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【ネット歯科大】全身疾患のある方への歯周治療で迷うケース

 歯科臨床の現場では、判断に迷うこともしばしばあります。
 
 たとえば私が専門とする歯周病治療の場面では、全身的な病気がある方への治療の際に悩むことがあります。
 
 歯周病治療のひとつに、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)というものがあります。SRPとは、歯についた歯石や細菌などをきれいに取り除く治療のことです。
 
 SRPをおこなうことにより、歯は明らかにキレイになります。その一方で、デメリットもあります。
 
 そのデメリットのひとつに、細菌やその成分が血中に入ってしまうことが挙げられます。
 
 SRPにより血中に入ってしまう細菌の量は基本的に少量であり、だいたい1時間以内には免疫の力によって体内から排除されます。
 
 したがって、全身が健康な人では、SRP後に細菌が血中に入ったとしても問題となることはまずありません。
 
 一方、ここで気になるのは全身疾患を有する患者さんの場合です。
 
 たとえば免疫機能が低下している方の場合、少量とはいえ体内に入り込んだ細菌をうまく排除できない可能性があります。ほかのケースとして、心臓の状態によって細菌が定着しやすい場合があり、そういう方においては歯科治療が元で心臓での感染につながりかねません。
 
 歯科医師として、患者さんの健康に少しでも寄与できるようにと歯科治療をおこなうわけですが、全身状態によっては判断に迷いが生じます。
 
 上記の例では、全身疾患がある方に対して、歯をキレイにするためのSRPをした方がいいか、それとも実施にともなうデメリットの方が大きいのか、という疑問が生じます。
 
 さまざまな研究がおこなわれ、研究結果を臨床に応用できるようにと、臨床的によくある疑問に対する回答が「ガイドライン」としてまとめられています。
 
 ガイドラインを見ることで、悩むケースへの指針が得られる場合があります。その一方、研究結果が十分とはいえないことから暫定的な結論しかわからない、という事例も見つかります。
 
 全身疾患にともなう歯科治療上の疑問が生じた場合、まずは医師に問い合わせること、文献やガイドラインを確認すること、さらには治療にともなうメリットとデメリットを含めて患者さんとよく話し合い、よりよい方法を一緒に検討していくこと、などが対応策となります。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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