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【劇場めし 第65回】東静岡の「静岡おでん」

楽しみ方の視野が広がる、静岡のソウルフード

「劇場周辺の、おすすめのご飯屋さんをご紹介!」する、このコーナー。今回はJR東静岡駅周辺です。駅名を聞いてピンときた方もいらっしゃるでしょう。最寄りには、SPACの名称で親しまれる「静岡県舞台芸術センター」が活動拠点とする静岡芸術劇場があります。東京からの移動時間は3〜5時間程度。電車、新幹線、高速バス、そしてドライブがてらと、移動手段も様々で、関東から訪れても、中部地方から訪れても、妙に旅情を感じるのは、やはりこの存在でしょうか。ちなみに劇場からも良く見えます。

さて、今回はこちらへ立ち寄ってきました。

天神屋 マークイズ静岡店。天神屋は静岡県のソウルフード「静岡おでん」の老舗。70年以上にわたり静岡おでんを販売しているとか。こちらの店舗ではイートインも可能なため、その場でいただくことに。

本日のチョイスはこちら。練り物は「いか姿串」、たまご、鶏皮、牛すじ、黒っぽい串は「フワ」で、牛の肺だそうです。すみません、よく知らずに選びました。静岡おでんの代名詞・黒はんぺんを失念していたことに後から気付きましたが……、と、とにかくいただきます!!

反射の如く頼んだビールを晒しつつ、最初はいか姿串から。……うん、美味しい。全体はむっちり食感で、そこへイカのコリコリが加わります。おやつ感覚でパクパク食べられちゃう。おでん出汁を吸っていて旨味もたっぷり。お次は好物の鶏皮を。あ〜〜、美味い!! ふんわり食感×ジューシーな旨味のハーモニー。個人的に食べ慣れた味で抜群の安定感。更にたまごもパクリ。当然美味いのだけれど、これは割と想定内。おでんのたまごが美味いのは皆さんご承知のとおり。

ここでおでんの出汁を一口。最初の口当たりは甘さが強く、こってりしたコクが広がります。後からスーッと塩味も伸びてくる。関東のおでんとも、関西のおでんとも異なる、おでんの出汁文化。大変興味深いです。続いて牛すじを。はい、正解。静岡おでんの出汁は牛すじの旨味が重要だそうで、出汁とマッチする美味しさ。ここで残してあった鶏皮に「だし粉」をかけて食べてみます。途端に味変した鶏皮、驚く僕、思わずビール。えっ? 何これ!? こんなに印象変わるの!?

鶏皮の甘い脂が、だし粉をまぶすことで一層引き立ち、お互いの旨味を高め合います。わー、これは想定外。更に困るのがその手軽さ。口に入れてクイッと串を引いたら一気じゃん。お代わりしたい、したいぞ!! ……あれだな、だし粉というのは、おでんを無限に食わせたい人が編み出した魔法だな…。

最後に牛の肺ことフワ串を。見た目はレバーっぽいけれど……、味もレバーそっくり! 食感はしっかりで食べ応えあり。うわー、これも美味いよ。レバーっぽいけど臭みは無く食べやすい。だし粉をかけたら旨味が増えて、嬉しい、楽しい、美味しい。つうか静岡おでん、全部美味い。東京へ持ち帰りたい!

もっと試したい、食べたい気持ちを押さえつつ、後ろ髪を引かれる思いで東海道線に乗りました。いや〜、静岡おでん、奥が深い! 今回はだし粉のみ使いましたが、定番の和がらし、味噌だれなども合うそうです。元々おでんは好物でしたが、その楽しみ方について更に視野が広がりました。ありがとう静岡おでん。次に食べられる機会が楽しみです。ぜひ皆さまも一度お試しください。

文/園田喬し(そのだたかし
演劇ライター・編集者・『BITE』編集長。演劇専門誌の編集業務を経て、現在は演劇情報媒体での執筆や演劇関連事業に携わる。出汁のきいた料理全般、白米、自炊が好き。

ご紹介したお店
天神屋 マークイズ静岡店
静岡県静岡市葵区柚木1026
MARK IS 静岡1F
054-298-6914


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