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石川達三『蒼氓』からの視座

『蒼氓』は石川達三による作品。
第一回芥川賞を受賞し、多くの作品を残した作家だ。
やや入手困難な一冊だが読む価値は大いにある。
「蒼氓」辞書的な意味は、無名な民衆 である。
作品の概要は貧困から逃れるためにブラジル移民を決意した民衆が神戸の収容所で船の出航を待つ話となっている。
現在、個性を尊重する時代になり、他人とのちがいを認める風潮が起きている。そんな中、社会から個性を無くし、均一的な民になってくださいと命令されたらどう思うだろうか。
無機質な民は何を生み出すのか、個人は何を思って過ごすのだろうか。
社会は機能するのだろうか。
『蒼氓』はそんな無機的な民衆の行動を如実に描いている。
そこには人間本来の姿が醸し出され、複雑な心理関係について読者に考えさせる。
現実と理想の差はどこで生まれるか。国家や個人がその責任をすべて負う必要があるのか。
答えのない問いにどう向き合うか、それには多量の思考が必要だ。
そして、多量の熟考の末に新しい視座を手に入れる。
これは人生を多角的に見れるツールとなる。
豊かさがこのときに生まれるわけだ。

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