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障害者手帳を取得せよ

生活保護ダンジョンをなんとか抜けたと思ったら、次のクエストが表示された。

【障害者手帳を取得せよ】

出ました。新ステージ。

今回も、妹ひとり出陣。

兄はリハビリ。
私は役所。

分業制である。

受付で言う。

「高次脳機能障害で、言語障害があって、脳出血で…」

説明しているうちに思う。

あれ、私めちゃくちゃ詳しくなってない?

数ヶ月前まで“高次脳機能障害”って漢字すら怪しかったのに、今やスラスラ言えている自分がちょっと怖い。

窓口の人が言う。

「診断書が必要ですね」

はい、出ました。診断書。

だいたい、なんでも必要。

「様式は指定のものになります」

もちろんそうですよね。

私はうなずくプロになっている。

「わかりました」
(本当は全然わかってない)

家に帰って書類を広げる。

説明文が小さい。

文字が多い。

余白が少ない。

兄がいたら絶対言ってる。

「これ、読む気なくすな」

今は私が言う。

「読む気なくすな!」

ひとりツッコミである。

申請理由を書く欄。

“日常生活における困難の具体的内容”

具体的って、どこまで?

・言葉が出にくい
・会話に時間がかかる
・疲れやすい
・さみしんぼう(←これは書けない)

ペンが止まる。

笑いながら書いているのに、時々ちょっとだけ胸がつまる。

でも私は思う。

これは「かわいそうアピール」じゃない。
兄がこれから少しでも生きやすくなるための、ただの手続き。

だから今日も、妹は静かに書く。

兄の代わりに説明し、
兄の代わりに頭を下げ、
兄の代わりにペンを走らせる。

でも不思議と、悲壮感はない。

だって私は知っている。

兄はきっと言う。

「おまえ、ほんとよくやるな」

そして私は言い返す。

「前はあんたがしゃべってたんだから、今は交代ね」

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