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「頑張ってね」が言えなくなった日

高校生の頃、
陸上部の友達がいました。

ある日の放課後。
部活へ向かう友達に、私は何気なく声をかけました。
「頑張ってね」

すると、その友達は少し困ったような顔で言いました。
「もう頑張ってるよ」

その一言に、私はハッとしました。

その友達は、
朝から授業を受け、

放課後は毎日厳しい練習をしていました。
誰よりも汗を流し、
誰よりも努力していた。

そんな人に向かって、
私はさらに「頑張って」と言っていたのです。

もちろん、応援する気持ちでした。
でも、その時初めて気づきました。

頑張っている人にとって、
「頑張って」という言葉が、
時には重く聞こえることもあるのだと。

それ以来、
私は「頑張ってね」という言葉を、
以前ほど気軽には使わなくなりました。

代わりに、
「応援してるよ」
「無理しないでね」
「いつもお疲れさま」

そんな言葉を選ぶようになりました。

人は見えないところで、
それぞれ頑張っています。

仕事を頑張っている人。
子育てを頑張っている人。
病気と向き合っている人。

毎日を過ごすだけで精一杯の人。
外からは分からなくても、
みんな何かを抱えながら生きています。

だからこそ、
必要なのは、
もっと頑張ることを求める言葉ではなく、
「もう十分頑張っているね」

そんな言葉なのかもしれません。

あの日、
友達が返してくれた
「もう頑張ってるよ。」

その一言は、
今でも私の心に残っています。

応援することは大切。

でも、相手の頑張りを認めることは、
もっと大切なのかもしれません。

それ以来、
私は「頑張ってね」という言葉を口にする前に、
相手が今日まで積み重ねてきた努力に、
そっと思いを巡らせるようになりました。

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