草加健康センターで過剰さの美学を知る(GSW)
ゴールデンウィークはゴールデン・サウナ・ウィークとして、週1の制限を取っ払って行きたかったサウナにいってきた。
そのひとつが、埼玉にある草加健康センターだ。
去年からずっといきたかったのだが、諸々の都合でロウリュなどのイベントが行われていなかったので保留していたのだった。
今回久々にサイトをチェックしていたところ、名物の「爆風ロウリュ」が復活していたので、ついに赴くことになったわけだ。
草加健康センターへは、草加駅から送迎バスが出ている。東京からは遠いが、アクセスはそこまで悪くない。


事前に注意しておくべきこととしては、スーパー銭湯にあるような、テレビつきのリクライニングの休憩スペースが予約制ということだ。使いたければ事前にウェブサイトから予約しておく必要がある。
ただし、リクライニングにありつけないからといって、休憩スペースがゼロということはない。食堂や、以前宴会場だったところは休憩スペースとして開放されていて、漫画などを読むこともできる。(快適に寝転がれる、というわけではないが)
風呂は炭酸泉・ジェット・寝湯など通常のもののほかに、特徴的なものとして漢方入浴剤のものと、露天の温泉がある。
漢方入浴剤の湯はめちゃくちゃな濃度で、常に浴室内になんともいえない香りが漂っている。しばらく入っていると肌の弱い部分(髭剃りあとの顔やら股間やら)がピリピリするほどなので、効能は相当なものだろう。
露天スペースにある温泉は、硫黄の香りがして非常に温泉らしい温泉。温度もそこまで高くなく、外気とのギャップが楽しめ、肌にもなんとなく良い。草津温泉のお湯らしく白く濁っていて、黒湯系が中心の東京に住んでいるとなかなか味わえない泉質だ。
肝心のサウナだが、これはもう本当に熱い。比喩でなく物理的に。
電気ストーブと石のストーブの二刀流で、ごんごん加熱するので上段下段とわずかなり熱い。しかも2つのストーブのどちらの前で座るかによって、熱さの質が違うというこだわりようだ。
電気ストーブのほうは熱風が放出されているため湿度が低く、古き良き銭湯系サウナのような容赦のない熱さだ。石ストーブのほうは熱風がなく湿度が高く感じるため、前者よりはマイルドだがそれでも熱い。温度としては『サウナしきじ』の熱さに近い。『マルシンスパ』や『改良湯』のマイルドな熱に慣れていた体にはこたえる。しかしこれは水風呂への伏線なのだ。
ちなみに、入口にサウナマットがあり、各自とっていく方式。
細かい部分のチェックポイントだと、テレビは中央にあり、角度的に見えない位置もあるのでさほど気にならない。嬉しい気遣いとしては広いサウナ室の両端の壁に12分計があり、眼鏡なしでも時間が確認しやすかったのがあった。また、ドアの外にはペットボトルを冷やせるクーラーボックス的なものまである。これは初めて見るホスピタリティだった。
高温のサウナでがっつり温められて、ひーひー言いながら外に出ると、待っているのは水風呂。バイブラ全開で温度も低く(たぶん15℃以下だった)、公式に「羽衣外し」とうたわれている。サウナに負けず劣らずこちらもハイパワーで、急速に全身が冷却されていくのがわかる。
水風呂の重要なポイントであるところの深さや広さはそれほどでもないが、バイブラパワーによる高速冷却は『かるまる』のサンダートルネードもかくやというもの。「委ね」のモードに入るよりはざっと入ってざっと出る感じか。サウナを出てすぐ左手にあるので導線はばっちり。草加の導線は短いぞ。後ろの親父は間に合うか。ロウリュ後のサウナ脱出は水風呂ダービーになりがち。
水風呂から出ると、すぐに椅子がならんでいる外気浴スペースがある。というか、露天スペースにサウナ室入口・露天風呂・水風呂・外気浴スペースが固まっており、導線が完璧だ。(欲を言えば冷水器が近くにあれば最高だった)
坪庭のようになっている外気浴スペースからは、切り取られた埼玉の空が高く見える。外気浴中のぼんやりとした頭には、それが芸術的に見えてきて、おれは少し感動する。5月の行楽日和、風の吹き抜け方も外気温もちょうどよく、極めて気持ちが良い。ほとんどの椅子に頭を預けられるポイントがあるのも高評価で、導線と同様に「わかってる」感が強い。
その後、お待ちかねの「爆風ロウリュ」となる。
「爆風」を生み出すのは、ふつうは落ち葉を吹っ飛ばす時とかに使われるマキタのブロワー。
「スプラトゥーンの武器か?」といった様子のこれをスタッフが持ち、その大出力をもってギュオオン!!!!と熱風を浴びせかけてくる。タオルやうちわなどで行われる人力のロウリュ(正確にはアウフグース)と違い、容赦のない機械出力で熱風をたたきつけてくるのだから、まさしく「爆風」である。
爆風がもたらす熱気たるやすさまじいものだ。しかも絶え間がない。機械の体は疲れを知らない。5秒間爆風が吹き付け、異常なほど体感温度が上がり「ゥア”ッ!!」みたいな声が出る。戦争は変わった。しかもそれを、異常なテンションの男たちが行う。もはや「アイッ!!」としか聞こえない怪鳥音(おそらく5秒数えている)をあげながら、サウナ室にみっちりとつまった男たちを順繰りにブロワーで焙っていく。途中、スタッフ同士で爆風をかけあう絡みなどもあり、なんとなく体育会系のしごきの様相だ。
耐えられなくなった男たちがどんどん出ていき、また別の男たちが入ってくる。通常イベント中は再入場禁止のところも多いが、ここではそうではないらしい。どんどん入ってきて、どんどん焙られていく。サウナ室の外からはギュオオン!!!という音と男たちの悲鳴が聞こえ、何らかの拷問でも行われているようだ。
たまらずサウナ室を脱出し、水風呂に駆け込むと、あれほど冷たかった極・バイブラ水風呂がちょうどよく感じるのだから不思議だ。めちゃくちゃに熱されたあとからめちゃくちゃに冷やされる間、そこでしか感じられない不思議な興奮がある。
そこに、ロウリュを終えたスタッフがデュアルスイーパーをかまえながら近づいてきて、「風ほしい人!」と言う。手をあげると、デュアルスイーパーから水面に向けて爆風が炸裂し、水が顔にめちゃくちゃにかかる。ややもすると鼻呼吸できなくなるほどの圧で、顔に水しぶきがかかり、ここでもあまりに容赦のないスタッフに笑ってしまう。そして、体が正気を取り戻し、寒いと判断する前に水風呂を脱出し、外気浴へ臨む。
戦いを終えたあとのような脱力感とともに、外気を味わっていると、不意にゆるやかな風が裸の体を打つ。目をあけると、さきほどのスタッフがニコニコしながらブロワーで風を送っているのだった。そんな使い方まであるのか。
『草加健康センター』は、サウナの熱も水風呂の冷却も、ロウリュの風もたいへんに極端で、過剰だ。はっきりいって爆風ロウリュとかメチャクチャといっていい。スタッフもなんかキャラが濃いし。そして、その過剰さの中でしか生まれない快感がある。
多くのサウナーを引き付けてやまないのは、その過剰さの美学なのだろう。再訪を誓い、次はできればサウナ上がりにビールを飲みたいものだと思った。
草加健康センター
ウェブサイト
サウナイキタイ内紹介ページ

(ボードゲームなんかを持ち込んで遊べるプランもあるらしい。サウナとボドゲは最高)

(この日はちょうど天皇賞がやっていて、サウナに入ってから競馬を見る、という「老後」のような1日を送ってしまった)
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