カスタマーサクセスの業務工数が90%減少──ウエルシア薬局が「カスタマーAI」の活用で得た手応え
NELは、新たにAIで顧客ニーズを汲み取り改善する「カスタマーAI」サービスを正式にリリースしました。
「カスタマーAIサービス」は、お客様から寄せられる商品改善や新商品アイデアなど10,000万件以上もの「お客様の声」をAIが分析するというもの。AI起点で商品改善や新商品の発案をすることでニーズにあった商品開発や改善、業務の効率化などを実現します。
実際にβ版としてご利用いただいていたウエルシア薬局さんでは、「カスタマーAIサービス」を活用することで、カスタマーサクセス業務にかかる工数が90%減少したという実績も出ています。また、お客様の声を反映させた商品をプライベートブランド「からだウエルシア・くらしウエルシア」から数多く発売しています。

「カスタマーAIサービス」の開発、活用の取り組みはいかにして始まったのか。ウエルシア薬局 商品本部 商品企画部長 岡本様・商品本部 齊藤様とNEL代表の西田が対談しました。
3,000件の声を手作業で分析、ふとした一言が開発のきっかけに
──「カスタマーAI」サービスを開発することにしたきっかけを教えてください。
西田:コロナ禍以降、DXに取り組む小売企業の割合は高まりつつあります。消費者がSNSなどを中心にデジタル上で購買活動を行うようになった時代において、小売企業が消費者とデジタルで接点を持つことは必要不可欠と言ってもいいでしょう。また、労働人口の不足が避けられない日本経済、小売産業においてAI、ソフトウェアの活用は必須です。
口コミやアンケートなどで寄せられる顧客の声、いわゆるVOC(Voice Of Customer)を商品開発などに活用するニーズは増えている一方、大量のお客様の声を集計し分析することは非効率であり不正確であるなど、多くの課題がありました。
これはあくまでBtoB市場における話ですが、2022年にEXIDEAが実施した「顧客の声活用」に関する実態調査によれば、VOC活用の重要性を認識している企業は多い一方、3社に1社は顧客の声を収集しても活用できていない、という課題を抱えていました。
もともと、ウエルシア薬局さんでは「お客様の声」を収集し、それを分析して新商品の開発や商品の改善につなげるといった取り組みをされていたそうですが、現場の業務負荷が高くなっていたそうです。そうした背景もあり、岡本さんから「テクノロジーを活用して業務効率化を図れないか?」という相談をいただきました。
岡本:ウエルシア薬局は、2021年からプライベートブランド「からだウエルシア・くらしウエルシア」を展開しています。プライベートブランドはお客様の声をしっかり聞き、ニーズを捉えた商品開発を根幹に据えているため、お客様の声の収集・分析に力を入れてきました。最初はなかなか集めるのも大変だったのですが、一定の期間が経ったら集めるようになり、最近では2ヶ月で3,000件ものお客様の声を集められるようになっています。
こうした声をいただけるのは大変ありがたいのですが、社内のメンバーが1人で3,000件もの声を手作業で中身を見て、カテゴリーごとに分類するのは大変で……。分析をするための準備にものすごく時間がかかっていたので、何か良い方法はないかと思っていたんです。

もともと、NELさんとは商品の販促支援に関する取り組みでやり取りがありました。開発力に強みを持っている会社という認識もあったので、弊社が抱えていた課題感を西田さんと雑談する中で伝えてみたところ、「できますよ」と二つ返事をいただき、そこから「カスタマーAI」サービスの開発が進んでいくことになりました。
西田:NELとしても、これまで企業様の販促活動・プロモーション活動を支援させていただく中で、お客様が抱えているインサイトと商品が提供する価値が部分が合わないことがどうしてもあったんです。そうした背景から、プロモーションのひとつ前の段階である商品の開発や改善の部分から携わっていきたい、という思いはありました。ですから、岡本さんからご相談いただいたときは、NELにとってもすごく良いチャンスだと思ったんです。
──昨今、AIを活用したサービスがさまざま登場していますが、NELが提供する「カスタマーAI」サービスの特徴、強みは何でしょうか?
西田:NELはブランドとお客様を“推し”でつなげるプラットフォーム「osina」やマーケティングソリューションを展開するなど、販促/広告に大きな強みを持っています。お客様の声をしっかり集めることができるNELだからこそ、その声を商品開発や改善につなげられるの大きな特徴となっています。
また、開発がスタートした後、3ヶ月かけて3,000件のお客様の声を収集し、カテゴリーごとに分類する作業をやってみたんです。実際にやってみて、膨大な工数がかかっていると感じました。自分がリアルに感じた課題感をもとに開発しているので、より現場目線に立った使いやすいプロダクトになっているのではないかと思います。

業務工数が9割減少、「カスタマーAI」サービスは必要不可欠に
──「カスタマーAI」サービスを活用したことによる成果があれば教えてください。
岡本:お客様の声を収集・分析にかかる業務工数を9割減らすことができました。それによって、商品開発などクリエイティブな作業に時間を使えるようになっています。
今までは具体的な分析に入る前の下準備段階での資料づくりに1週間ほどかかっており、さらに商品開発のために「お客様の声検討会」で話された内容をまとめるのにも時間がかかっていたんです。ただ「カスタマーAI」サービスを使うことで、それらの作業がなくなったので、本当に業務の進め方がガラッと大きく変わりました。

齊藤:それこそ「カスタマーAI」サービスを活用する前は、お客様がいつでもどこでも商品に関するアイディアやリクエストを投稿できる「からだの声とくらしの声」に寄せられた声をExcelに転記して、その内容がどの商品カテゴリーに該当するのかひとつずつ見て、人力で適切なカテゴリーに振り分けていました。ひとつのキャンペーンで3,000件の回答が集まったときは、1〜2週間かけて収集・分析をやっていた感じです。
1つの回答で2つのカテゴリーに該当するような声もあったりするので、人力で細かく内容をチェックしていくのは、とにかく大変でした。

そうした中、「カスタマーAI」サービスを活用することによって、回答の振り分けはAIが自動で精度高くやってくれるようになりましたし、お客様の声の傾向などを5枚ほどの資料にまとめてくれるので、「お客様の声検討会」もスムーズに進行できるようになりました。お世辞抜きで、業務工数は9割減ったなと感じています。
岡本:商品開発はどうしても過去の成功事例などにアイデアが引っ張られてしまいがちです。ただ、お客様のニーズが多様化している時代において、従来のやり方だけではお客様のニーズを満たせません。AIがお客様の声を正確に分析して未来を予測し、ニーズを先回りする形で商品開発していかないともう戦っていけないだろうと思っています。
今までウエルシア薬局の中では、定性的に「こういった声が多かったよね」くらいの感覚でお客様の声を取り扱っていましたが、「カスタマーAI」サービスによって今は定量的に具体的な数字を持って、どういう声が多くなっているかを示せるようになりました。きちんとしたエビデンスをもとに、商品開発や改善が行えるようになってきています。
齊藤:また、私はマーケティングも担当しているので、販促活動におけるPOP作成などで「カスタマーAI」サービスも活用しました。例えば、お客様の声で「グリセリンフリー」という単語が入った感想の件数が増えていることがわかったので、グリセンフリーという単語を使ってPOPを作成し、よりお客様に興味を持ってもらえるようにしましたね。

──西田さんとしては、「カスタマーAI」サービスの手応えはいかがですか。
西田:まずはウエルシア薬局さんのプライベートブランドにおける商品開発、改善の業務工数を最小化し、本当に良い商品をつくってもらうことにフォーカスしてプロダクト開発を進めていきました。その点においては、一定の手応えは感じているところです。
ただ、NELとしては実現したいゴールから逆算すると、まだ10%も達成できていない状況ではあるので、これからウエルシア薬局さんと一緒にさまざまな取り組みをさせていただく中で、どんどん「カスタマーAI」サービスをアップデートさせていきたいと思っています。
需要予測や商品IDの紐付けも視野に取り組みを拡大
──今後の取り組みの展望についても教えてください。
岡本:この1年でプライベートブランドの商品数は一気に増え、現在は360SKU(ストック・キーピング・ユニット)ほどあります。しかし、私たちのプライベートブランドは後発ですので、もっとスピード感を持って商品数を増やしていかなければなりません。
2025年2月期中間決算の場で発表したグループ経営戦略の施策「ウエルシア2.0」では、2029年2月期に向けて、プライベートブランドの商品数を1000SKUまで増やす目標を掲げています。その目標を達成するためには、「カスタマーAI」サービスの力は欠かせないと思っています。分析などはどんどんAIに任せて、現場のメンバーが商品開発により時間を割けるようにしていくつもりです。また、私たちの凝り固まった経験則による商品開発だけでなく、お客様の声をもとにAIがニーズを先読みし、それをもとに商品開発をしていく取り組みも進めていきたいと思っています。もっといろんな使い方をしていきたいですね。

齊藤:「お客様の声検討会」を開催する中で、「こういう機能があった方がいいよね」という声を社内からいただくこともあるので、そういった声をNELさんに伝えて、管理画面を一緒にブラッシュアップし、より使いやすくしていけたらと思っています。
西田:いま、岡本さんが仰っていたような需要予測にフォーカスした機能開発は進めていきたいと思っていますし、お客様の声をAIで分析し、リアルタイムでチャット形式の回答を提供する機能も開発していきたいと思っているところです。
また、ウエルシア薬局さんとの取り組みという観点では、商品IDの紐付けもやっていきたいと思っています。実際に今回の取り組みを進めていく過程で、同じようなニーズでも都内在住の20代男性と地方在住の50代女性では、商品を求める背景情報が異なるんです。同じようなニーズに見えても、その商品を求める細かい理由は異なります。

今後はウエルシア薬局さんが持っている商品IDと紐づけることによって、回答内容の分類精度をもっと上げていけるのではないかと思っています。もっと細かく分類できれば、より細分化したニーズを満たせるので、1000SKUの目標も達成できると考えています。
岡本:将来的には、お客様の声に対してAIが自動応答する仕組みをつくり、よりコミュニケーションツールを活性化したいと思っています。
「からだの声とくらしの声」にわざわざ時間を割いて投稿してもらっているので、丁寧に返答したい思いはあるのですが、人力では限界があります。今後はAIを活用したチャットボットツールを構築していけたらという考えを持っています。
また「からだの声とくらしの声」に寄せられる声はプライベートブランドの商品だけでなく、ウエルシア薬局に対する要望や店舗改善の要望もあります。そういった改善のアイデアは商品開発チームだけでなく、仕入れのチームやバイヤー、店舗設計のチームなどにも共有することで、ウエルシア薬局のブランド体験の向上にもつなげていければと思います。

■NEL「カスタマーAI」に関するプレスリリースはこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000035504.html
■「カスタマーAI」関する問い合わせ先
https://www.nel-all.com/contact/
■採用について
NELでは採用を中心に強化しています。「産業革命の中心を、ここに。」というミッションに共感いただける方は、ぜひ、下記の採用ページよりご応募ください。
https://www.nel-all.com/recruit/
採用ブログ:https://note.com/nel_all/
COMPANY DECK:https://speakerdeck.com/nelrecruit/nelzhu-shi-hui-she-kanpanidetuku
▼採用イベント
「カスタマーAI」正式リリースに伴い、NEL代表の西田と本サービスに関わる木口 佳南が登壇する、エンジニア採用イベントを開催いたします。

日程:2024年1月20日(月) 19:00-21:00
開催場所:CIRCLE by ANRI(〒106-6115 東京都港区六本木6丁目10−1 六本木ヒルズ森タワー15F)
参加URL:https://forms.gle/22CVhpPU9VY9aoWp6
登壇者:

NEL株式会社 代表取締役社長
西田 陸
関西学院大学在学時より約3年間、EC運営に携わる。国内大手、ベンチャー企業、シリコンバレーでのインターンを経て大学卒業後は広告代理店に入社し、マーケティング戦略及び施策提案進行・品質管理を担当。2017年12月にNEL株式会社を創業。2021年よりショート動画に特化したリテールプロモーション事業を開始。2022年からショート動画キャッシュバックサービス「osina」などプロダクト事業を展開。

NEL カスタマーAI事業プロジェクトマネジメント
大阪国際工科専門職大学 工科学部 情報工学科 AI戦略コース 4年
木口 佳南
大学入学時よりAIについて学び、機械学習、自然言語処理、深層学習などにおいて開発経験を積む。2022年より国立研究開発法人 科学技術振興機構のSolve for SDGsで研究に携わる他、AI関連のビジネスコンテストで2度優勝。その後様々な企業にAIエンジニアやデータサイエンティスト、プロダクトマネージャーとしてジョインし、数々のAIプロダクトリリースに携わる。2024年にはソフトバンクアカデミアに入校し、新入校生代表として孫正義氏にプレゼンを行ったり、IVS2024 KYOTOにて実施されたGenerative AI起業家ピッチの司会を務めたりと多くのイベントに登壇。2025年、ソフトバンク株式会社に新卒入社予定。
