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キミだけのエンターテイナーになりたい。

連休というものは、気安く時間が溶けていくものだから、いつも以上に時間があるはずなのに、いつも以上に時間がない。よぉし、いっぱい書くゾォ!などと意気込んでいたのに、蓋をあければ「あ、今日もこんな時間…」の繰り返しです。お盆だもの。のんびりいこう、のんびり。

昼間にバラエティ番組を見てたら、カニの着ぐるみを着たタレントさんが愉快に踊っていた。コーナーの盛り上げ役として出演者を巻き込みながら、満面の笑みでおどけている。それを見ながら、こうやって何事も全力で楽しめる人になぜ私はなれないのか…とのんびり考えていた。

たとえば、大勢のカラオケ宴会とかでノリよく踊ったりおどけたりする盛り上げ役に私はなれない。盛り上げ役の指示に従って、タンバリンを叩くとかお決まりの掛け合いに参加するとか、そういうのもできたらやりたくない。煽られれば煽られるほど、サー…とシラけていくという宴会不適合者の自覚がある。

どうせ参加してるなら、いっそ楽しんでしまえた方がいい。画面の中でおどけているタレントさんのように、私もなれたらなあ。もちろん仕事だからという側面もあるだろうが、自分も周りも笑顔にすることができるノリのいいエンターテイナーの才能が私にはとても眩しい。

「私もこういうのできるようにならんかなあ」
と、夫に問う。

「家で似たようなことやってるやん」
と、夫は言う。

……むむ?

「え、私やってる?」
「やってるよお。突然ひとりで踊ったりするやん」

むむむ?

青天の霹靂。
私にも、エンターテイナーの才あり…?

「え、てことは私もやろうと思えばできるんかな」
「このタレントさんみたいな?」
「そうそう、ノリのいいやつ」
「いや、無理やろ」

……ぬぬ?矛盾…。

「え、なんで?」
「だってコール&レスポンスとかもダメやん?」

コール&レスポンスってあれね。アーティストさんがLIVEでお客さんを煽るやつ。

「みんな〜大きな声、出せますか〜?」
「イェーイ!!」
「聞こえねーぞ〜!」
「イィィェーイ!!!!」

ってやつ。確かに私はこのやりとりが超絶苦手である。両手を突き上げて叫ぶ代わりに、拍手することでお茶を濁している。なぜか。恥ずいからだ。誰に見られているわけでもないのに、「叫んでいる自分」が恥ずかしくてたまらんからである。

「あ、でもサンボマスターの時はやってるよな」

……確かに。あああ、矛盾!

コール&レスポンスっちゅうのは、場を盛り上げたくてやっているんだろうに、やられればやられるほど冷めていく私にも例外がある。サンボマスターは別格。サンボのLIVE中は声が枯れるほどに歌い叫ぶことのできる私がいる。

「サンボはホンマに楽しいから、やりたくてやってるんやろ。そうじゃない時に、コントロールされるのが嫌なんちゃう?」

……ほんまそれ。

夫がしれっと言ったセリフはまさに確信をついていて、さすが夫、ようわかっとる。自分の気持ちに相反する振る舞いを求められた時、私の警戒アラートは爆鳴りする。なんも考えずに踊らされておけばいいのに、ビービーと私の中のエンターテイナーを引っ込める。まったく難儀なもんである。

「このタレントさんは、そんなこと悩まんのかな?」
「いや、ホントに楽しいだけかもよ?」

カニで踊るのが?

「いや、それも才能か…やっぱり羨ましい」
「家であんな不可思議なおどり踊ってんのも、あんま変わらへんけどな」

私は夜な夜な、外では決して見せられない、
希少なエンタメを夫に披露しているわけだ。

もう少しありがたがっていただきたい。

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