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物語が映す時代の願い

「時をかける少女」のような
タイムリープ作品が流行した時代がありました。

「あの時に戻れたら」「別の選択をしていたら」。

そんな後悔や青春への憧れを描く物語は、多くの人の心をつかみました。
バブル崩壊後の長い停滞や将来への不安の中で、
「過去を変えたい」という願いが、物語にも表れていたのかもしれません。



その後、大きなブームとなったのが「転生もの」です。

現実の人生を一度リセットし、異世界で新しい人生を歩む物語。
努力が報われたり、自分の能力を存分に発揮できたりする世界観は、
「現実とは違う場所でもう一度やり直したい」という気持ちと重なります。

働き方や価値観が大きく変化し、
「人生は一度きり」という考えから、
「環境を変えれば自分も変われる」という考え方へ、
人々の意識が移っていったようにも感じます。



では、今は何が求められているのでしょうか。

ぼくは、「やり直す物語」よりも、
「今を受け入れる物語」が増えているように思います。

Matt Haigさんの作品や、日常を丁寧に描く小説、
心を癒やすエッセイが多く読まれているのも、
その表れではないでしょうか。

過去を変えることも、別の人生を始めることもできない。
でも、今日という一日を少しだけ違う見方で生きることはできる。

社会が変化し、不確実な時代だからこそ、
人は「どこへ行くか」よりも、
「どう生きるか」を物語に求め始めているのかもしれません。

流行する物語は、その時代を生きる人たちの願いを映す鏡です。

今どんな作品が支持されているのかを眺めると、
ぼくたち自身が何を求め、何に救いを求めているのかも、
少し見えてくる気がします。

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