿泊先の規約、同意書の内容、同行者、連絡先、帰宅予定などを確認し、自分が何に同意する書類なのかを理解してから判断する。


結局のところ、この問題はディズニーのホテルの話だけではありません。


親が子どもを、いつまでも「守られる側」として扱えるわけではない。


けれど、突然「もう大人だから」と放り出すこともできない。


その間にある、ものすごく居心地の悪い場所。


そこに、あの同意書が置かれている。


たぶん親がサインするのは、息子の未来を丸ごと許可するためではありません。


「あなたが大きくなっていくことを、私はもう見ないふりはできない」


そう認めるためなのかもしれない。


紙に書かれているのは、宿泊への同意。


けれど、その紙を前にして親が向き合っているのは、もっと厄介なものです。


昨日まで手を引いていた子どもが、今日は自分で旅行を計画して、彼女を連れてホテルへ行こうとしている。


そして親は、その背中を見ながら、少しだけ困った顔でペンを持つ。


子どもの成長というのは、もっと感動的な場面で来るものだと思っていました。


実際には、こういう妙に現実的な書類の前で、突然やって来る。


そして親はたぶん、その瞬間に気づくのです。


子どもが大人になるということは、親が「何も心配しなくなる」ことではない。


心配したまま、少しずつ手を離していくことなのだ、と。


参考情報:「ディズニーで彼女とホテルに泊まる」 高校生息子に「同意書へサインして」と言われた母親の悩み、未成年だけの宿泊リスクは?(弁護士ドットコムニュース)

掲載:Yahoo!ニュース


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