第6話 : 恋愛偏差値47 | “恋の橋”にされ続けた女 | ミサキ
「今日も可愛いね」 「見てるだけで癒されるわ〜」
そんな声が、聞こえてくる。
でも、視線はわたしのその先…私じゃない。
男子たちが、私の親友・ユカに向ける目線は、明らかに特別だった。
ユカは、目立たないのに目立つ。
大人しくて可憐で、気取らない。
なのに、ちゃんと男子の目に留まる。
女の私から見ても、それは納得の可愛さだった。
私の自慢の、親友。
中学から同じ高校へ進学したのは私達2人だけ。
ずっと仲良しだったから、高校でも自然と、2人でいることが多かった。
問題は──彼らがそのユカに近づくために、私を利用してくること。
「ミサキってユカと仲いいよね?」
「ユカちゃん、彼氏いるのかな?」
「この前ユカちゃん、◯◯のライブ行ったって言ってたけどさ…」
全部、私を経由しての質問。
まるで“恋の橋”としてしか見られていない気がして、ちょっとずつ心が摩耗していった。
でも、リョウは違った──と思ってた。
リョウとは高校の同級生で、話が合うし、適度な距離感で気を遣わなくていい相手だった。
「俺、最近焼肉屋でバイト始めたんだ。よかったら今度、食べに来なよ。友達と一緒でもいいし」
そんな風に言われたら、舞い上がるに決まってる。
親友のユカを誘って、一緒に行ったあの日。
リョウはずっと厨房だったけど、忙しい中でもちょこちょこテーブルに顔を出してくれた。
「どう?店、けっこういい感じだろ?」
「いや〜、今日来てくれてサンキューな」
ユカにも気を遣ってくれてる感じはあったけど──それでも、目線は私に向けてくれてるって、信じてた。
でも、その日の夜に届いたLINE。
「今日は来てくれてありがとう!」 「オレ、接客ばっちり決まってただろ?」 「……でさ、ちなみになんだけど、ユカちゃんのLINE、教えてもらえたりする?」
一気に、足元が崩れた気がした。
私じゃない。
また、私じゃなかった。
ああ、また“橋”になってしまったんだ。
━━恋は、踏み台じゃない。
ミサキの恋愛偏差値:47
“親友がモテる”って、最初は誇らしいんだよな。 自分の隣にいるだけで男子の視線が集まる、ちょっとした優越感すらある。
でもそのうち気づく。
「あれ、私、透明なんじゃ?」って。
相手が悪かった、とか、運がなかった、ってだけじゃない。
ミサキは、自分の“役割”に甘んじちゃったんだ。
ユカの魅力を一番知ってる自分が、その魅力に一番翻弄されてちゃ、ダメなんだよ。
“LINE、教えてよ”って、何回言われた?
そろそろ自分の連絡先、心に登録しとけ。
━━LINEは、返さなかった。
リョウから再度メッセージが来ることもなかった。
でもその後、私の中で何かが変わった。
次の日曜日、私はずっと気になっていた古着屋に一人で出かけた。
誰かの好みに寄せる服じゃなくて、
“自分が着たい服”を選んだ。
“橋”のままでいたくなかったから。
私は、私を好きになってくれる人と、ちゃんと恋がしたいと思ったから。
鏡に映る私は、前より少しだけ背中が伸びてた。
【今日の恋愛テク:管理人講評/No_006】
◎ 橋渡し役は卒業しろ。お前の名前は“その他”じゃない。
→ いつまで他人の恋の背景やってる?主役やれよ、主役。
◎ “好かれる自分”より、“好きになれる自分”で選べ。
→ 誰かに選ばれたいばかりで、自分の“選ぶ目”が死んでないか?
「人の恋ばっか橋渡しして、自分の恋は通行止め。…そりゃ進まないわけだ。」
——恋愛偏差値管理人/観測者・No_000、通信終了。
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