S.C.S.塩分から体を守れ/因果関係推理・創作ポップコーン
先日の血液検査の結果を受け、我が腎機能の低下を生涯かけて阻止する戦いが否応なしに始まった。いまの私は果敢なソルトチェック・ソルジャーである。
手に取る食材の紙箱やプラ袋の裏に必ず存在する小さな成分表。カロリー、脂質、タンパク質などに続き、最下部にひっそりと記載されている「食塩相当量」。この値を素早くチェックし、塩分の1日合計摂取量が決して6グラムを上回ることがないよう、頭の計算機を忙しく働かせているのだ。
今日の昼はそうめんだった。あんな白いだけの細長い棒などに、大層な成分が含まれているわけはない。それは断言できるけれども、念のため確認した。なぜなら私はソルトチェック・ソルジャーだからだ。
赤い帯を締めたそうめんの束が整然と並ぶ紙箱を持ち上げ、あの成分表をくまなく探す。どこだ、どこに隠れている。裏面にはない。さすれば側面。右か左か。あった。すかさず、ソルティ〜ィ・チェーック!
するとそこには衝撃の数値が書かれていた。
1人前(2束)の食塩相当量:4.4グラム。
なにぃ!?
ばかな……あのつるつると喉越しのいい、ただの白くて細長い麺に含まれてる塩分が、4.4グラムもある、だと……。我が家のしょうゆ大さじ2杯分ではないか。
夏はそうめんに限るねえ。つるつる食べやすくて美味しいねえ。明日もそうめんがいいねえ。
クーラーの効いた部屋で、来る日も来る日もしょうゆを大さじ2杯も飲んでいたのか、我々は!
うなだれた私の肩を、ひと束のそうめんがトントンとやさしく叩いた。
「誤解なすっちゃあ、いけやせんぜ旦那。そいつぁ、おいらが乾いているときの話でさあ。なあに、熱い湯にざんぶと浸かって塩を流したあとならば、そうさな。4グラムばかりの塩は溶けてなくなっちまってるよ」
そうめんの言葉にはっと顔を上げ、よくよく成分表を眺めてみた。「茹でたあとの推定塩分量は0.4グラム」と確かにそう書いてある。私は安堵のため息をつき、そうめんに礼を告げた。
「なあに、いいってことよ。これからも安心して、おいらたちをつるつるっとやっちゃってくれよ」
かくしてそうめんは引き続き、我が家の夏の定番食として君臨することが決まった。
諸君。もしこの中に、スナック菓子の感覚で、乾いたそうめんをぽりぽり齧る趣味のある人がいたら、即刻やめることをお勧めする。君の腎臓のためなのだ。ソルトチェック・ソルジャーからの切なる願いである。
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