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私のボイスドラマの作り方(3)編集

前回は、ボイスドラマを作る仲間との交流や分担などについて、お話しました。今回は、音声の編集についてです。
これが、一番手間がかかります。
自分がよくわかってもいないのに、気軽に編集をお願いしようと思って断られて、自分でやってみて、なんと無茶なことを無報酬でお願いしていたのか、と思いました……知らなかったとはいえ、こんな大変なことを……あのときの自分を殴りたいくらいになります。
でも、自分で模索して、曲がりなりにも編集できるようになりました。
繋いで組み合わせるだけではなくて、何度も何度も聞いて、微妙にいろいろな部分のボリュームや音質を調節していくのは、本当に大変な作業です。


■3.編集する

 

音声編集に関しては、私はWavePadとMixPadというソフトを使っています。

今回は、それに基づいて説明しますが、いろいろなソフトがあり、一長一短があると思うので、ご自分に合ったソフトを使ってください。

 

  

◆3-1.収録した【音声ファイルの切り出し作業】と保存


 

語り、登場人物A、B、C……と収録された音声ファイルが、集まってくるわけですが、それを切って組み合わせていって、初めて物語の中の描写や会話が進んでいきます。

それを音声編集ソフトでやります。

私は、長い作品を作ることがあるので、語りや台詞に整理番号をつけて、例えば、〖1-1語り〗〖2-2私〗〖3-5母〗みたいな感じで語りや台詞、一つ一つに整理番号をつけて、(数字の意味は、2-2だったら、シーン2の2番目の台詞という意味)、集まってきたファイルも、切りだして整理番号を振ってキャラの名前などをつけて保存して、組み合わせ、組み替えていきます。

 

例えば……台本にこういう書き込みをしています。

 

 

シーン1

 

〖整理番号〗

 

BGM〖0〗 オープニング

 

(SE)〖0-1〗 人馬の足音。時折、馬の鳴き声。

 

語り〖1-1〗 そのたくさんの荷を運んでいる人馬は、高州州都の強固な防衛線のそばまで来ていた。その出入口の一つに、人馬が近づいたとき、守備隊長自ら登って確認し尋ねた。

 

守備隊長〖1-2〗 どこの所属の者たちか?(リバーブ)

 

語り〖1-3〗 人馬の代表らしい者が出てきて叫んだ。着飾ってはいないが、本当に事前に連絡があった通り女だった。

 

洗冷珠〖1-4〗 高涼郡長官、馮寶が妻!

洗冷珠! 李遷士様への支援の品々を持って参りました!(リバーブ)

 

(拙作ボイスドラマ「辺境の花嫁」より」)

 

この場合、「語り」「守備隊長」、「洗冷珠」の三人の役の方から、音声データを送って頂いたときに、これらを切り離して、組み替える必要があります。それで、収録した音声を音声編集ソフトで、部分的に切り出しては、名前をつけて保存していくのです。

それぞれの音声ファイル名を「1-1語り」「1-2守備隊長」「1-4洗冷珠」というふうに、ファイル名をつけながら保存していきます。

 

例えば、送られてきた一つながりの音声データを、WavePadの場合は、切り取りたい部分をマウスでドラックしながら選択して、立ち上げたソフトの中で、切って新しい新規ファイルという形で、貼り付けということができるので、それで切り離します。

それで、台詞をそういうやり方で、切り分けて、「整理番号キャラ名」というような形で保存していきます。

 

並べ替えた上で、音を重ねたファイルを出力することをミキシングというのですが、詳しくはあとで述べます。

 

台本や作品に、整理番号を振るのは、私の記憶力が良くないからです。頭の中で整理できる方は、こういう整理番号をつける必要はないと思います。

ただ、台本や原稿に整理番号をつけておくと、「台詞3-7は、もうちょっとゆっくりめで読んでいただけますか? すみません。リテイクお願いできますか?」というふうな相手と情報共有がやりやすいという利点はあります。

 

 ◆3-2.【ノイズ取り】

 

台詞の収録した音源にノイズが入っていることがあります。これらは、音声編集ソフトを使って、除去するなどの作業をします。

それぞれの収録環境はまちまちで、それでも連続したノイズが入っていることもあります。

●ノイズサンプルをもとにしてスペクトル減算

代表的なやり方としては、ホワイトノイズという空気の音みたいな連続したノイズは、こんなふうにして取ります。
ソフトの画面を見ないとわかりにくいとは、思いますが、こんな感じです。

収録した音声の中の台詞が入ってない部分に、そのホワイトノイズが入っているわけですが、その部分をサンプルとして選択します。
私のソフトだと、「ノイズサンプルをもとにしてスペクトル減算」という名前の機能ですね。
連続したノイズもある種の周波数のパターンがあるので、そのサンプルを取って、そのパターンの音だけを抜きとる、というイメージでしょうか。
ただ、これも、音の一部を抜き取っているので、音質は多かれ少なかれ変わります。どこまでノイズ除去をするか、音質の変化を受け入れるか。それは、人それぞれだと思います。

◆連続音じゃないノイズについて

呼吸の音や、【リップノイズやタングノイズ】といって、唇や舌のぴちゃっという音が入っていたりすることもあります。それを消す場合もあるし、これも演技の一部だということで、残す場合もあります。音声ファイルを編集ソフトで開くと波形が現れます。再生してみると、その音が聞こえるし、そのノイズが入っている部分は、波形が、凸になっている部分があります。それを削除します。あるいは、その部分を選択して無音にします。

あるいは、クリック音、ポップ音を除去する、という機能があるソフトもあるようですし、ノイズだけでなく、反響(台詞が部屋の壁などに反響して収録されてしまっていることがある)なんかも補正する機能があるソフトがあるようです。

本格的なノイズ取りの技術は、私は詳しくないので、音響の詳しい方の専門のサイトを調べてみてください。

ノイズとか、そういうものは、できるだけ取る場合もあるし、作品の一部として、残す場合もあります。

どうしても乗り物のノイズが入らない環境にできないので、台本を書き換えて、外で活動している場面にしてしまった、なんて荒技をやられた人の話も聞いたことがあります。

 ※ノイズを入れない収録環境を作る方法あれこれ

基本的には、あとからノイズを抜くのは大変なので、もとからノイズを入れないようにすることが大事です。 
収録環境というのは、非常に難しい所があります。どうしたって、普通は、生活音やノイズが入りますよね。私も乗り物が多く通る場所に自宅があるので、収録は無茶苦茶苦労します。
私がやっていたり、聞いたことがある方法としては、こんなやり方があります。

◆ポップガードを使う・特殊なマイクを使う

この分野について詳しくないのですが、私はポップガードとコンデンサマイク使ってます。ある程度は防げてます。
うちは、常に音に溢れてる家で。スズメ、カラス、近所の子どもの声、乗り物。特に、乗り物の音が凄くします。乗り物が来ると、その時間帯が落ち着くまで待ったり、それが通り過ぎるまで、一時中断しなきゃいけないので、凄く収録に苦労してます。
体が強くないから、夜中に収録とかできないんですよね。

◆夜中に収録する

近所やほかの人が活動していない夜中に収録する。これ多くの方がされてます。

◆スタジオを借りる

これは、お金かかりますからね。たぶん、自宅で収録できない環境だからなのだと思いますが、これをやってくださっている方がいるので、感謝しきれない。

◆押し入れなどに防音効果のあるものを貼り付けて自作防音室で収録

こういう方も多いです。皆さま、凄く頑張っておられます。あるいは、改築するなどして、小さな防音室を自宅に作ってる方もいますね。

◆気にしない

こういう方もおられます。

 ◆3-3.BGM・SEを集める

 

音楽を付けたい場合は、自分で音楽を作るか(朗読や演じることもできて、かつ作曲もできる人も知っています。本当に多才な人がいますね)、楽曲を素材としての利用を許可して公開しているサイトがあるので、そこから、利用させて頂いて音楽をつけます。【フリーBGM】というキーワードで、検索すれば、そういうサイトが見つかります。ただし、これも有償の場合と、【フリー素材】で使わせてもらえる場合がありますが、フリーで使う場合は、

 

・そのサイトの名前とURL

・曲名

・作曲者名

 

などをクレジットとして、表記したら使ってもいいと書いてあることが多いです。それぞれのサイトで、いろいろな条件がありますので、そこの利用規約をよく読んでそれに従って使用してください。

 

【効果音(SE,Sound Effect)】を入れたい場合は、次のようになります。

物語の中で、「足音」とか「車の音」、「電話の音」、あるいは「風や雷」、「クイズのボタンを押したときのような音」など、様々な効果音を利用したい場合があると思います。これも、有償、無償、BGM素材と同じように各種クレジット表記など、いろいろな条件で利用を許可しているサイトがありますので、利用規約をよく読んで、それに従って利用してください。

 

※足りない音楽

 

BGMを探すのはなかなか大変です。

聞いていて、感じるのは、曲が素晴らしくてもBGMとしては、使いにくい曲があることです。物語の邪魔をしてしまう曲と、そうではない曲。

そうではない曲を書かれている方は、やっぱりDL数が多い気がします。どういう理屈になっているのか、うまく言えないのですが、そう感じます。

そういえば、こんな言葉を思い出しました。

 

「音楽が必要な部分は完璧な音楽を書くなよ
何か足りない音楽を書いてくれ
音楽が必要なシーンは自分も何か足りない映像を撮る
何か足りない映像と音楽が合わさって1になるんだ」

 黒澤明監督が

作曲家の池辺晋一郎さんに言った言葉

 2019年6月28日 NHK Eテレ放映
ららら♪クラシック「映画監督・木村大作が語る“日本映画とクラシック”」

 より

 

こんな達人同士の境地は私にはわかりかねますが、一緒に何かをやるためには、隙間、間のようなものが無いといけないのかもしれません。

 

 

 ◆3-4.音声の組み合わせ・加工・【ミキシング】

 

●3-4-1.【音声の加工】

 

台詞とBGM、SEの組み合わせや重ねる部分が決まったら、

 

音声を加工します。

私が一番使うのは、ボリュームの上げ下げ、BGMの【フェードインとフェードアウト】です。音楽は、突然始まったり、突然ぶつっと切れると、不自然なので、入る時は、フェードインで、だんだん大きくするとか、終わっていくときは、だんだん小さくするとか。

 

これもソフトの中で、だんだん小さくしたい音の部分を選択して、フェードイン、フェードアウトの機能を選択すると、段々小さくなって消えたり、小さな所から段々大きくなる音などが使えます。

 

反響させたり、高い音にしたり、低い音にしたりということもときどき使う場合があります。

 

声を高くしたり低くしたりする加工も、ときどき使います。最初に、音声作品を始めた時は、演じて頂けるような知人が誰もいなかったので、自分の地の声と【ボイスチェンジャー】で変えた声で、作品作っていました。

台詞の音声を、電話からの音声や録音したような音声に聞こえるように加工する時は、【ハイパスフィルター】とか、【ローパスフィルター】とか、そういう設定を使います。

特定の周波数以下の音あるいは、周波数以上の音を除去する処理です。

これも、私は専門家ではないので、うまく説明できないのですが、音声加工技術についても、いろいろなサイトで説明しています。

 

●3-4-2.ミキシングと【マルチトラック】

 

音声編集ソフトの「重ねて保存」「ミキシング」などの機能を使って、台詞とBGM、効果音を重ねたファイルを作ります。ソフトによって表現が違いますが「ミキシングファイルを出力」というような機能のあるソフトを使います。

 

マルチトラック編集といって、例えば、3人の登場人物がいる作品だとすると、

 

登場人物A

登場人物B

登場人物C

BGM

効果音

 

これらの複数種類の音を、どのタイミングで、どのくらいの長さ、どう組み合わせて、どう重ねるかを考えるのは大変複雑な作業です。

ですので、この場合は5本の線、そのように複数の音を並べて編集できるソフトがあります。

そういうものを使うと、とても作業が楽になります。マルチトラック編集ができるソフトも、フリーのものもあるし、自分に合うソフトを購入してもいいと思います。

 

※複雑で長くなりそうな場合は分割する

 

人数も多く、BGMや効果音がたくさん入る作品を作る場合は、コンピューターに負担がかかります。

それで、作業中に音声編集ソフトがクラッシュして、編集していたものが消えてしまうことがあります。それで数週間かけて、作ったものがパーになったり。

そうならないために、こまめに保存したり、バックアップを取っておいた方がいいです。

それと、私の場合は、シーンを1~2場面ごとに分けて、ミキシングして保存しています。

だから、20分くらいの作品でも、一つのファイルではなく、3つか4つのファイルに分割して制作しています。

全部一気にミキシングしようとして、何回かクラッシュし、ファイルが失われたからです。

聞きなおすときに、また、いくつものパートを繋げて聞かなくてはいけないので、手間はかかるのですが、消えてしまうよりはいいかなと思いながら、作業しています。

 

 ◆3-5.音量や周波数の調整

 

台詞の上にBGMやSEを重ねると、BGMやSEと台詞が一緒になって、音声のドラマができてきます。

しかし、このままだとBGM、効果音、台詞の音量が、アンバランスで大き過ぎたり小さすぎたりするので、それぞれの音の調整をする必要があります。

演者さんによって声のボリュームや音圧(うまく説明できないのですが、ソフトで見た波形が同じ高さでも大きく聞こえる音や声質があります)が違うので、それも調整する必要がある場合もあります。
これも、いろいろやりながら、試して調整していきます。

BGM、効果音についての話に戻ると、BGMや効果音が大き過ぎると、台詞が聞き取りにくくなるし、逆のことも起こりえます。

何度も聞いていると、それぞれの音のボリュームがわからなくなるのです。だから、期間を置いては、聞きなおしということをする必要があるので、非常に手間がかかります。

 

それから【イコライズ】といって、音楽の周波数をいじることがあります。音楽の周波数と台詞や歌詞などの周波数がかぶってしまう【帯域かぶり】と呼ばれる現象なのですが、これが起きると、音がこもってしまって聞こえにくくなる場合があります。

それが起こると、ボリュームを上げ下げするだけでは、うまくいきません。それで、BGMと台詞の声のかぶってしまっている特定の周波数だけ、減退させるのですが、私もイコライズに関しては勉強中なので、あまり詳しいことはご説明できません。

これに関して感じるのは、いろんな音楽を利用できるようになるので、凄く便利なのですが、奥が深すぎるということです。全部マスターするには、人生は短過ぎる。

音楽関係の精密な加工は、音楽理論やソフトウェアなどの理数的な素地がないとできない分野のように感じています。私は、そっちの方は特に苦手です。当たり前ですが、一人で何でもかんでもできるものではありません。

得意な人と組んでやるか、あるいは、外部委託できるなら、その方がいいように思います。

 

◆3-6.テストバージョンを誰かに聞いてもらう

 

それと、私は、配信前に、テストバージョンを信頼している人に聞いてもらって意見を聞いたりします。

慣れてしまってわからなくなっている音の違和感など、自分では気づかないことを、いろいろ教えていただけることが多いです。

第1回 作品を見つける方針を決める
第2回 仲間を見つけ、交流し、分担する
第4回 配信・広報
第5回 終わりに

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