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【ネット歯科大】歯周再生のカギは歯根膜

 現在、歯周病の患者さんが失った組織を再生させるための治療が、保険診療の中で実施可能になっています。このため、以前よりも歯周組織再生を目指す治療が広くおこなわれているようです。
 
 歯周病では歯を支える組織が減少します。歯を支える組織のことを歯周組織といいます。
 
 歯周組織のうちもっともわかりやすいものは、歯根をつつみこむようになっている骨です。専門的には、歯槽骨(しそうこつ)といいます。しっかりとした骨の支えがあるからこそ、歯が安定して使えます。
 
 しかし、歯周組織を再生させる治療においてもっとも重要なのは、骨の周囲のやわらかい部分です。
 
 歯は骨に支えられていますが、歯と骨は直接くっついているのではなく、薄い膜状のやわらかい組織が間に存在しています。
 
 その歯と骨の間のやわらかい部分を、歯根膜(しこんまく)といいます。
 
 歯根膜の中にはさまざまな種類の細胞が存在しています。
 
 たとえば骨をつくるための骨芽(こつが)細胞や、歯根の表層のセメント質という部分を補修するためのセメント芽(が)細胞などが存在します。
 
 そのほかにも、血管や神経が走行していることも歯根膜の特徴です。このため、栄養補給や老廃物の処理、かんだときの感覚を受ける役割も担っています。
 
 このように、歯根膜は周囲の調整役として、大いに役立っています。骨や歯ほど目立つ存在ではありませんが、なくてはならない部分です。人間社会にも当てはまりそうな話ですね。
 
 その歯根膜ですが、歯周組織の再生においても主役であることがわかっています。
 
 これまでのいろいろな研究から、歯周組織再生を起こすためには、歯根膜の細胞が積極的に増えたり移動したりする必要があるとわかっています。
 
 歯根膜の細胞がまず再生することにより、続いて骨の再生などというように連動していきます。
 
 したがって、歯周病に対する再生治療において、目的としたエリアにいかに歯根膜細胞がやってくるかが、治療の戦略における大切なポイントのひとつとなります。
 
 その目的のために、歯根膜の細胞に刺激を与えたり、期待する細胞が移動するためのスペースを保持したり、ほかの種類の細胞が必要以上に増殖・移動しないように整えたり、細胞が移動するのに障害となる細菌や歯石を除去したりするなどの配慮が必要です。
 
 治療の中で患者さんに歯根膜を意識した行動をしていただく必要はありませんが、歯科医師はこのような生物学的な変化を考慮して治療後の注意事項をお伝えしています。
 
神奈川歯科大学 青山典生


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